人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでロッシーニ「セヴィリアの理髪師」を聴く~マキシム・ミロノフ=フローレス以来のロッシーニ歌いの出現か!

2016年12月05日 07時57分25秒 | 日記

5日(月).わが家に来てから今日で797日目を迎え,お歳暮に届いた箱いっぱいの蜜柑を前にして感想を述べるモコタロです

 

          

            シューベルトが交響曲を作っていたね あれは蜜柑盛か

 

  閑話休題  

 

昨日,初台の新国立劇場でロッシーニの歌劇「セヴィリアの理髪師」を聴きました  新国立劇場の入口もクリスマス・モードです

 

          

 

実は,11月27日のプルミエ公演がクァルテット・エクセルシオのコンサートと重なったため,新国立オペラの振替サービスを利用してこの日に振り替えてもらったのです そのためいつもより1つ後ろの列の1階19列31番です.人気演目とあって会場はほぼ満席です

 

          

 

出演は,アルマヴィーヴァ伯爵=マキシム・ミロノフ、ロジーナ=レナ・ベルキナ,バルトロ=ルチアーノ・ディ・パスクアーレ,フィガロ=ダリボール・イェニス,ドン・バジリオ=妻屋秀和,ベルタ=加納悦子ほか,管弦楽=東京フィル,合唱=新国立劇場合唱団,演出=ヨーゼフ・E・ケップリンガー,指揮=フランチェスコ・アンジェリコです

 

          

 

アルマヴィ-ヴァ伯爵は,プラドで見初めたロジーナを追ってセビリアに来た しかしロジーナの財産目当ての後見人バルトロのせいで彼女は外に出られない文字通りの”箱入り娘”状態だった そこで伯爵は,金さえもらえれば散髪から恋の仲介まで何でも引き受ける”町の便利屋”フィガロに助けを求める 伯爵はリンド―ロと名を変え,あの手この手を使ってバルトロ家に侵入を試み,彼女への想いを伝えるが,大混乱を引き起こす フィガロの転機でピンチを脱し,ハッピーエンドで幕が降りる

 

          

 

新国立オペラで「セヴィリアの理髪師」を観るのは今回が6回目です.オーストリア生まれのケップリンガーの演出では2005年,2006年,2012年に次いで4回目です

このオペラは2幕から成りますが,回転舞台を有効に使ったテンポのよい進行で飽きさせません 舞台も衣装もカラフルでロッシーニのオペラの楽しさを一層引き立てます

第1幕冒頭で,フィガロ役のダリボール・イェニスが登場してカヴァティーナ「ラ・ラン・ラ・レラ・・・町の何でも屋に道を開けろ」を歌い出した時は,でかい声だけが取り柄か,この人は・・・と思いましたが,物語が進行するにつれて,しっかりしたバリトンであることが分かってきました 実は前回(2012年)の時もフィガロを歌っているのです スロヴァキア生まれのイェニスはウィーン国立歌劇場,ミラノ・スカラ座ほかでも歌っている実力者です この人の優れているのは歌唱力もさることながら,その演技力です 一例を挙げると,第1幕でリンド―ロに扮したアルマヴィーヴァ伯爵が2階にいるロジーナに向けて求愛のカンツォーネを歌う時に,バックでギターを弾いて伴奏する(もちろん本人は弾いていない)のですが,音に合わせてギターをつま弾く『エア・ギター』がピッタリと合っているのです まるで本人が弾いているようでした

一番驚いたのはアルマヴィーヴァ伯爵を歌ったマキシム・ミロノフです ロシア生まれのテノールで,現在ロッシーニ歌いとしてスカラ座やウィーン国立歌劇場などで活躍しているそうですが,現在世界一のロッシーニ歌い,ペルー出身のリリックテノール,ファン・ディエゴ・フローレスに肉迫するかのような素晴らしい声質と歌唱力です シラク―ザといい勝負かも知れません.この役柄は喜劇的な演技も求められますが,その点も申し分なくそつなくこなしていました

ロジーナを歌ったレナ・ベルキナはウクライナ出身のメゾソプラノですが,2013年の新国立オペラ「フィガロの結婚」ではケルビーノを歌っています 少年役から今回は大人の女性役へと”成長”したわけですが,歌唱力も一段とアップしたように思います 第1幕のカヴァティーナ「今しがた一つの声が」は美しい声で伸びがありました

バルトロを歌ったルチアーノ・ディ・パスクアーレはイタリア出身のバリトンです 第1幕のアリア「私のような医者に向かって」は,居丈高に歌い始め,途中からロジーナを言いくるめようと最後は早口で畳みかける”超舌技巧曲”ですが,舌を噛むこともなく見事に歌い切りました

いつも感心するのは,今回ドン・バジリオを歌った妻屋秀和です 第1幕のアリア「中傷はその風です」はロッシーニ・クレッシェンドにのって味わい深いバスを聴かせました

長いオペラの中でたった1度だけ歌う役割を担うベルタを歌った加納悦子は,第2幕のアリア「年寄りは妻を求め」にすべてを賭けました

全体的に見て 前回の主役はフィガロ役のイェニスでしたが,今回は明らかにアルマヴィーヴァ伯爵役のマキシム・ミロノフでした

最後に,この公演の立役者としてシチリア出身の若き指揮者フランチェスコ・アンジェリコ指揮東京フィルの小気味の良いテンポによる演奏を挙げておきます

 

          

 

この公演を聴くに当たって,アルマヴィーヴァ伯爵=ルイジ・アルヴァ,ロジーナ=マリア・カラス,バルトロ=フリッツ・オレンドルフ,フィガロ=ティト・ゴッピ,ドン・バジリオ=二コラ・ザッカリア他,アルチュオ・ガリエラ指揮フィルハーモニア管弦楽団・合唱団によるCD(1957年2月録音)で予習しておきました マリア・カラスは素晴らしいです

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

新国立オペラのアンケートに答えたら特性クリア・ファイルをもらいました.2016-2017シーズンのラインアップがデザインされています.チラシの整理に使えそうです

 

          

コメント
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