日本時間今日の早朝の試合で、バートロコロン投手が9三振を奪い、通算奪三振数を2002個としました。コロン投手がこの試合6個目の三振、通算1999三振を奪った後、2人の打者を凡退に退け、巧い具合にメジャーのスーパースターの仲間入りをしたと言っていいかと思えるアンドリューマカッチェン選手の打席になり、いつも応援しているマカッチェン選手ながら、秘かに三振の期待をしたものです。しかしマカッチェン選手は鋭い当たりのサードゴロとなり、期待は空しいものとなりました。コロン投手にとって区切りの記録、メジャー流に言えばMILESTONEは出来れば、マカッチェン選手から奪って欲しかったものです。その最大の理由としては、次の奪三振の区切りの記録2500個は現在41歳の年齢と球速の衰えを考えれば、間違いなく有りえないと思うからです。しかしコロン投手にとっては2000奪三振の意識はかなり強かったみたいで、次の打者アイクデービス選手には4球連続でフォーシームで攻めており、4球目にはこの試合最速の93マイルも記録しています。その投球は捕手がファールチップを捕り損ね三振にはならず、5球目のツーシームで見逃し三振となり記録を達成しましたが、フォーシームの4連投にかっての豪速球投手の片鱗とプライドを見た気がします。
2012年のメルキーカブレラ選手は14打席連続凡退したと仮定しても打率は0.3361になる訳であり、規定打席に達していたバスターポージー選手の0.3358を凌いでいます。つまりカブレラ選手が15打席以上連続で凡退したと仮定したのみ、ポージー選手が打率で上をいく訳です。カブレラ選手はその前年初の打率3割をマークし、今シーズンも現時点で3割以上を記録する等、決してスーパースター選手ではないもののそれなりの安定した数字を近年はマークしつつあります。従って打者には好不調がつきものとは言うものの、彼がそれだけ連続して安打を放てないとは考えにくく、例え打席数にはかなり差があるとは言え、実質的な打率に於いては矢張りカブレラ選手が上回っていたと思えてなりません。又薬物を使用した本人の意向や選手会、MLB機構の承認があれば規定を変更していいのか非常に疑問であります。薬物使用疑惑の選手は出場停止の処分を受ける例は数多く見られますが、少なくとも残した成績はそのままになっています。もしカブレラ選手がもう1打席あり規定打席に達していたとしたら、タイトルはどの様になっていたのか、物凄く興味のある処です。
先日の登板でバートロコロン投手は初回に2三振を奪い、上手く行けば2000奪三振達成かと期待させてくれ計3三振を奪いましたが、雨の為試合中止になりました。その試合がダブルヘッダーの2試合目に組まれ、そうでなくても投手不足のメッツ球団に於いて、松坂大輔投手の今季初登板になった訳です。現時点でのコロン投手の通算成績は、192勝133敗の防御率3.97であり、奪三振は2641回を投げて1993個になります。奪三振率は6.79という数字になります。投球回数以上或いは投球回数に近い奪三振数だったのは2000年の188イニングで212奪三振と2001年の222.1イニングでの201奪三振しかありません。又200奪三振以上はこの2シーズンしかありません。1998年から2005年までの間、最低でも14勝以上の勝ち星を挙げ前述の2000年のシーズンを除き毎年200イニング以上を投げており、当時は抜群の球速を誇っていた割には決して奪三振の多い投手とは言えないかと思います。
物凄く好きな投手なので再々の登場です。何回か書いているかと思いますが、初めてバートロコロン投手の投球を見た時、試合終盤でもというより終盤になってこそ球速が増し、楽々とも思える感じで100マイル超えの豪速球を見せてくれる事と、ショートアームと称されるが如くのテークバックの小さい独特の投球フォームに驚かされたものです。今シーズンは現時点で、昨年の異常と言ってもいいかも知れぬ好調ぶりとは大きく変わり、3勝5敗、防御率5.34と冴えない投球が続いています。明日先発予定で記録達成の可能性が若干あります。その記録はメジャー通算2000奪三振です。現在1993奪三振で残り7個と迫っていますが、ここ数年や今年の投球内容から記録達成持越しの可能性が高いものの、弱冠楽しみではあります。明日とは言わず達成出来れば現役投手では9人目、歴代の投手では70人目の記録であり、十分称賛されるべきかと思います。しかしここ数年こそ、かっての豪速球は殆ど見られなくなりましたが、若かりし頃のあの恐るべき球速を考えると、正直今頃になっての2000奪三振なのかという気がしてなりません。
今回は今までと異なり、記録が訂正されたというのではないのですが、認定首位打者が取り消された例に触れたく思います。2012年、メルキーカブレラ選手は残り45試合の時点で薬物使用疑惑により50試合の出場停止を受け、その年のレギュラーシーズンでの出場は終わりになりました。その時点でメジャーの規定打席数に1足りない501の打席数、459打数159安打の打率0.3464でした。シーズンが終了した段階ではバスターポージー選手が530打数178安打の打率0.336で首位打者に輝いています。メジャーにも日本プロ野球にも認定首位打者という制度があり、不足分の打席を全て凡退したと仮定したとしても規定打席トップの打率の選手を上回っていたら首位打者として認める事になっています。但し、あくまでも打率1位の選手は規定打席に達している選手になるという制度です。しかしシーズン終盤、カブレラ選手は自身の要望と選手会及びMLB機構の承認により、首位打者の資格なしとされ認定首位打者になっていません。次回続けますがこの決定、当時からどうしても疑問に思って仕方のないものでした。
