鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

自在鉤図目貫 古金工 Kokinko Menuki

2020-01-20 | 鍔の歴史
自在鉤図目貫 古金工


自在鉤図目貫 古金工

 今の子供は自在鉤を知らないかもしれない。吊るした鍋などの、火にかける高さを自在に調整するための道具だ。時代の上がる目貫や笄には、このような日常のあるいは戦場で用いる道具が彫り描かれたものがある。この目貫は時代の上がる特徴が良く現れている。裏面を見てほしい。かなり薄手に仕立てられている。裏側から打ち出しが強く、表を見るとふっくらとしている。側面(際端)が絞られているのもわかるかと思う。自在鉤が若者には分からないかもしれないとは言ったものの、田舎のほうへ行くと未だに使われていることがあり、あるいは目にする機会があるかもしれない。小道具には、実はまったく分からない道具類が描かれていたりすることがある。
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香道具図目貫 加賀金工 Kaga Menuki

2020-01-18 | 鍔の歴史
香道具図目貫 加賀金工


香道具図目貫 加賀金工

 香包に香箸の図。下は香包、羽根箒、香合。香道具の3点セット。我が国に古くからある香の遊びに用いられる道具類で、道具とはいえ風雅な雰囲気が漂っている。目貫は加賀で発展した平象嵌を駆使しており、鮮やかでしかも繊細。
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活け花図笄 Kougai

2020-01-18 | 鍔の歴史
活け花図笄

 
活け花図笄 

 植物図は多いのだが、束ねられた植物図が間々見られる。明らかに飾るための植物、活け花の文化が隆盛したことが示されている。左の水仙は束ねられているだけだが、右の笄は壁に掛けられる花入れに活けられている椿の図だ。茶室の飾りと考えてよいだろう。下の小柄は、桶に放り込まれた梅の花。これも、活けられるためにある梅、あるいはこの梅の放り込まれた桶そのものが飾りなのかもしれない。鉢や桶などは、植物を活かすための道具として脇役ながら存在感を示している。
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瓜に桃図小柄 古金工 Kokinko Kozuka

2020-01-16 | 鍔の歴史
瓜に桃図小柄 古金工


瓜に桃図小柄 古金工

 鉢に盛られたいくつかの果物。外に転げているのは瓜。枝のまま飾られているように見えるのは桃だろうか。この小柄は、糖質の多い果物を題材に採っているのだが、同時に鉢の存在が大きな意味を持っている。食べ物として鉢に盛られているのであろうか、あるいは、茶室の飾りとしてのものであろうか。いずれとも考えられる。室町時代には茶や花が文化として存在感を大きくしている。装剣金工としては、茶道具や束ねられた植物図などがあるのが良い例だ。こうしてみると時代の上がる金工には銘がないのが普通だが、金工は単に職人としてのみ生きていたのであろうか、不思議に感じる。今の時代、私たち工芸品を扱う者からは職人としての技術を高めてほしいと願っている一方で、職人側は芸術家としての意識を先に持ち始めてしまい、その小さな誤差が次第に大きくなってゆくように感じられる。
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山椒図三所物 古金工 Kokinko mitokoromono

2020-01-15 | 鍔の歴史
山椒図三所物 古金工





山椒図三所物 古金工

 山椒もまた薬でありスパイスであり、筆者は舌がしびれて味が分からなくなるので苦手だが、好んで料理に用いる人も多い。この三所物は、「山椒与右衛門」との言い伝えのある室町時代末期の京都の金工の作。この呼び名があるように山椒の図を得意としたそうだ。拡大目貫写真を見てもわかるように、かなり精巧である。古金工の時代、もちろん銘は遺されていないのだが、このような優れた三所物を製作した職人があったことを考えると、古金工と言って、銘がないからと言って、低い評価はできないだろう。幹は素銅、地を這うように意匠され、美濃彫のようにくっきりとした高彫描写からなる葉の様子、艶々とした種の様子、その実の表皮に施された微細な点刻が特に精密で質感描写に役立っている。総てが魅力的だ。下は「美濃」と極められている山椒図目貫。金無垢地容彫。古美濃の雰囲気を充分に湛えている。



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