卒業式を欠席するとどうなるか。
卒業は当然認められる。ただし、卒業証書、各種証明書、卒業アルバム等々は通常学校に来ないともらえない。
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埼玉県立高等学校通則(原文縦書き)
昭和30年9月1日教育委員会規則第5号
第十一条 校長は、その学校(専攻科を除く。)における所定の各教科に属する科目、特別活動及び総合的な学習の時間を履修し、その成果が満足できるものと認められる者に対して、卒業の認定を行う。
2 前項により認定された者に対して、校長は 卒業証書(様式第一)を授与しなければならない。*
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『...を授与しなければならない。』
『授与する。』でも、『授与するものとする。』でもない。『ねばならない。』は強い感じである。だから、卒業証書授与式という仰々しい名称にもなる。式では通常卒業生全員の呼名がある。それも校長が卒業証書を授与することを、通則でさだめられているからだと考えれば、なるほどなと思える。形式的と言うなかれである。形式的であっても、大事なのだ。
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卒業式に欠席する生徒もいる。
僕も担任の生徒がインフルエンザで欠席(出席停止)だったことがある。欠席者は、日をあらためて登校。校長自身か代理(教頭、場合より担任)が当該卒業生に卒業証書を代読、手渡しする。受験等の理由で欠席の場合も同じである。ただ、連絡などをしても、もらいに来ない生徒がいる。
卒業証書はどうなるか。
学校の公文書は、保存年限が法律・条例等で定められているものがある。これは以前「指導要録」で書いたことだ。では「卒業証書」はどうかというと、保存年限の定めがない。卒業証書は「保存」の対象ではないのだ。
卒業予定者には2学期中に氏名(の文字)、誕生日等の確認文書を提出させる。それに基づいて証書作成準備がはじまる。証書は卒業生数の確定までに、通し番号以外が書き上がっている。担任のチェックも済んでいるものだ。
2月中旬、卒業生数が確定、証書に通し番号の記入作業開始。その後、校印・校長印の押印、卒業証書授与台帳と割り印をして完成、卒業式まで校長室の耐火金庫で大事に「保管」される。証書は卒業式で授与すれば、学校の管理を離れる。何らかの理由で式当日、生徒に授与できなくても、生徒が学校にもらいに来るはずのもの。だから、保存年限を決める必要なんかないのである。想定外なのだ。証書は当然授与できるもの。だから、一時的に耐火金庫にしまっておくだけである。
やむを得ない状況で、登校できず、校長や担任が生徒宅(病院等)まで届けたということがないわけではない。しかしそれがニュースになるということは、きわめてまれなことである証である。
卒業証書をもらいに来ない場合は?
では、担任が受領に来るように連絡しても、正当な理由がなく、ず~っともらいに来ない場合はどうするか。基本的には郵送はしない。届かない可能性があることは、しないものなのだ。通常卒業証書は、しかるべき場所(校長室の耐火金庫や卒業生指導要録などを納める金庫等)にしまわれることになる。いつまで、、、
ず~っとである。
「卒業証書」に保存期限の定めがない。少なくとも、処分する根拠法規・条例はないと思う。だから、何らかの理由で、卒業証書を受け取らずにいる人。ひょっとしたらあなたの卒業証書は母校のどこかであなたのことを待っているかもしれないのだ。
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*『「通則(の定め)」が「校長」に「卒業証書」を授与させる』とも読める。
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2014.03.15、「卒業式に思う~その1」
2006.03.10、「指導要録」