最初にこの作品が印象に残った理由は、テーマソング。全く知らない声なのに、どこかで耳にしたように変な感覚だった。
・・・一瞬、「Chara」さんかと思った。
シネコンで作品のちらしを見つけ、ウェブサイトを見ると、「岩井俊二」の名前が目についた。岩井によるドラマを基にした作品で、長編として再構築。夏休みを過ごす中学生の男女を主人公に、何度も繰り返されるある1日を描く作品...
・・・作品、見てないな。
いつ頃の作品か見当がつかない。
僕は岩井俊二作品は、’03年、ネスレによりネット配信された短編映画を元に、長編映画として制作された「花とアリス」(’04)は劇場で見た。でも、それ以外は見たことがない。
・・・で、見に行きました。
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「もしも、あのとき…」「もう一度、時間を戻せたら…」
繰り返す、夏のある一日。花火が上がるとき、恋の奇跡が起きる---
映画のtaglineである。
夏のある1日、登校日。典道と祐介は、なずなの前で競泳対決をする。典道は、競争のさなかに水中で不思議な玉を見つける。祐介は競争に勝ち、なずなに花火大会に誘われる。
放課後、クラスメイトが打ち上げ花火のことで盛り上がっている中、なずなが母の再婚に悩んでいることを知る典道。
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典道は自分にもどかしさを感じたり、運命を変えたいと考えたとき、玉を投げる。玉を投げると、典道のもとめる「ある時点」に戻り、そこから運命が少し変わる。そして夏のある1日が進んでいく。その繰り返しである。
途中で最後はどこに戻るんだろう、どんな最後になるんだろうと思いながら見ていた。
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SFではなく、ファンタジーだと思う。
中学生の典道となずなが繰り広げる、中学1年生の夏の1日のできごと。
最初の10分間ほどは、登場人物たちが中学生に見えなかった。でも、典道、なずな、友人の祐介たちとの会話がはじまると、「ああ、高校生じゃないな」と思えた。そのあたりから、ものがたりが僕の中に、す~っと入り始めた。不思議な感覚だった。
主役のなずな、CVは広瀬すずさんである。
声優の仕事は「バケモノの子('15)」以来だが、主役は初めてである。実年齢19歳の広瀬さんが13歳の中学1年生を演じる。一般的に中学生くらいだと精神年齢が女子>男子で、男子の方が子どもっぽいとされるが、ちょうどいいくらいの雰囲気。
典道のCVは菅田将暉さんである。
ひと言で言うと、印象が薄い。祐介を含めてなんだか同じ声に聞こえた。
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「最後はあそこに、ああ戻るのか。
そんな感じの終わり方。
文中一部敬称略。