全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

学校からなくなったもの

2013-05-20 05:03:11 | 教師の仕事 2013

 ホリイ謄写ファックス
 名前で間違えてはいけない。これは印刷物の版下を作る機械。1985年頃まで学校に存在した。
 ファックス原紙(コピー用紙のようなものに、薄緑で罫線が引いてある。普通のコピー用紙も使用可)に原稿を手書きする。イラストのコピーなどを貼り、生徒に配布するプリントの原稿を作る。原稿をこの機械にセットして、印刷機の印刷版下を作る機械である。
 現在55歳以上の先生たちまでは、ガリ版を切ってプリントを作成した世代。45歳から50歳位の世代が、この機械で印刷版下を作成した世代。それより若いと、RISO印刷機世代である。

 ガリ版世代は、生徒にプリントを配布する場合、以下の手順になる。
 ①鉄筆・ガリ版で印刷版下作成。
 ②手刷印刷機で印刷。
  ①②とも手作業である。
 ホリイ謄写ファックス世代はこうなる。
 ①原稿を作成。
 ②謄写ファックスで印刷版下作成。
 ③印刷機に版下をセットして、印刷。
  ①は手作業。タイプライターなども使った。
  ②はセットするまでが手作業。
  ③は電動である。
 電動というのも、古くさい言い方だ。僕はホリイ謄写ファックスを使った最後の世代である。
 なお、RISO印刷機(リソグラフ)は原稿は手書き、または、ワープロでプリントアウト。それを印刷機にセットし、版下作成・印刷になる。便利さにめまいがした記憶がある。

 ざら紙(わら半紙)
 数年前から、学校の消耗品代表格、ざら紙(通称「わら半紙」)が、姿を消しつつある。勤務校でも、ざら紙はもう使用していない。
 従来から学校では外部に送達する文書(いわゆる校長印付き公文書)はコピー用紙を使っていた。また、僕が教師になった頃までは、ホントに大事な文書は、B4やB5の上質紙を使用していた。
 学校においては、通常使用する紙には以下の区分が存在した。
 ①コピー用紙
 ②中質紙
 ③ざら紙

 ①コピー用紙
 名前の通りコピー機に入れて使う紙である。現在では普通の印刷物、PCのプリンタ用紙としても使われる。
 ②中質紙
 通称だと思う。ざら紙よりもやや厚みがある。コピー用紙並みの厚さ。ただし色味はコピー用紙ほど白くはない。黄色、アイボリーホワイト。悪い言い方をすれば、日に当たり黄ばんだような色味である。
 ③ざら紙
 ざら紙とは中質紙のことであるとの意見もあるが、僕の感覚では別物。いわゆる、灰色のわら半紙。

 ③が事実上生徒の目に触れなくなって何年になるのだろう。
 上質紙と①は同じものであるという人もいるが、両者は手触りが別なのだ。僕の感じる(そして学校にあった)上質紙は、現在ローソンやファミマなどのコンビニのコピー機で出てくる、漂白のきいた白色の発色のいいもので、コピー用紙よりも厚みのあるものだ。それらを上質紙としていた。そうでないものが、僕の感覚ではコピー用紙である。
 ここ数年で再生紙の紙質、色味が向上した。現在ではざら紙より、再生紙のコピー用紙の方が低価格なので、学校で使われる印刷物の紙は、ほぼ①のみである。ただ、コピー用紙といっても、実態としては色の白いざら紙である。

 インク消し
 インク消しはいわゆる万年筆のインクを消す薬剤のこと。吸い取り紙とセットで、学校に存在した。黒、青、赤それぞれインク消しがあった。

 修正液
 修正液は二通りあり、謄写ファックスの版下を作る時に、鉛筆以外で書いたものや、コピーしたものの一部を消すために使われた。白ペンキのようなもの。これは現在では修正テープになっている。
 もう一つは、印刷物を一部修正して版下を起こす場合に使われた。印刷物は通常ざら紙である。ざら紙に白い修正液を用いると、その部分だけうまく原稿が作れなくなる。地の色(ざら紙の色)と同じような色のペンキのようなもの。乾いたらその上にインクで字を書いた。

+++++ +++++

 あと数年で、ざら紙を知らない世代が先生になる。そして、こんなことを書いている世代が引退する。

+++++ +++++

 【注】
 紙の呼び方は、僕の
勤務校での呼び方です。厳密な意味での工業製品としての名称と一致しない可能性があります。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 仕様変更・向上 | トップ | アラン・ディーン・フォスター »
最新の画像もっと見る

教師の仕事 2013」カテゴリの最新記事