山小屋だより

山歩きや街歩き、そこで出会った花や風景を紹介しています。
ぜひ、一緒に歩きましょう

安達太良山(その5)

2009-05-29 | 福島の山

翌日もよい天気でした。
幸い具合悪くなった女性も一晩寝たら元気になったようです。
再び峰の辻から牛の背に登って稜線を歩きます。
今回は箕輪山~鬼面山~野地温泉と縦走してタクシーで
車をおいてあるスキー場まで戻る予定です。
小屋のすぐ上に牛の背に登るコースがあるようです。
ガスが噴出しているようで、立ち入り禁止になっていました。



イワカガミの葉っぱがたくさんありました。
まだ花が咲いていません。
もうすぐすると小さいピンクの花が咲きます。
朝日に照らせれて鏡のように輝いていました。



前日下ってきた道を登ります。
右側にどっしりした山が見えます。
鉄山という山だそうです。
大きな土砂の中から顔を出した姿に見えました。
噴火の名残のようでした。



ショウジョウバカマが朝の挨拶をしてくれました。
これはまだ咲き始めのようです。
ショウジョウではなく少女(ショウジョ)と呼んでもよさそうです。
オシベのヤクが大きく膨らんできれいでした。



前日下った雪渓を登ります。
奥の雪渓にクッキリと道ができています。
この時期の雪は締まっていて歩きやすいです。
雪渓から登山道に上がるところは下が空洞になっている
場合があるので、踏み外しに気をつけたいものです。



雪渓の途中で下を眺めてみました。
思わず「シリセード(お尻で滑ること)」したくなりましたが、
登ってくるのがたいへんなので止めました。
ここの雪渓は夏まで残るようです。



太陽の下におもしろい形の雲がでていました。
イルカに見えましたが、如何ですか?
その前を小さな魚が泳いでいます。
こんな雲をみていろいろ空想するのも楽しいですね。



小屋をでて1時間30分くらいで峰の辻に到着しました。
前日登った安達太良山の頂上がよく見えます。
風がかなり吹いていました。
ここから牛の背までは30分くらいです。



稜線にでるまで少しショートカットするようです。
雪の上はどこを歩いても歩きやすいです。
風がだんだんと強くなってきました。



雪渓の上に白い筋がみえます。
石が転がった跡です。
途中に幾つか石が残っています。
白馬の大雪渓で落石にあって怪我をする事故があります。
石は雪があると音もなく落ちてきます。
ガスで視界が悪い時は特に要注意です。



登ってきたほうを見ました。
大きな黒い雲が流れています。
晴れてはいるのですが、何となくようすが変です。
稜線にでる手前で更に風が強くなり、小石が顔に当たるように
なりました。
女性が前に進めなくなり、岩陰に座ったままです。
稜線まで10mくらいのところでリーダーと話し合い、縦走を
諦めることにしました。
稜線に出て吹き飛ばされたら、怪我だけでは済みません。
全員納得しました。



引き返すと決まれば足は速いです。
少しでも風が少ないところまで急ぎました。
このあたりは普段でも風があるそうです。
でも体が1歩も前に進めないような風は久し振りでした。



だいぶ降りてきたところで安達太良山に別れを告げました。
前日登っておいてよかったです。
本当は体調を悪くした女性に噴火口の跡を見せたかったです。
でもあの強風で彼女の体が浮いてしまったので、見れなくても
納得してくれたと思います。
山は決して無理しないことです。



やっと風が静かになったところまで降りてきました。
ここで小休止です。
空には先ほどのイルカが変身した雲が流れています。
強風の原因はこの雲だったのでしょうか?
これから小屋に引き返します。


◎付 録
アワモリショウマ

アワモリといっても焼酎ではありません。
夏山でよく出会います。
小さな花がたくさん咲いています。
遠くからみると泡のように見えるからついた名前の
ようです。

シモツケ

シモツケは下野(栃木県)に多いので、この名がつきました。
これでも立派な木です。
似た花にシモツケソウというのがあります。
こちらは草なのでクサシモツケともいいます。
花は似ていますが、葉っぱが違います。
いずれも夏の花です。

イワシモツケ

これは岩場に生えている花です。
シモツケの仲間では一番花が大きいです。
本州の中部以北、関東や東北の山に分布しています。
これから夏山で楽しませてくれると思います。

今朝はかなり激しい雨が降っています。
気温も低いです。
週末は何とか晴れて欲しいです。