梅は飛び、桜は枯るる世の中に、何とて松のつれなかるらん
今回演じます「猩々丸」の外題は「菅原伝授手習鑑・車引」 義太夫狂言の三大名作の一つでございます。
後宴の日は「子供歌舞伎観劇会」を楽しみたい。
456席ある「長浜文化芸術会館」は大入り満員、お弁当を食べながらの芝居見物も楽しい。
始まりはお目出度い壽式三番叟から。
役者が次々と口上を述べ見得を切る。
あまり怖くない公家悪の藤原時平。
「3月から僕たちはお父さん、お母さん、先生の厳しい指導のもとで稽古に励んでまいりました・・・」
「僕たちの晴姿をとくとご覧あれ」
「梅王丸かぁ~ 是非もなき世の有様じゃなぁ~」
「片寄れ~ 片寄れ~」
梅王丸が筋隈、桜丸はむきみ隈を見せると舞台は一気に華やぐ。
敵役の松王丸が立ちはだかった、白地に松の緑をあしらった金襦袢が美しい。
物語の詳しい内容よりも伝統の決まり事の良さを感じ取りたい。
大向こうが唸る。
錦絵のような絵面の見得で幕となります。 歌舞伎の様式美、ここに極まれり。
2015年4月 滋賀県長浜市