旅と祭りのフォトログ

さて、どちらへ行こう 風が吹く

「風の盆恋歌」 追慕

2015-06-27 10:39:58 | おわら風の盆

 直木賞作家でありベストセラー小説「風の盆恋歌」の作者として知られる高橋治氏が6月13日に亡くなられました。

 

 「遥か下に、町の北側を流れる神通川の支流、井田川が光っている。その井田川までの急な崖の斜面を石段のように家々の屋根が下っていた。川からの風が吹きあがって来る。」

 

 「風の盆」に通い始めて何年になるか確かな記憶はない。

 

 アーカイブと呼べる代物ではないが、少しばかり振り返ってみた。

 

 「風の盆恋歌」で昼間の行事はあまり触れられてないが、子供たちを交えての輪踊りと町流しは見逃せない。

 

 天満町の少し懐かしい風景、後方の地方衆が楽しそうだ、何の話題で盛り上がっているのかな?

 

 高橋治氏は「定本・風の盆おわら案内記」に寄せたエッセイで訪問客と観光客について語っている。

 

 「訪問客は風の盆に参加し、溶け込もうとするが、観光客の方は酒の肴に眺める程度の意識しかない。」

 

 分別をわきまえた粋な訪問客を目指したいものである。

 

 踊り手の浴衣の柄を見て、瞬時にどこの支部か分かりますか? と尋ねらたら・・・ 

 

 もちろん、青年男女と地方の衣装は熟知しておりますとも・・・

 

 しかし、各支部の中学生男女から幼児の衣装となると危ないものだ、まだまだ修行不足。

 

 以前、会社の同僚で富山大学出身の方が「おわらは女踊りより男踊りが素晴らしい」と語ってみえた記憶がある。

 

 確かにキレのある力強い演舞は見応えがあり、纏う衣装は高価な羽二重と聞けば尚更である。

 

 北日本新聞社編集局編「越中おわら社会学」に面白い唄が載っている・・・「御代は大正 裏日本も 汽車が通えば 表路」

 

 大正2年に北陸線全通を祝して作られたおわら歌詞である。 北陸新幹線が開業した今年は楽しみだ。

 

 「風の盆恋歌」は社会的地位と経済力を兼ね備えた中年男女の道ならぬ恋愛を描いた物語。

 

 小説をモチーフに1988年にNHKが制作した「越中おわら風の盆~高橋治原作「風の盆恋歌」より~」  こちらは何よりも背景に流れるおわら節が素晴らしい。

 

 「雁がねの 翼欲しいや 海山超えて 妾ゃ逢いたい オワラ 人がある」

 

 「風の盆と呼び習わされた年に一度の行事が来る。人々はのびやかに歌い、歌に合わせてゆるやかな振りの踊りを舞う・・・町の誰もがその三日間を見つめて生きている。」

 

 雲の浴衣に雨合羽・・・まことに珍しい場面、こんな年もあった。

 

 諏訪町で憩う鏡町の唄い手、懐かしい思い出がいっぱい詰まったワンシーン。

 

 現在の鏡町公民館竣工は2005年3月、旧鏡町公民館の時代を懐かしく想う。

 

 おわらを第三者の目線で捉えた最初の作品といえば長谷川伸の戯曲「一本刀土俵入り」 最近ではコミックの「月影ベイベ」かな?

 

 「一本刀土俵入り」の舞台で、お蔦が故郷越中八尾の母親を想って口ずさむ小原節はどんな唄なのだろうか、是非とも聴きたいものだ。

 

「今しばし 闇を忍べよ 山ほととぎす 月の出るのを オワラ 楽しみに」  

今年の「風の盆」まで二ヶ月余りとなった。

2008年~2014年 富山市八尾町

コメント (2)
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