鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

流水に花筏と蛇籠図鐔 京正阿弥

2022-03-17 | 鍔の歴史
流水に花筏と蛇籠図鐔 京正阿弥


流水に花筏と蛇籠図鐔 京正阿弥

川の流れに視点が置かれるような、水辺の様子を描く場合の添景として欠かせないのが蛇籠。蛇籠とは川の氾濫を抑えるために設けた、自然の景観を破壊するような物体に他ならないのだが、なぜに自然との調和を求めるように、洒落た文様として描かれ、さらに好まれたのであろうか。江戸時代には着物の文様として採られているのも不思議でならない。
 写真例は京都に栄えた正阿弥派の作。桃山文化の影響を多分に受けている作品。蛇籠も風景の文様化であれば、一緒に描かれているのは花筏と呼ばれる桜の散りかかった筏。真鍮地に大胆に透かされているのは松皮菱の家紋を意匠したものであろう。素敵な景色の展開がなされている。

蛇籠図鐔 記内 Kinai Tsuba

2021-07-28 | 鍔の歴史
蛇籠図鐔 記内


蛇籠図鐔 記内

 打ち付けるように激しく波立って流れる川面。蛇籠から透かして見ているような構図で、いわば心象風景。なんて素敵な構図であろうか。銘はないが記内の作であろう。

蛇籠図鐔 法安久次 Hisatsugu Tsuba

2021-07-26 | 鍔の歴史
蛇籠図鐔 法安久次


蛇籠図鐔 法安久次

 面白い作品。水の流れに蛇籠を透かしで表現した作品。河中の杭は並んでいるようにも見える。すると橋脚か。とすれば橋合戦、あるいは宇治川合戦の背景のみを表現した主題の留守模様か。法安は鉄地腐らかしの手法で表面に微妙な凹凸を施すことによって質感や独特の景観を造り出した。この鐔でも、蛇籠は浮彫にしている。とにかく面白い作品だ。□

柳に燕図鐔 加賀金工 Kaga Tsuba

2021-07-24 | 鍔の歴史
柳に燕図鐔 加賀金工


柳に燕図鐔 加賀金工

 加賀金工の平象嵌技法は、高彫という写実味を捨て去った完全なる平面描写による表現である。良く見られるのは鈴虫や蟷螂などの虫尽図だ。ここでは松樹と柳を片切彫で墨絵風に表現している。この手もある。もちろん高彫もある。月が出ていることを考えると夕暮れ時。燕もそろそろ巣に戻る支度をしている頃か。微かな明かりに水辺の蛇籠が光って見えている。時間の流れを感じさせる作品である。

水辺に鷺図鐔 庄内金工 Shonai Tsuba

2021-07-21 | 鍔の歴史
水辺に鷺図鐔 庄内金工


水辺に鷺図鐔 庄内金工

 着物の柄としての蛇籠は、流水と共に描かれていることから、夏の柄として好まれているようだ。庄内金工に間々みられる素銅地や真鍮地を高彫表現した作。先に京正阿弥派の作を紹介したが、それに似たところがある。正阿弥派は全国各地に移住してその地の特徴を採り入れて栄えている。この鐔では文様化というより、山水風景の一部のような、風景図としている。