前月張本勲氏の講演会の帰りに多少時間の余裕があったので、東京駅付近の丸善書店に立ち寄りスポーツコーナーで立読みをしていました。そこの野球コーナーには野村克也という括りがあり、一応野村克也氏が書いたとされる多くの本が置いてありました。最近特に野村克也氏が書いたとされる本が異常に多いという事を何となく感じており、コーナーに於いて括りが出来る程の量になったものだと妙に感心していた所、若い男女のカップルが通りがかり、男性の方が野村克也氏のコーナーに気づき、[野村克也は多くの本を出しているが、内容はどれも同じものばかり]と女性に話しかけていました。正に言い得て妙というか的を射ているというか、本当にその発言通りと妙に感心した次第でした。つまり多く出されている野村克也氏の本の殆どと言っていいか、あるいは全部と言っていい程その内容は本人の自慢話ばかりで成り立っています。データの重要性、考える野球の必要性から始まり、自身が如何に多くの他の球団では見捨てられた選手を再生させたかの内容が中心の本ばかりになっています。
中西太選手の通算安打数1262本は、現役選手も含む通算打率3割以上の24人の選手の内最も少ない安打数であります。更には規定打数4000に達していないロバートローズ選手の1275安打、イチロー選手の1278安打、青木宣親選手の1284安打より少ない数字であります。打数が少ないながらも中西太選手より多い安打数を放っている上記3選手は、当然の事ながら中西太選手より通算の規定打数未満ながらも通算打率はかなり高い事になります。ロバートローズ選手は187打数、青木宣親選手は216打数、イチロー選手に至ってはほぼ1シーズンに近い497打数を連続して無安打に終わり、中西太選手と同じ打数になったとしても安打数が多い分、その時点でも中西太選手より高い打率を残している事になります。本当に活躍したのは短期間ながらも、もの凄い実績を残している中西太選手にケチを付けている訳ではなく、通算規定打数には達しているものの通算安打数の少ない打者への評価、非常に難しいものがある様に思えてしまいます。
中西太というレジェンドとも言われるべき強打者がいます。通算成績は4116打数1262安打の打率0.307、244本塁打、785打点であり現時点で歴代11位の打率を除き、本塁打、打点の部門では傑出すべき数字ではありません。しかし中西太選手は本塁打王5回、打点王3回、首位打者2回という素晴らしい実績を4000打数を大きくは超えない現役生活の内に残しています。野球に興味を持ち始めた頃、中西太選手の名前は父親からよく聞かされていましたが、多分昭和32年、後楽園球場でのオープン戦での滞空時間の長い飛距離の優れている本塁打を直に観戦した以外は、本当の凄すぎる中西太選手の姿を残念ながら殆ど観てはいません。中西太選手の姿を多く観たのは、昭和34年以降の主に代打で登場しその大きなお尻を振る動作に、ファンが異常な程興奮し絶大なる声援を送っている場面でありました。全盛期の中西太選手は数々の伝説を残しており、物凄い打者であった事は容易に推測できるのですが、残した通算安打数の価値に触れて行きたく思います。
マーリンズのイチロー選手がメジャー通算安打数でベーブルースに並んだとマスコミは報じています。この数字はマスコミが異常な程大好きな日米通算と異なりメジャーのみの記録なので、歴代通算安打数で歴代42位タイに食い込んだ事は素晴らしい事かと思います。この数字に就いてはメジャーでも報道していましたが、日本での報道の仕方はあまりにも大袈裟過ぎる様に思えてなりません。私あたりの世代の者には、確かにベーブルースはその当時の記録だった714本塁打を始めとして、メジャーでは最も有名な選手でありました。しかしその後記録は破られ、又リアルタイムでベーブルースを観た者も現在では殆ど存在しない事、更には素晴らしい数字ではあるが42位というある意味中途半端な順位もあり、報道が騒ぎ過ぎに思えてしまいます。今年のメジャーリーグではダルビッシュ有投手の手術や田中将大投手の故障もあり、以前と比較して日本人選手の活躍が少なく話題が少ない為、何か無理にでも話題を作っている感すらします。最後にベーブルースの素晴らしさとしては、現時点でイチロー選手と同じ安打数ですが、打数が665少ない事にあろうかと思います。
レンジャースの藤川球児投手が戦力外通告を言い渡されました。2試合の登板を見る限り、時間の問題であり当然の処置かと思います。1試合目の登板では1イニングを無失点に抑えており、マスコミでは好結果と報道されたりしていました。実際にリアルタイムで観ましたが、そこでの藤川球児の姿は最早全盛時の面影は殆ど見られないものでした。メジャー投手の平均球速にも及ばない90マイル前後のファストボールの球速もさることながら、かって史上最高のストレートとまで称された、打者の手元で浮き上がってくる様な異常な程の伸びのある球は全く影を潜めていました。藤川球児投手とこのストレート、正しく必要不可欠のものであります。つまり2試合観た時点での藤川球児投手は球の速さも伸びもなく、更には軽い球質もありメジャーでは平凡或いはそれ以下の投手に過ぎず、戦力外通告も止むを得ないかと思います。メジャー移籍後故障が多い事もあり、今後かなり厳しい状況と言えるかと思います。
