ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

奇行の人・人を活かす仕掛け・商品開発  アイデア三題噺 232

2019-05-13 19:02:42 | 日記

 注意散漫になることは、一般的人間のある意味で特性になります。あることをやろうとしている時に、別の事柄に注意を引きつけてしまうと、それを無視することが難しいのが人間です。さまざまなものが部屋や机の上にあると、そのものに注意が分散しやるべき作業から意識を逸らされてしまいます。その意味で、普通の人にとっては、乱雑な机や散らかった部屋は、仕事の足を引っぱる危険が充満しているともいえます。一般的に言えば、机や部屋の中はきちんと片付づけて、注意が作業から逸れることを避ける工夫をすることになります。ところが、このきちんとできない人やきちんとしないで勝手にやっているような人達が、いろいろな新しい発想やものの見方を量産する現象も出てきています。さらに、驚くべきことは、これら勝手にやる人達を優遇する起業や組織まで出てきているのです。
 そこで、これらの「勝手にやる人達」(異常に好奇心の強い人や奇行の人)について考えてみました。アリストテレスによると、「狂気の混じらない天才はかって存在しなかった」ということになります。偉大な作家の中にも、この種の傾向を持った人達が多いのです。ドイツの大文豪のゲーテは、双極性障害 といった気分障害をもっていたことが分かってきました。アスペルガーでは、アインシュタイン、ルーカスなどの有名人がいます。日本では、平均的私立高校の平均的生徒が、大学入試模擬テストで全国一位になった例があります。全国一位になったこの生徒は、テストのー週間後に発病したそうです。
 古代ギリシャおいて、詩人は高い評価を得ていました。詩人は神からインスピレーションを受取り、神の言葉を美しい詩として世に送り出す貴重な存在と認められていたのです。でも、詩作の際には、詩人は狂気の状態に陥っていました。古代ギリシャでは、好奇心の強い人や奇行の人を上手に生かす装置や仕組みが、社会に用意されていたとも言えます。奇行の人々は、既成の常識や思い込みに流されることなく型破りなアイデアを作ることがあります。そのアイデアが、社会や文化に新しい風を吹き込むこともあるわけです。現代でも、この仕組みを作ることは可能でしょう。その萌芽も、出はじめているようです。
 副業を奨励する企業が、増えてきています。これには、本業を違う角度から、俯瞰できる人材を育成する狙いがあるかもしれません。工場での事故を、個人の視点から捉える企業は中の下とされます。個人の起こした事故を組織として捉える企業が、中の上と評価されるわけです。その理由は、個人の作業は、組織の中に組み込まれています。組織が長時間労働や過重な作業を強いていれば、いずれ個人が疲弊し事故を起こす流れになります。良い組織は、事前に適正な時間と作業の中で働いてもらう環境整備をしているわけです。
 これからの社会や企業は、新しい発想やアイデアが重視されます。このような発想やアイデアを必要に応じて、数多く量産できる人材育成をする環境整備は、どうすればできるのでしょうか。これらの人材は、ゼロからイチを生むエネルギーや創造性のある人達です。ヒントは、無理をしないで利益を上げている企業にあります。企業は、決った商品だけを生産しているわけではありません。新しい商品開発のために、試作品を自社の生産ラインを使用して作ることもしなければなりません。生産ラインがフル稼動していれば、試作品のテストはできません。実稼働率を70%~90%の範囲で生産を行っていれば、試作品のテストは可能です。いわゆる遊びが、ある状態です。稼働率を少し下げ、時々点検をしたりメンテナンスした方が、生産ラインは継続的に使えることになります。このことは、生産ラインだけでなく、人的資源に言えるのです。生産ラインも人間も、ある面で遊びがないと力を出せない場面が出てきます。遊びが、生産性や新しい商品開発を生み出す仕掛けの一部なのかもしれません。