前回触れました様に打者の場合、1回の打席での記録がヒットか凡打かで影響を受ける率は、規定打席以上ではバリーボンズの様な例外的な打者を除き2厘前後になろうかと思います。しかし投手の防御率の場合、その回の相手の得点経過により全く影響がない場合と物凄く影響がある場合等 、色々なケースが考えられます。例えばツーアウト投手自身の責任で出した走者が2人、次の打者の打球がエラーと記録された場合はその後どんなに点を取られても防御率には影響しません。もしこの打球がヒットに記録訂正されたとしたら、その後の同じくエラー等を除き全て自責点につながる訳で前回書きました様に、極端に言えばですが想像もつかない自責点になる可能性がある訳です。昨年ダルビッシュ有投手は209.2イニングを投げて、失点68自責点66の防御率2.83でリーグ4位の防御率ですが、自責点が1点少ない場合防御率は2.79、1点自責点が多い場合の防御率は2.88となります。上記のケースでその後満塁本塁打を打たれ、その後エラーがヒットに記録訂正されたとしたら、勝手に昨年のダルビッシュ有投手にこの条件を当てはめると、防御率は3.00にまで下降してしまいます。極端な例も出しましたが投手が記録訂正に於いて受ける影響は打者の比ではない場合が多いと言えるかと思います。
もう少しシュミレーションして見ます。2004年、バリーボンズ選手は617打席ありながらも敬遠を含む四球数が232もあった為打数は373に過ぎません。この年安打数135の打率0.362で首位打者に輝いていますが、もし1本の安打をエラーと記録訂正されたとしたら打率は0.3592になりより細かな打率である0.3619より0.0027、つまり3厘近くも打率が下がる事になるかと思います。記録訂正は打率が高いながらも打数の少ない選手に、より多くの影響を与える訳であります。打率の争いは当然ながら規定打席以上の選手が対象になりますので、この年のバリーボンズ以上の四球数は、彼以上に恐れられる打者の出現は常識的には考えられい事から、記録訂正(ヒットからエラーへの)があったとすればこの年のバリーボンズ選手が最も被害を受けた事になろうかと思います。打者の場合最大限でも3厘以内で収まりそうですが、投手が記録訂正により受ける影響、防御率の上下は可能性からは大袈裟に言えば無限大になろうかと思います。次回続けます。
ダルビッシュ有投手のエラーの記録をヒットに訂正したのは9回2アウトでヒットが出た為、被安打1も被安打2も大きな差はないだろうと言う判断があった様に思えてなりません。そのランナーもリリーフ投手が抑え点が入らなかった、つまりダルビッシュ有投手に失点も自責点もつかなかった要素もあろうかと思います。記録の訂正によりどの程度の影響を受けるか、先ずは打者からシュミレーションして見ます。打率3割前後のレギュラー選手という設定の場合、分かり易く500打数と600打数で当てはめて見ます。500打数で150安打は打率0.300ですが、その内安打と記録された1本をエラーと訂正されると打率は0.298になります。同様の計算で600打数180安打は打率0.300ですが、内1安打をエラーと訂正されると打率0.2983になってしまいます。この時点から切り上げなしの打率3割を狙うとしたら取り敢えず3打数2安打が必要となります。あまり大きな差ではないと思うかも知れませんが、これだけ多い打数の選手にとっても、記録訂正は決して小さな影響とは思えないものであります。
先日の試合でダルビッシュ有投手がノーヒット試合を達成していたとしたら記録の訂正があったでしょうか?日本と国民性の違う国の事ですから分かりませんが、いくらなんでも訂正はないかと推測します。記録達成を後に訂正する事は、成し遂げた選手やファンの喜びや感動等を全てなしにする訳ですから、出来ない事かと思います。ここで少し余計な事を書きます。日本ではノーヒットノーラン、無安打無得点とされています様に失点は許されないのですが、メジャーではノーヒット、無安打試合が記録の対象になっています。つまりノーヒットノーランでの負けはあり得ませんが、ノーヒットでの負けの可能性はあり得るという事になります。話を戻し、記録の訂正の時期はいつまで出来るのかどうかを色々と調べて見ましたが、それらしき資料は見当たりませんでした。過去イチロー選手が10日後にヒットをエラーに訂正されていますが、そもそも記録訂正可能な時期は設定されてないかも知れません。もしそうだとしたら、微妙な率の差でタイトルを獲得した選手や一応一流とされる打率3割をぎりぎりで残した選手は、シーズンが終わっても落着けない事になろうかと思います。
先日の試合でダルビッシュ有投手が完全試合を狙っていた時点で、打者オーティズの放ったライトとセカンド間に落ちる打球がその時点ではエラーと判定されていたのが、ヒットと記録訂正になったそうです。他のメジャーの試合も同時に観ていた為、勉強不足の解説者の多いNHKBSの試合は音を消して観ていたので、私は今までの例からして勝手にヒットだと思い、ダルビッシュ有投手の完全試合やノーヒット試合への挑戦も残念ながら終わったものと思っていました。その後比較的早く記録がエラーだった事が分かり、最終回の2アウトまでのーヒット試合への期待を持たせてくれていたのですが、結果はご存じかと思いますがオーティズのヒットにより、ノーヒット試合は達成出来ずに終わっています。メジャーでは度々と言っていいのでしょうが、記録の訂正はありそれも何日か後に訂正される事も珍しくはありません。今回の記録訂正により、結果的には9回ツーアウトの時点でダルビッシュ有投手のノーヒットを期待して観ていたのは全くの無駄というか意味のない事になっています。ここで触れたいのは、もしダルビッシュ有投手のノーヒットが達成されていたとしたら、記録訂正が有り得たのかどうかという事です。次回、続けます。