平成24年度から一本化された、埼玉県公立高等学校学力検査。平成29年度入試から、英語・数学で学校選択問題が実施である。ただし、英語のリスニング部分は共通である。
今年も英語実音テスト問題の音源CDを借り受け、リスニングテストの分析を実施した。分析ポイントは、前年度問題形式との比較。変更の有無、wpm*の確認である。
***** *****
3月2日(木)14時40分、英語学力検査の開始チャイムが鳴る。その数秒後「放送を聞いて答える問題」が始まる。この問題が終わらなければ、他の問題に手をつけることは、実質的に不可能である。今年度から、社会・理科2科目の試験時間が50分になったので、英語の試験開始が20分、前年度より遅くなっている。
平成29年度入試も、試験は全部で7問、求められる解答数が11である。
問題1から問題3
会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一、ヒントのイラスト、地図がついている。
問題4と問題5
それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
問題6
中学生のEmiとALTのMr. Jonesとの会話を聞き、内容に関する三つの質問に日本語で解答する記述問題である。
問題7
中学生のYukaが英語の授業で行ったスピーチを聞き、その内容に関する質問の答えとして、最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一問題で、英文の答えが出ている。
基本的な構成は、昨年までと全く変更がない。
***** *****
使用音源
平成29年度 英語録音CD1枚
計時使用機材
WMPと一般的なCDプレーヤーを使用。
計時はWindows 10のWMPによる。ストップウオッチも使用。
・・・毎年同じ作業である。
分析手順
①語数とセンテンスの数をカウント。
②何度も聞き直し、各英文の時間を計測。
③問題~問題の間のポーズを計測。
④はじめから、「以上で問題は終わりです」までの実時間を計測。
⑤前年の数値と比較。
①から④は手作業(耳作業)である。
・・・ここも昨年と同じである。
+++++ +++++
以下、音源CD構成と計時データ
トラック1 音量調整のための放送
試験当日朝に試聴のために用いる。
(試験とは関係ない。)
トラック2 無音
トラック1をかけたままにしていると、注意される。
(間違えて、問題を誤放送させない配慮。)
トラック構成も昨年度と同じである。
トラック3(0:27)
0:00- 「放送を聞いて答える問題」のアナウンス。
トラック4(1:14) 問題1
0:01- 問題1から問題3の解答方法の説明
0:25 問題1放送 1回目
0:40 問題1放送 1回目終了
0:42-45 問題1 Question1回目
0:50 問題1放送 2回目
1:05 問題1放送 2回目終了
1:07-10 問題1 Question2回目
問題1は、AとB(AndyとKumi)の会話である。A→Bが2回。15秒で話者2、総語数40語である。
このペースで会話が続いたとすると、15秒は1分の25.0%なので、40を0.25で割る。
160wpmとする。(157)
カッコ内は、H.28データである。以下同じ。
トラック5(1:04) 問題2
0:02 問題2放送 1回目
0:23 問題2放送 1回目終了
0:25-29 問題2 Question1回目
0:33 問題2放送 2回目
0:54 問題2放送 2回目終了
0:56-1:00 問題2 Question2回目
問題2も、AとB(MaryとTakashi)の会話である。A→Bが2回。MaryがTakashiに将来の希望を尋ねるもの。21秒で話者2、総語数57語。
このペースで会話が続いたとすると、21秒は1分の35.0%なので、57を0.35で割る。
163wpm(171)
トラック6(1:06) 問題3
0:02 問題3放送 1回目
0:24 問題3放送 1回目終了
0:26-30 問題3 Question1回目
0:34 問題3放送 2回目
0:56 問題3放送 2回目終了
0:58-1:02 問題3 Question2回目
問題3も、AとBの会話。A→Bの回数も同じ。鉄道の乗りかえについての会話である。22秒で話者2、総語数53語。
このペースで会話が続いたとすると、22秒は1分の36.6%なので、53を0.36で割る。
145wpm(160)
トラック7(1:10) 問題4
0:01 問題4と問題5の解答方法の説明
0:22 説明終了
0:26 問題4放送 1回目
0:38 問題4放送 1回目終了
0:40-43 問題4 Question1回目
0:49 問題4放送 2回目
1:01 問題4放送 2回目終了
1:03-06 問題1 Question2回目
この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。12秒で話者1、総語数50語、センテンス数4。
このペースで発話が続いたとすると、12秒は1分の20.0%なので、27を0.2で割る。
135wpm(176)
トラック8(0:43) 問題5
0:02 問題5放送 1回目
0:12 問題5放送 1回目終了
0:14-17 問題5 Question1回目
0:23 問題5放送 2回目
0:33 問題5放送 2回目終了
0:35-38 問題2 Question2回目
