3週にわたり放送された「バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作」(BTTF)で、主人公のマーティーが堪忍袋の緒が切れた時 or 虚勢をはるときにいう台詞である。
Nobody calls me chicken.
『誰にも僕を臆病とは言わせない。(=オレを腰抜け扱いするな。)
だいたいこんな日本語訳になると思う。
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この文の構造は?
S:主語,nobody
V:動詞,call(s)
O:目的語,me
C:補語,chicken(ニワトリ=臆病者)
主語のnobodyは一般的に「否定語」である。否定語主語の文は、「~の人、~する人は一人もいない」という意味になる。
動詞のcallは色々な使い方があるが、O+Cをともない「OをCと呼ぶ」という文型になる。
両方合わせると、「僕を臆病者と呼ぶものは一人もいない。」が学校英語的日本語だろう。でも、映画の中ではそのような意味を表さない。
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命令文?
英語の命令文は主語がないと言われるが、正しくない。命令は命令する方からされる方へ、つまり命令者から(目の前の)相手に直接言うことで成立する。文書や電話で「命令」することもあるが、それはことばの成り立ちから見て、後々のことである。
「(YOU)~をせよ、するな
これが基本なので、Youはあえて言わない。こんな風に、
This is the Police. Open the door.
(警察だ。ドアを開けろ。)
もしもYouをつけると、
You(,) open the door.
(お前、ドアを開けろ。)
かなり、威圧的になる。
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Nobody calls me chicken.
『(誰一人、僕を臆病者とは言わない。そういうことを言う人間はいない。だからお前も)、僕を臆病者と呼ぶな。
下線部は平叙文である。事実を伝える文である。下線部の内容を「事実」として強弁し、赤字部分のようなメッセージを伝えている。形式は動詞スタートではないが、命令文的である。
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BTTFはこれまで何度か「午前10時の映画祭」で上映された。でも、なかなか劇場で見る機会が得られない。今回3部作を日テレでみることができた。あらためておもしろいと感じた。