MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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『うる星やつら』のdomestication

2008年07月18日 | 翻訳研究

16日にちょっと触れたValerio RotaのAspects of Adaptationについてはまた詳しく報告するが、その中で面白い指摘があった。『うる星やつら』の北米版翻訳で、諸星あたるが鬼に豆をまく場面をハロウィーンのマスクにキャンディを投げつけるように描き直してあるというのである。(確認のため注文した。)これは太宰治の『斜陽』に出てくる医者の白足袋が英語への翻訳では白手袋になったという、よく引用される例よりもずっと面白いので、今後説明する際にはこれを使わせてもらうことにする。

ところでアニメ版『うる星やつら』の第76話「決死の亜空間アルバイト」前半は「ねじ式」のパロディ(オマージュ?)である。画像はその一場面。リンク先で全編を見ることができる。(他に同じつげ義春の「ゲンセンカン主人」とつのだじろうの「うしろの百太郎」がちょっとだけ使われている。)このエピソードが翻訳されているかどうかはわからないが、こういう図像とテキストの引用がある作品を翻訳するとしたら困難を極めるだろうな。(なお後半は『千と千尋の神隠し』に似ているが、時間的には逆で、『千と千尋…』が「決死の亜空間アルバイト」に似ているのである。