問題5も問題4と同じパターン。10秒で話者1、総語数28語、センテンス数3。
このペースで発話が続いたとすると、10秒は1分の16.6%なので、28を0.16で割る。
168wpm(160)
トラック9(2:30) 問題6
0:01 問題6の解答方法の説明
0:14 説明終了
0:16 問題6放送 1回目
1:13 問題6放送 1回目終了
1:21 問題6放送 2回目
2:18 問題6放送 2回目終了
問題6は、最初の方にも書いたとおり、中学生のEmiとALTのMr. Jonesの会話である。57秒。総語数141語、センテンス数25。会話のやりとりが12回である。Mr. Jones→Emiが6回である。
このペースで会話が続いたとすると、57秒は1分の95%なので、141を0.95で割る。
148wpm(148)
なお、トラックの長さは2:30だが、録音は2:18で終わっている。最後の問題までの間10秒ちょっと空白になる。
トラック10(4:34) 問題7
0:01 問題7の解答方法の説明
0:20 説明終了
0:22 問題7放送 1回目
1:41 問題7放送 1回目終了
1:44-49 Question 1
1:57-03 Question 2
2:11-17 Question 3
2:24 問題7放送 2回目
3:43 問題7放送 2回目終了
3:46-51 Question 1
4:00-05 Question 2
4:13-18 Question 3
問題7は、中学生のYukaがおこなったスピーチについての問題。内容について答える問題である。79秒で話者1、総語数209語、センテンス数18。
このペースでスピーチが続いたとすると、79秒は1分の131%なので、209を1.31で割る。
159wpm(146)
なお、問題7(トラック10)の4:26のところで、「放送を聞いて答える問題」の終了が告げられる。午後2時40分の英語試験開始のチャイムから、ここまでが12分半。残り試験時間が37分程度。
リスニングテストの配点は100点満点中28点である。
+++++ +++++
WPM比較
Questions | H27 | H28 | H29 | |||
1 | words | 59 | 44 | 40 | ||
seconds | 23 | 17 | 15 | |||
wpm | 164 | 153 | 155 | 160 | △ | |
2 | words | 41 | 57 | 57 | ||
seconds | 15 | 20 | 21 | |||
wpm | 145 | 164 | 171 | 163 | ▼ | |
3 | words | 50 | 48 | 53 | ||
seconds | 20 | 18 | 22 | |||
wpm | 136 | 150 | 160 | 145 | ▼ | |
4 | words | 26 | 50 | 27 | ||
seconds | 10 | 17 | 12 | |||
wpm | 161 | 156 | 176 | 135 | ▼ | |
5 | words | 32 | 32 | 28 | ||
seconds | 12 | 12 | 10 | |||
wpm | 151 | 160 | 160 | 168 | △ | |
6 | words | 158 | 158 | 141 | ||
sentences | 26 | 30 | 25 | |||
seconds | 60 | 64 | 57 | |||
wpm | 155 | 158 | 148 | 148 | ±0 | |
7 | words | 175 | 195 | 209 | ||
sentences | 19 | 18 | 18 | |||
seconds | 72 | 80 | 79 | |||
wpm | 153 | 145 | 146 | 159 | △ |
words:語数
sentences:文の数
seconds:英語の流れた時間(単位:秒)
wpm:1分間でどのくらいの語数を聞き取ることになるか。
は、平成24年度~平成26年度3年間の平均値である。
は、平成28年度との比較。△は数値が増加したもの、▼はその逆である。
平成28年度との比較は以下の通り。
問題1:難化
問題2:易化
問題3: 〃
問題4: 〃
問題5: 〃
問題6:変化なし。
問題7:難化
+++++ +++++
なお、問題、正答、データ分析は、埼玉県総合教育センターウェブサイトで公開されている。
http://www.center.spec.ed.jp/ (新しいウインドで開きます。)
(メニューの「入試情報・説明会案内」から)
・平成27年度~平成29年度の問題を公開中である。
今年も分析をするために、東京新聞ウェブサイトの『首都圏公立高校入試特集ページ』を参考にした。問題を見るのならば、このサイトを利用するといい。関東地方の公立高校入試問題を、PDFでアップロードしている非常によくできたサイトである。毎年使わせてもらっている。特記する。
アドレスはこちら。(新しいウインドで開きます。)
http://www.tokyo-np.co.jp/k-shiken/index.html
昨年のエントリはこちらです。
2016-08-06
「平成28年度埼玉県公立高等学校入試 英語リスニングテスト分析」
*このエントリにおけるwpmの出し方(考え方)については、以下を参照されたい。
2010-03-11
「wpm」