お知らせ
■来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。
■『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。
■『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。
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Facebookはこちらです。
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■以前にちょっとだけ紹介したMarianne Mason (2008) Courtroom Interpreting (University Press of America)が到着。ぱらぱら見たが面白そうなのでまた紹介しておく。大きなテーマは法廷通訳者の認知的負荷。とはいえ、BaddeleyやChristoffelsの文献は挙げられているものの、基本的にはフィールドワークによる誤りの分析だ。通訳者の認知的負荷は、話者交代までの発話の長さと量が通訳者の訳出に与える影響で量られるという想定である。予想通り、発話の長さが増大するにつれて通訳の誤り(主に脱落)が増大した。また通訳者はレジスターとスタイルを変えてしまった。スタイルははpowerless styleからpowerful styleへと変わった。このような言語的変数は証人や弁護士についての陪審員の心証に影響を与えるため、重要な意味を持つ。長い発話への通訳者の対抗手段としては、(1) 話を中断する、(2) semi-consecutiveにする、(3) note-takingの3つが挙げられているが、前2者には通訳者のコントロールの点で限界があることが示され、note-takingが提案される。note-takingでは語用論的、文体的、言語外的マーカーが重要になることが示唆されている。Masonはこの他にジェンダーによる誤りの特徴についても調べており、女性通訳者は発話が長くなると敬意を示す言語的特徴を落とす傾向とpoliteness markerをつける傾向があったとされる。逆に男性通訳者は"well"のようなdiscourse markerや"please"のようなpoliteness markerをかなりの頻度で落としたという。
相互作用的な枠組みが採られることが多い法廷通訳研究だが、Masonの研究はやはりこのような言語=認知的な分析が欠かせないことを示しているようだ。司法通訳の関係者だけでなく、逐次通訳を研究する人にも参考になる。