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全英連参加者のブログ

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ミッキ-17

2025-04-05 06:00:00 | 全英連参加者 2025
ミッキー17 ポスタービジュアル  失敗続きの人生を送ってきたミッキー(ロバート・パティンソン)は、何度も生き返りながら働くという契約をある企業と交わす。過酷な業務を命じられて命を落としては生き返るという日々の中で搾取されてきたミッキーの前に、企業側の手違いで誕生した自分の分身が現れる。ミッキーは、この状況を生かして企業への反撃に動き出す。

 最初に本作の情報を得たのは昨年12月。ものがたりの世界観がとても気になった。公開初日見に出かけた。

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 ミッキーのような存在は、ものがたり世界ではエクスペンダブルズ(expendables)と呼ばれ、扱われる。
 expendableは形容詞、名詞である。前者は「使い捨ての、消耗品の」の意味、後者は通常複数形で「取り替えのきくもの」「消耗品」という意味になる。作中は《使い捨て人間》である。

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 ミッキーは事業に失敗、大借金がある。彼には返済の見込みがない。夜逃げのために植民団(地球外の惑星への移民団)に応募する。
 彼には特別な資格、技能がない。植民団に入るため、申し込み(アプリケーション,契約書)をよく読まずに、専ら危険な任務、人体実験の検体として使われるエクスペンダブルになる。
 エクスペンダブルの身体は元の人間の複製である。肉体はバイオデータによもの。記憶は1週間単位でバックアップされたもの。「死ぬ」と人体プリンタで再生される。肉体に記憶をすり込み、個人としての連続性を保つ。
 ミッキーもエクスペンダブルになる時に、バイオデータが採取され、記憶もバックアップされた。元の彼は消去(死亡)、エクスペンダブルのミッキ-1が宇宙船に乗船している。

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 植民団を率いるのは、ケネス・マーシャルとイルファのカップルだ。ケネスは元議員、選挙に二度落選している。彼は政治家を断念し、惑星ニフルヘイムへの移民計画を立ち上げた。現在は植民団の《支配者》になっている。植民団という形態ではあるが、実質的にはカルト的な思想の元、地球外で自分の王国を作ろうと画策している人物である。自らの言葉、思想に酔う。イルファはその妻である。
 ・・・描き方が非常にクレイジーだ。
 自分たちの思い通りになることが絶対善・正義。そんな二人である。

 ミッキーはものがたりのスタートで、すでに17である。16までは使い捨てられたことになる。その17番目もクレバスに落ち、かなりの重傷。仲間に発見されるが、救助されず見捨てられる。
 見捨てられた彼の元にニフルヘイムの原生生物が現れる。人類は原生生物をクリーパーと呼んでいる。彼等は捕食者と考えられ、移民の障害と見なされている。ミッキーは食べられることを覚悟したが...

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 死んでも再生可 by 人体プリンタ
 川又千秋の「宇宙船∞号の冒険」「惑星オネイロスの伝説」のリクリーチャー(再生者)と同じかな。でも、これらの小説で描かれる「再生(フォームバック)」プロセスのようなワクワク感はない。非常にシニカルな感じである。
 人体プリンタは、ものがたりにおいて非常に重要なガジェット。MRI状の装置だが、描写がとてもインチキくさい。大昔のドットインパクトプリンタから、連続用紙がはき出されるようである。
 人体再生シーンで思い出すのは、実写作品だと「フィフス・エレメント」(1997年)がある。同作のリー・ルー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)の再生シーンの細密さから見ると、とてもチープ。狙ってそうしているのだろう。

 人間の複製は地球外でのみ
 植民団では17が死亡したものと見なされ、18が作成される。そこに17が帰還する。地球外でも重複した状態は禁じられている。17と18は消されそうになる。オリジナルと複製の重複もだめである。
 ~あとは劇場で。面白いと思います。

 ケネス・マーシャル
 誰がモデルだ?
 ・・・BTTF2のビフ・タネン、電気自動車屋さんのE・M?
 キャラクターとして、見事なまでに嫌なヤツである。

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 これらの描き方が、ものがたり世界の絶望感を際立たせている。
 なかなか面白い作品でした。

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