鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

紅葉図小柄 Kozuka

2013-02-27 | 小柄
紅葉図小柄

  
紅葉図小柄 二題

 枯葉舞う秋の一場面を捉えた作。いずれも人物描写に写実味が高まっており、画面構成も自然。近代の金工の作である。穏やかな顔付きの人物が品良く表現されている。もう一方の作は北風に舞い上がる枯葉といった場面か、手を口元に当てているところなど冷たい空気のありようが巧みに表現されている。
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鳥刺図小柄 Koduka

2013-02-26 | 小柄
鳥刺図小柄


鳥刺図小柄

 以前に岩本昆壽の鳥刺(とりさし)図鐔を紹介したことがある。長い竹竿の先端に鳥餅を付けて野鳥を捕獲する。鷹狩りの鷹の餌を獲ることを生業としたのが鳥刺。現在では失われてしまった江戸時代独特の職を題に採り、その様子を縦長の画面を活かして表現している。赤銅魚子地高彫金銀色絵。

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作り菊図小柄 Kozuka

2013-02-25 | 小柄
作り菊図小柄


作り菊図小柄

 植物栽培は江戸時代に流行した。新種、あるいは奇種の朝顔作りの流行は良く知られている。菊の図は装剣小道具においては古くから存在し、古金工や古美濃などに良くみられるが、時代が下って江戸後期になると、古い時代の作品には見ることのない菊が描かれていることがある。新しい菊作りの作業の中から生み出されたものに他ならない。この小柄では菊の花が強調されている。こんなに大きな菊はなかろう。近頃各地で見られる皇帝ダリアなどはこんな印象かもしれないが。菊を育てるという状況と人物に焦点を当てた、時代観の面白い作品と言えよう。
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木賊刈図鐔 玄松斎政春 Masaharu Tsuba

2013-02-23 | 
木賊刈図鐔 玄松斎政春


木賊刈図鐔 銘 玄松斎政春

 この政春は水戸金工玉川派の工。石黒家に学んでおり、作風は精密な高彫。古典に題を求め、水戸金工らしい正確な構成としている。謡曲にも採られている木賊刈は、遠い昔に幼いわが子を誘拐された父親が、月を眺めながら我が子を思うというあらすじ。ここでも月は揺るがない存在。素銅地が漂わせる空気感もいい。叢な石目地に処理し、微妙に色合いを違えた金銀朧銀赤銅などの色金を巧みに構成している。素朴な風合いに見えて、実は周到な計算が為されている作品でもある。
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釜洗図鐔 額川元重 Motoshige Tsuba

2013-02-22 | 
釜洗図鐔 額川元重


釜洗図鐔 銘 北松斎額川元重(花押)

 岩本昆寛の同図の鐔を手本としたもの。赤銅地高彫色絵象嵌。先に紹介した漁師図の印象もこれに連続する。水際に生きる者への暖かい視線のありようが作品から感じ取れるのは、この図の本歌があまりにも優れているから。昆寛の名品と比較するのは無粋なのでやめておこう。

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漁師図縁頭 Fuchigashira

2013-02-21 | 縁頭
漁師図縁頭


漁師図縁頭

 月が主題に大きな意味を与えている作例。四ツ手網を扱う漁師が主人公。素銅地高彫金銀赤銅色絵を駆使し、夕焼けに染まる大空に雲間の月、帰雁の群も連なって美しい場面。ここでの漁師は、月を眺めて誰を思っているのであろうか。
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鵜飼図鐔 Tsuba

2013-02-20 | 
鵜飼図鐔


鵜飼図鐔 

 夏の風物である鵜飼の漁師の姿を捉えた作。肩にしているのは柄杓だが、何に用いるのであろうか。その先に一羽の鵜。見上げる漁師の目線の優しさが表現されており、鵜と漁師とが一体となった漁であることが想像されよう。山銅地の地面は縮緬のような石目地に仕上げ、高彫に金、朧銀、銀の色絵を巧みに施している。
 岩本昆寛も鵜飼に取材した作品を遺している。《Tsuba鐔 装剣小道具の世界》を更新したので参照されたい。
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夕立雨宿り図鐔 鉄元堂正楽 Shoraku Tsuba

2013-02-19 | 
夕立雨宿り図鐔 鉄元堂正楽


夕立雨宿り図鐔 銘 鉄元堂正楽(金印)

 夏と言えば夕立。突然の雨に駆け出す人物、のんびりと天を仰いでいるのは降り始めであろうか、あるいはどうせすぐに止むとみているのか、小屋の中には雨を逃れた御師などがいる。人物描写を得意とした京都金工の鉄元堂正楽はこの場面を得意として何点かの作品を遺している。とにかく様々な人物描写が一枚の中にあって楽しい。《鐔Tsuba 装剣小道具の世界 バックナンバーから》を参照されたい。
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行水図目貫 Menuki

