松井秀喜はメジャーに挑戦する前の4年間、毎年3割以上を放ち、本塁打数も計170本を放つ等、名実ともに素晴らしい打者に成長して来ました。しかしその一方で三振も毎年100前後を記録していました。これは多くの強打者が避けては通れないものであり、長打を狙わなければならない場面では、無理にでも思い切ったスイングが必要な為、それと引き換えに三振が増えることは決して恥じる事ではなく、ある意味強打者の宿命と言えるかと思います。日本での最後の2年間、彼は0.330以上のハイレベルな打率をマークしています。この結果により、ひょっとしたら自分の力を誤解したのではないでしょうか？パワーではメジャーの強打者に適わないまでも、自身の打撃術なら十分通用すると考えた様に思えてなりません。しかし現実はかなり違い、松井秀喜の打撃はミートする力に優れているとか、広角に打てる訳ではなく、類い希なパワーがあってこそ成り立つものでありました。従ってその唯一の拠り所のパワーを封印してしまっては、彼の打撃が上手く行く訳はないかと思います。よく言えばあまり長打はないもののそれなりの打率を残す打者、悪く言えばスター選手とは程遠く意外性に期待する打者と言った評価が妥当だった様な気がします。