全英連参加者のブログ

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県立高校跡地利用

2015-02-07 04:00:00 | 気になる 地方自治・行政

校舎イメージ 旧幸手高の跡地処分について、過日取り上げた。続編ということではないが、県立高校の跡地利用についてのお話しである。
 このことについて、昨年12月10日定例県議会で質疑応答があった。県教委だよりに紹介されていたので、県議会ウェブサイトで議事録を読んでみた。以下関連部分を全文引用する。

 質問者:柿沼トミ子議員(自民)
 圏央道の県内開通が間近に迫る中で、県では、圏央道沿線における産業基盤づくりに取り組まれました結果、先日発表のあった株式会社ニトリをはじめ多くの企業立地が進むなど、地元経済の振興や新たな雇用の創出に大きな効果があったものと認識いたしております。
 しかしながら、昨年9月の定例会でも取り上げさせていただきましたように、圏央道のみならず、県北あるいは群馬県、栃木の県境などでも産業団地整備が必要ではないかと考えております。
 そのような中、私の地元であります東北自動車道加須インターチェンジ近くの北大桑地区につきましては、企業局におきまして今年度、道路、公園、分譲地等の詳細な設計や環境調査等を進めていると伺っており、地権者の交渉も順調に進んでいると伺っております。早期の実現をお願いするということでございますが、ほかに2つ、地元問題としてお願いをしたいと思います。
 旧騎西高校の跡地利用について、その後の検討状況をお伺いをいたします。
 昨年の9月の定例会でも一般質問でお聞きをいたしましたが、旧騎西高校は敷地も広く、建物も十分に活用できるものでございます。東日本大震災の際に避難所として使用し、全国的にも有名になった旧騎西高校の公的な活用につきまして、是非県有施設として、現在ある機能を十分に生かす形で活用を図っていただきたいと考えておりますが、現在の検討状況につきまして教育長にお伺いをいたします。

 回答者:関根郁夫教育長
 旧騎西高校は、東日本大震災により被災された、福島県双葉町の方の避難所として活用し、平成25年12月に全ての方が退所されました。
 閉校前は、普通科と体育科を併設していたため、野球やサッカーで利用可能な2面のグラウンドや、耐震性が確保された2つの体育館、50mのプールを備えており、県民にとって大変貴重な財産です。
 現在は、地元少年野球チームがグラウンドを利用しているほか、体育館では、2月の雪害後、県体操協会が熊谷ドームの器具を借り、大会を主催するなど、施設機能を維持させながら、暫定的に活用しております。
 平成25年9月定例会での議員の御質問を踏まえ、これまで庁内で、施設上の制約、行政ニーズの掘り起こし、類似施設との競合など、解決すべき課題の洗い出しを中心に検討してまいりました。
 また、地元加須市からは、合宿が可能な宿泊施設を備えた県民のスポーツ活動の拠点とできないかとの意向が示されたところでございます。
 今後は、課題解決に向けて、新たに外部の有識者御意見をいただくことも視野に入れ、引き続き検討を進めてまいります。

 フォントの色は僕がつけた。注目したところである。

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 廃校になった小中学校をオフィスや、アトリエとして活用した事例を聞く。海水魚の屋内養殖施設にした例もあるようだ。エンタメ企業最王手の吉本興業東京本部は、新宿区立の廃校になった小学校を活用している。これらはいずれも建物本来の用途とは異なる利用である。
 実際使う場合、トイレ等設備改装はさけられない。冷暖房や防音もオフィスビルの水準とは違う。ICTインフラも弱い。ほとんど知られていないが、普通教室は電気容量がかなり低いはずだ。改修することになる。エレベーターもない。吉本のような大企業ならばともかく、ベンチャー企業のオフィスとしての利用も、実際に使うとなると貸出面積の設定は難しい。パーティションで区切ればいいのだが、その改修にはお金がかかる。そのお金は利用料にはね返る。
 老人福祉施設等での活用もよく言われるが、学校の校舎は児童生徒が前提の建物である。高校は車いす利用者の生徒が入学する場合、スロープを新設することはある。大規模改修の時ににエレベーターを新設することもある。でも、それらは標準ではない。お年寄りの施設としては、使い勝手はよくない。バリアフリーとは、とても言えない。非常時の避難経路も2階以上は階段である。
 世間には廃校になった学校の校舎が、そのまま、もしくは小規模改修で使えると勘違している人がいる。用途転換をするならば、それに見あう改修がMUSTなのだ。

 震災後避難所になった旧騎西高の施設設備。柿沼県議はこれを「売却しろ」と主張しているわけではない。「県有施設として、活用を図れ」としているのである。では、学校の施設設備は学校以外でどう使えるのだろう。教育長は、既存施設設備が有効に使える場所(スポーツ関連施設)としてどう使えるかを念頭に、答弁していると思える。ハードウエアとしての校舎施設設備の問題以上に、活用方法でいろいろあることがわかる。青字にした部分を読むと、僕にはそう読める。

・行政ニーズの掘り起こし
 県有施設として維持するほど、必要とされているのか。掘り起こさないとニーズが見つからない。
 答弁にもあるように、「暫定的に活用」なので、積極的に「使えますよ、使ってください。」と広報活動をしないと、行政ニーズ(使いたい人を集めること)が見えない。
・類似施設との競合
 既存の類似施設、特に民間資本のものがある場合は、公共施設を設けることは難しくなる。重複投資(むだ遣い)、民業圧迫とのおしかり(ご意見)をちょうだいすることになる。
 旧騎西高開校時、位置は既設の高校との距離や、周辺地域の生徒の通学距離等を勘案して決めたはずだが、それはあくまでも県立高校としての「適正配置」である。高校としての旧騎西高の場所と、スポーツ関連施設としての場所は違うかもしれない。仮に旧騎西高からさほど遠くない場所に、例えばスイミングスクール・クラブが存在しているとする。旧騎西高プールが、民間よりも格安で利用できるようになれば、これは行政としてどうかということになる。
・加須市からの意見(解決すべき課題)
 公共施設にする場合、県単独所有か、地元との共同所有かを考えなくてはならない。仮に県単独としても、当然地元自治体である加須市の意見も聞かなくてはならない。旧騎西高開校時、その校地をどのように埼玉県が取得したか詳しくはないが、地元からの供出ということであれば、政治的なプロセス(配慮、根回し)もさけられない。
 公共施設にする場合、高校とは異なり、利用者が自動車で施設に来ることをある程度考えなければならない。周辺の公道(市道)整備は地元にしてもらうことになる。共有とするのならば、地元市民の利用にもある程度配慮するが、維持管理にかかるお金も応分の負担を加須市にしてもらうことになる。

 なかなか大変である。

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