2013-02-18 | 目貫
行水図目貫


行水図目貫

 夏と言えば行水。奇を衒っているわけでもなく、こんな目貫があって面白い。今で言うならヌードポスター。そんな意味合いでもあろうか。裸婦といってしまえば芸術的過ぎよう、覗き見するような人間味のある面白みが溢れた作である。女性の裸を見たいという意識は、時代とは関係ないのであろう、同趣の作例は浮世絵でよく知られている。
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十五夜図小柄 塚田秀鏡 Hideaki Kozuka

2013-02-15 | 小柄
日本東都市中年中行事図十二ヶ月揃小柄 塚田秀鏡作から


八月 十五夜

 夏の盛りが過ぎて涼しくなり始めた頃、開け放たれた縁側で東の空に昇るまんまるの月を眺める。なんとなく落ち着きを取り戻したかのような季節感。
 九月の月見は、栗名月とも豆名月とも呼ばれ、ちょっと様子が違う。まだ満月とはならない頃、十三夜を祝う例が多い。
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七夕笹飾り図小柄 北島東知 Kozuka

2013-02-14 | 小柄
七夕笹飾り図小柄 北島東知



七夕笹飾り図小柄 銘 北島東知(花押)

 七夕において笹の枝に願い事を書いた短冊を付け、川に流すという風習は、実は比較的新しい行事である。江戸時代後期の武家屋敷に奉公していた女人たちが生み出した文化であるとの研究がある。時代の上がる七夕を題材に得た作品に採られている植物は、多くが梶であり、笹は全くない。江戸後期の装剣小道具でも笹の描かれた例は少なく、この小柄は時代を良く写した作だと思う。
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七夕図小柄笄 土屋守親 Morichika Kozuka・Kogai

2013-02-13 | 小柄
七夕図小柄笄 土屋守親



七夕図小柄笄 銘 土屋守親

 小柄には文箱と短冊、笄には梶葉と巻糸。いずれも七夕を意味する事物であることは、改めて説明を要しないだろう。季節感を表現するために鈴虫を文箱に添えている。赤銅石目地高彫金銀素銅色絵。


七夕図目貫

織姫と牛飼を対にした目貫。この組み合わせは比較的多い。代の上がる後藤家の作か。


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盂蘭盆図小柄 塚田秀鏡 Hideaki Kozuka

2013-02-12 | 小柄
日本東都市中年中行事図十二ヶ月揃小柄 塚田秀鏡作から


七月 盂蘭盆

 祖先の霊を供養する盂蘭盆。月遅れの八月に行うのが関東地方で一般的だが、元来は七月のこの行事には、実は七夕にかかわる意味がある。七夕は、今では織姫と牛飼の恋物語のように語られるが、それは天上の星座に置き換えた伝説。我が国においては一年を折り返す頃に行われる、穢れの祓いに関わりがある。また、中国の乞巧奠を背景とした七夕には、様々な行事があるも、その中で、硯を清める行為には文字が上達することへの願望があり、同時に清めは川に穢れや汚れを流し去る意味がある。祭りの最後に川に流すねぶた祭もこれに通じている。半年の汚れを流し去って祖先の霊を迎えるのである。この小柄では、虫かごを持つ子供を描き、笹を抱えるのは母親であろうか、真夏に普通に見られたであろう市井の光景が描き出されている。
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祗園会図小柄 Hideaki

2013-02-09 | 小柄
日本東都市中年中行事図十二ヶ月揃小柄 塚田秀鏡作から


六月 祗園会

 祗園会とは、清和天皇の時代に流行して世を不安に陥れた疫病の退散を願った祭として始まったもので、後に各地に広まり、神輿や山車というスタイルも各地に定着した。京都の祗園祭がこれで、現在は七月に行われている。この小柄に描かれているのは、江戸の祭において主役となる神輿。江戸の町らしい光景である。
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菖蒲合わせ(根合わせ)図小柄 Kozuka

2013-02-08 | 小柄
菖蒲合わせ図小柄


菖蒲合わせ(根合わせ)図小柄

 端午節句に行われる菖蒲打ちとは、刀のように菖蒲の葉を用いて打ち合ってその強さを比べる遊び。同様に菖蒲という植物そのものを比べる風習があった。菖蒲の根合わせである。菖蒲は薬として捉えられ、風呂に入れてその効用を取り込む風は、現代でもまだ廃れてはいないようだ。この根合わせとは、根の立派さを競うもので、単に薬種を用いるというだけでなく、我が国に古くから存在する合わせ物の遊興に関連付けているのである。
 この図に関して、《装剣小道具の世界》で紹介したことがあるので、以下Webページを参照されたい。

《鐔Tsuba 装剣小道具の世界》バックナンバーから 記事を更新しました
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