長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

下町の力

2009-05-13 05:41:32 | Weblog
名前も知らない人だけど、とある雨の降る日に、
元気なおっちゃんが、蕎麦を食べにこられた。
話を聞いていると、「照明をつくる職人」らしい。
時節柄、仕事は激減しているらしいけど、すこぶる元気な人だ。

こないだ、白井さんのアトリエから白井晟一先生が生前にヨーロッパ
から買ってきた古い街灯をいただいてきた。たぶんお城かなんかに
あったものだと思う。電気もない次代のもので、ローソクで明かりを
ともすものだ。
先週、雨の降る日に、またそのおっちゃんが遊びにきた。
咄嗟に「これを電気で明るくしてほしい」といったら、目を丸くして
「まかせろ」といって、かえっていった。
そして昨日の夕方、雨が降り出したと思って外を見ていたら、その雨男
みたいなおっちゃんが「できた」といって、やってきた。
相変わらずせっかちで、名前も聞かず、工賃の話もせず、そのおっちゃんは
かえっていった。

夜になって、周りが暗くなっていくにつれ、その古い街灯の明かりが
とうとうと照り、存在感をましていく。
きれいな女性たちが5人で蕎麦会をやってくれていたが、女性たちよりも
その街灯の顔がきになり、何度となくみとれてしまった。
「美しいもの」というのは、いいものだとつくづく思う。
雨の日の夜・・・・がまた楽しみになってきた。