張本勲氏は松井秀喜選手に関して兎に角頑固であったと話していました。松井秀喜選手のパワーは物凄く素晴らしいが欠点としては上下動が大きすぎるとの解釈を示していました。当時の監督長嶋茂雄氏も同意見であり、二人で欠点の改善を勧めたが残念ながら聞く耳を持たなかったと話しています。松井秀喜選手に関しては、日本プロ野球在籍最後のシーズン、打率0.334、50本塁打と全盛期の王貞治選手並みの成績を残しメジャー移籍、メジャーでの成績は今一つのまま終わりましたが、もし歴代でもトップクラスの実績の打者二人のアドバイスを受け入れていればどうなったか興味はあります。しかし名選手必ずしも名コーチとは限らず、これ以上の数字を残せない位抜群の成績だったシーズン以降も日本プロ野球に残留しアドバイスを聞き入れたとしたら、どの様な結果になっていたかにも興味はあります。パワーに恵まれている長距離打者の松井秀喜選手が、パワーでは劣る二人の指導に従ったとしたら何か怖い結果が待っている可能性もあった様に思えてしまいます。
先日公表サイズの推移に就いて書きましたバートロコロン投手ですが、今シーズンはニューヨークメッツのエース的な役割を与えられ、5月3日このブログを先行予約で書いている時点で4勝1敗と好調な数字を挙げています。2011年バートロコロン投手がマイナー契約でニューヨークヤンキースに入団した際、当時のヤンキースのエースであるCCサバシア投手のクリーブランドインディアンズの新人投手時代、押しも押されぬエースであったバートロコロン投手との立場の違いを書きましたが、現時点で通算勝利数が同じ208個で並んでいます。間もなく42歳になるバートロコロン投手と7月に35歳になる7歳年下のCCサバシア投手の勝ち星が一緒の数字になるとは想像も出来なかったものです。今シーズン0勝4敗のCCサバシア投手ですが、一昨年から衰えが見え始め、昨年今年とより顕著になって来ています。球速の衰えに対処する術がないCCサバシア投手に対し、同じく球速の衰えが顕著ながらも巧みな投球術を会得したバートロコロン投手、引退時点での両投手の勝ち星がどの様な数字になっているか非常に興味があります。
写真はバートロコロン投手のルーキーカード、つまり1997年のものかと思います。この選手の公表ですが、体重の推移は十分解るのですが年齢もかなりの期間サバを読んでいました。2001年イチロー選手のメジャー移籍に伴いテレビ中継も多くなり、インディアンズ所属のバートロコロン投手を見る機会が幸いにして多くなったのですが、当時イチロー選手より2歳年下の25歳という事になっていました。ドミニカ出身の投手にはよくあるケースらしいのですが少し経てから現在の生年月日、イチロー選手と同年の5月生まれに訂正されたのを覚えています。2013年、J SPORTSの中継で解説の野口寿浩氏が同投手に就いて昔からの太めの体型であり、球も昔から速いタイプではなかったと話していました。体型に就いては前回、今回の写真で明らかでしょうし、確かに2013年時点での球は速いとは言えないものの、かって100マイル以上を計測し、豪速球投手と称されていた投手を語るにはあまりにも知識不足で驚いたものです。
一方小山正明投手はこの年3年連続20勝以上の25勝を挙げ、奪三振数もキャリアハイの273個に達しセリーグ屈指の投手になっています。小山正明投手は梶本隆夫投手と同じ昭和48年に実働21年間の現役を終えるのですが、昭和35年8年間の実働を終えた時点に於いて、勝ち星、奪三振数ともに通算記録の半分以下の数字となっており、既に衰えを見せ始めていた梶本隆夫投手と大きく異なっています。小山正明投手は昭和37年MVP争いには敗れるも27勝を挙げ、又当時世紀のトレードと騒がれ移籍した東京オリオンズではキャリアハイの30勝を含む3年連続20勝以上を挙げております。少なくとも私が初めて小山正明投手を観た頃には、非常に美しい整った投球フォームだったので、投げ過ぎにより腕が下がってきた梶本隆夫投手と違い、長い現役生活をほぼ故障なしに過ごせたのではないかと思います。歴代屈指の好投手、梶本隆夫投手と小山正明投手、この昭和35年辺りを転機として衰えが顕著になり始めた梶本隆夫投手と充実期を迎えた小山正明投手との差が通算記録に表れた様に思えてなりません。
本塁打以外で自力のみで得点出来るのは、物凄く稀にしかあり得ないですが三塁打からの本盗、ヒットから本盗までの盗塁くらいしかあり得ないかと思います。このケースにしても、打者の協力が必要な場合も多く、自力で達成できるとしたら矢張り本塁打しかないかと思います。強いて言えば二塁打、三塁打が多く、又盗塁数も多く中軸打者の前を打つ打者は優位性があるかと思うくらいです。メジャーの記録も調べて見ましたが、最も多く本塁打を放っているバリーボンズ、ハンクアーロン、ベーブルースの3選手でも得点に占める本塁打の割合が3選手共ほぼ同じ数値で33%から35%の範囲に入っていました。従って自力以外の要素の大きい得点の記録を重要視して記録更新とか騒いだりする事に意義は感じられません。打点の記録も塁上に走者の有無とか自力だけでは数字を増やせないものですが、犠打犠飛も含めて少なくとも打つ、満塁の場合では四球を選ぶという動作は必要な為、矢張り得点とは違う種のものかと思います。又強打者の内には走力に優れない選手も多く、試合終盤に代走が出される事も多く、この記録が重要視されていない一面も裏付けているかと思います。