鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

千匹猿図鍔 仙陽黒晹 Tsuba

2019-05-31 | 鍔の歴史
千匹猿図鍔 仙陽黒晹谷


千匹猿図鍔 仙陽黒晹谷

 作者については不詳。仙台鐔工と思われる。矢上光廣の作と変わりない出来。このように光廣が手本とされていると同時に、南蛮鐔からの影響も考えるべきであろう。

千匹猿図鍔 矢上 Yagami Tsuba

2019-05-31 | 鍔の歴史
千匹猿図鍔 矢上


千匹猿図鍔 矢上

 これも同じ図柄だが、切羽台まで猿を彫り表している。耳は菊花形で、いかにも南蛮鐔。猿の表情を見ると光廣のそれより幾分顔が横長に仕立てられている。同門の他工であろうか、それでも濃密に彫り出された猿が躍動的で面白い。

千匹猿図鍔 肥州矢上光廣 Mitsuhiro Tsuba

2019-05-30 | 鍔の歴史
千匹猿図鍔 肥州矢上光廣


千匹猿図鍔 肥州矢上光廣

 南蛮鐔の影響を受けたもので、複雑に絡み合う南蛮鐔の唐草を想わせるように連続させた猿猴図鍔。これを千匹猿という。光廣の得意とした図柄である。見ざる聞かざる言わざるの三猿、猿の首引き力比べなどが描かれているのは面白い。この鐔では耳を猿橋のような構成としている。




双龍図鍔 長州住久次 Hisatsugu Tsuba

2019-05-29 | 鍔の歴史
双龍図鍔 長州住久次


双龍図鍔 長州住久次

 長州鐔工というと、山水図、植物図、龍神図などを写実的高彫表現するを得意としたことで良く知られているが、このような南蛮鐔も製作している。確かに九州に近い位置関係にある点も考慮するべきであろうが、南蛮鐔は意外にも全国各地で製作されていたようだ。

八岐大蛇図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-28 | 鍔の歴史
八岐大蛇図鍔 南蛮


八岐大蛇図鍔 南蛮

 画題は我が国の神話に取材している。造り込みや表現は南蛮の風合いが濃厚。耳の装飾、切羽台の文様も南蛮。江戸時代も下ってくると、このように南蛮風を意匠の要とする金工があらわれた。南蛮鐔は比較的多い。どうやら大きな流行があったようだ。そもそも西洋に開かれていた長崎辺りの金工が製作していたようだが、次第に各地で製作されるようになったと考えられる。

南蛮船図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-27 | 鍔の歴史
南蛮船図鍔 南蛮


南蛮船図鍔 南蛮

 南蛮船という画題も珍しく、面白い。船の胴体には南蛮らしい唐草文が施されている。船を動かすための帆を操る船乗りがおり、舳先には龍神が意匠されている。南蛮船の絵画を見たのであろうか、想像を逞しくする金工の創作意識が窺えよう。

霊獣図縁頭 平戸國重 Kunishige Fuchigashira

2019-05-27 | 鍔の歴史
霊獣図縁頭 平戸國重


霊獣図縁頭 平戸國重

 頭には剣のような十字架のような文様が施されている。縁は、古代中国の饕餮文のような、あるいは我が国の兜に装着される顰のような厳めしい文様。南蛮の縁頭は珍しい。

鳳凰図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-25 | 鍔の歴史
鳳凰図鍔 南蛮


鳳凰図鍔 南蛮

 なんて面白い図柄であろう、奇妙な花が大きな存在感を示している。主題は華麗な羽根を持つ鳳凰。鐔面に延びる触手のような花の存在、切羽台周辺の構成も複雑でいい。今の人がこれを面白がらないのは不思議だ。江戸時代の南蛮鐔の流行も理解できよう。南蛮鐔江戸時代の武人の感性を見習いたいものだ。

南蛮人図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-24 | 鍔の歴史
南蛮人図鍔 南蛮


南蛮人図鍔 南蛮

 風変わりな図柄が面白い作。望遠鏡を覗く人物。花、鳥などの断片が唐草にちりばめられている。南蛮鐔に人物図は頗る珍しい。先進の文物には西洋の香りがある。奇妙な花は、未知の土地には想像もできないような花が咲いていると捉えたものであろう。西洋の物語を題材にしているのであろうか、唐草に紛れるようにタコの足が描かれているのも面白い。

南蛮模様図鐔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-23 | 鍔の歴史
南蛮模様図鐔 南蛮


南蛮模様図鐔 南蛮

 図柄が良く判らない。明らかに南蛮鐔で、西洋への憧憬が窺える作。だが、図柄文様の基本は蕨手の組み合わせで、束ね熨斗のような文様もあり、題材が日本的である点が面白い。山銅地肉彫金色絵。20□

唐草に文散し図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-22 | 鍔の歴史
唐草に文散し図鍔 南蛮


唐草に文散し図鍔 南蛮

 蜂、猿、鹿、鳥であろうか、この組み合わせには何らかの意味があると思われる。鹿に蜂のとり合わせは、「俸禄」と読ませたともいわれるが、本当のところは良く判らない。でも日本的な題材であり、南蛮鐔としては面白い。切羽台の形状が長方形である点、耳が二重式に仕立てられている点なども南蛮風である。

鈴引獅子図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-20 | 鍔の歴史
鈴引獅子図鍔 南蛮


鈴引獅子図鍔 南蛮

 獅子が鈴を引いている図は、頗る日本的な題材ではないだろうか。その図柄で南蛮の風合いを求めた、頗る面白い作。南蛮鐔の特徴の一つに切羽台を長方形にし、表面に文様を施す点も挙げられる。この鐔では、切羽台に青海波を彫り込んでいる。青海波文も多々みられる。
 著作権のない時代だから何をしてもかまわなかったのであろう。南蛮鐔には銘もないし、「南蛮」で通っていたのだろう。

現代では、たとえ「著作権により使用を禁じる」といった文言や「コピーライト」の記号が付いていなくても、そのまま使用してはいけないのは当然。現在のWebの世界は、誰かが撮った写真を無断で用いたり、文章をそのまま用いたりと、無法の状況だ。どこかの記事から無断で使用したのでは、むしろ恥ずかしいだろう。使いたいのであれば使いたいと連絡してほしい。何も絶対禁止しているわけではないし、色々な書籍や雑誌にも協力している。このブログの写真もいろいろなサイトで見かける。改めて「このブログで使用しているすべての文章と写真は無断で使用することを禁止する」といった文言は用いないが、いけないことはいけない。

霊獣図鍔 南蛮 Nanban Tsuba

2019-05-18 | 鍔の歴史
霊獣図鍔 南蛮


霊獣図鍔 南蛮

 龍だか何だか判らないような龍神図もある。この鐔が良い例で、獅子のようにも見えるし、龍のようでもある。南蛮鐔の特徴の一つに、耳の仕立てを二重三重にする点も挙げられる。この鐔では耳を土手耳風にし、さらに点を連続させている。唐草は全世界に共通して生まれている文様だ。南蛮だけでない。でも、唐草にも地域の特色がある。シルクロードを経て我が国に来た唐草とは確かに異なる。