MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

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「マカロン」か「マクロン」か

2009年06月20日 | 雑想

 

森鴎外の有名な翻訳論、「飜訳について」の中に次のようなくだりがある。
「ノラの食べる菓子を予はマクロンと書いた。それを飴玉と書けと教えて貰つた。これなんぞはあつとばかりに驚かざること得ない。Almondを入れたMacronは大きいブリキの缶に入れたのが沢山舶来していて、青木堂からいつでも買はれる。」
鴎外が言いたいのは、何でも日本化すればいいものでもなかろうということなのだが、今回はその問題とは関係がない。カラスヤサトシの新刊『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』(講談社)を見ていたら「カラフルマカロン」というのが出てきたので思い出したのだった。果たして鴎外の「マクロン」と「マカロン」は同じものなのだろうか*。同じものだとしたら、ずいぶん昔から日本に入っているわりにはあまりポピュラーにならなかったことになる。(今、おしゃれなお菓子としてはやっているらしいが、初めて食べたという人もいるからだ。)それはともかく、「マカロン」は英語ではmacaroon、フランス語ではmacaron、鴎外が原本にしたドイツ語ではMakaroneなのである。イプセンのオリジナル(ノルウェー語)ではmakronで、これが一番「マクロン」に近いが、鴎外の綴りmacronはこれとも違う。(macronは普通は長音記号を指す。)「鴎外翻訳全集」に注があるのかもしれないが、平積みになっているので取り出す気がおきない。知っている人いたら教えて下さい。

*と言っているうちに「ノラのマカロン」というのがあるのを見つけた。
ここの11月9日のエントリーに写真がある。同じもののようです。