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外国人の学習支援充実を 高岡市長と住民らが懇談会

2010-09-28 11:45:22 | TOYAMAな多文化共生
(以下、中日新聞【富山】から転載)
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外国人の学習支援充実を 高岡市長と住民らが懇談会

2010年9月28日

外国人住民に対する施策の充実を訴える支援団体のメンバーら=高岡市駅南5で
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 高岡市の高橋正樹市長が住民と直接対話して施策に生かす「ふれあいトーク」が、同市駅南五のブラジル料理店「コラサン・ド・ブラジル」であった。日系ブラジル人の支援活動をしている関係者が参加し、行政による支援の充実を訴えた。

 高橋市長や市幹部、住民側から情報誌の発行などを通じて県内のブラジル人を支援している「富山日伯交流友の会」、外国人の高校進学支援の学習教室を開いている「高岡外国人の子どものことばと学力を考える会」の各メンバーら、計約二十人が出席した。

 日系ブラジル人住民に対する市の教育施策や、生活相談窓口の現状について議論。教育関係では、支援グループ側が「外国人には、学習そのものをするために必要となる言語の習得に壁がある」と指摘。その上で「外国人相談員の勤務は現在、一校につき週に数回程度にすぎない。もっと抜本的な支援が必要だ」と訴えた。

 これに対し、市の担当者は「人手が少なく十分に支援できないのが現状だ」と説明。一方で、高橋市長は「チームをつくり具体的な取り組みを考えたい」と対応を約束した。 (佐久間博康)

犯罪が大幅減 知立団地、外国人とのコミュニケーション成果

2010-09-28 11:44:55 | 多文化共生
(以下、読売新聞【愛知】から転載)
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犯罪が大幅減
知立団地、外国人とのコミュニケーション成果
防犯パトロールをする知立団地の住民

 ブラジル人などの外国人世帯が多い知立市昭和の知立団地で、昨年9月から県警と団地住民がコミュニケーションを図りながら、防犯対策に取り組んだところ、車上狙いなどの犯罪が大幅に減るなどの成果を上げていることが分かった。当初は1年間の予定だったが、住民からの要望もあり、来年8月末まで継続する。外国人の多い団地を対象にこうした取り組みは全国でも初めてで、県警では県内のほかの団地にも広げていきたい考えだ。(沢村宜樹)

 知立団地は、住民約4900人のうち、半数以上を日系ブラジル人ら外国人世帯が占める。取り組みが始まるまでは、路上駐車が多く、経済的理由で学校に行けない子どもらが、集団で路上にたむろしていたほか、ごみの出し方や騒音でも問題になっていた。2008年9月~09年8月の車上狙いなど刑法犯罪件数は1983件で、団地周辺の住民から「怖いから近づきたくない」という声も出るほどだった。

 県警教養課国際警察センターによると、団地内で警察官が防犯啓発活動や交通安全指導をほとんど行っていなかったほか、団地住民らとの連携がうまく取れていなかったという。

 そこで、県警と団地自治会などが協力して、昨年9月1日から、「知立団地安全安心プロジェクト」と銘打ち、交通安全指導や合同の防犯パトロールに乗り出した。外国人の住民の中には、警察官が団地内に入るのを警戒する人もいたが、ポルトガル語を話せる警察官が何度も足を運び、コミュニケーションを深めながら、交通法規や防犯対策の重要性を説明した。また、ポルトガル語の防犯チラシを配布するとともに、団地内に新たに約100台分の有料駐車場も確保した。

 この結果、今年9月には、130台以上もあった路上駐車がほとんどなくなったほか、09年9月~今年8月の刑法犯罪件数も1341件で、前年同期より約3分の1も減った。

 パトロールに参加する住民らは「違法駐車や犯罪がさらに少なくなるように、活動を続けていきたい」と意気込んでいる。
(2010年9月28日 読売新聞)

外国人医師の受け入れ拡大に医師は「No」、患者は「Yes」

2010-09-28 11:44:21 | 多文化共生
(以下、日経ビジネスから転載)
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【最終回】外国人医師の受け入れ拡大に医師は「No」、患者は「Yes」

 前回の記事「外国人医師の受け入れを拡大すべき?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果に大きな差が出ました。「外国人医師の受け入れを拡大すべき?」との問いかけに対して、NMO(医師)では「Yes」が37%で「No」が63%。約3分の2の回答が「No」です。一方、NBO(患者)では、72%が「Yes」との回答でした。

 現行、日本の医師免許を持たない外国人医師による日本国内での診療行為は、医療法により原則禁じられています。例外として、「臨床修練制度」(臨床修練指導医の下での特定の専門知識や技能の習得を目的としたものであれば、厚生労働大臣の許可を条件に、診療が認められる)の下での診療は可能ですが、在留期間は2年までで、その後は帰国しなければなりません。また、この制度により日本の医師免許を得ることはできません。そのためなのか、現状、この制度により日本で診療業務に従事する外国人医師はごく少数です。

 一方、外国人医師の受け入れ拡大が議論される際、その目的として挙げられるのは、(1)先端医療研究への貢献(2)メディカルツーリズム促進のための環境整備(3)医師不足対策――の3点です。以前は(3)の医師不足対策から論じられることが多かったのですが、最近は、主として(1)(2)が焦点になっています。実際、菅直人内閣が今年6月にまとめた「新成長戦略」の中には、外国人医師・看護師による国内診療などの規制緩和の実施が盛り込まれており、その目的は、先端医療研究への貢献やメディカルツーリズム促進とされています。

「外国人医師はやって来ない」

 今回、医師と患者で結果は大きく分かれましたが、医師の6割が反対した理由の一つは、受け入れ拡大に意義を見出せないと考えたからではないでしょうか。簡単に言えば、多くの医師は「受け入れを拡大したとしても日本で働きたいと思う外国人医師はほとんどおらず、意味がない」と受け止めており、それが投票結果に反映されたのだと推測されます。

 医師が「外国人医師はほとんど来ない」と見ている理由は、過酷な割に薄給とされる日本の労働環境にあります。そんな日本に、言葉の壁を乗り越えてやって来る医師は、いてもごく少数との見方です。

 実際、「Yes」に投票した方の中にも、「私が外国人なら間違いなく、障壁が低く、給与が良く、自分の時間もある他の国に行くと思います」「日本で働きたい外国人医師はほとんどいないでしょう。あえて日本を選ぶメリットがありません」といった意見が複数見られたほどです。そうした背景からでしょうか、「一度受け入れを拡大してみて、来日した外国人医師の反応を日本社会に知らしめるべきだと思います」といった、少々自虐的な意見も寄せられました。

 このほかでは、「医師は、どこの国でもまずその国民の必要のために養成されるべき。相手国の社会的資源を奪う形になるのはよくない」とのコメントが印象に残りました。

大きなメリットもデメリットもなし?

 一方、患者側のコメントを見ても、受け入れ拡大により多くの外国人医師が日本で働くようになると考えている向きは、決して多くはないようです。にもかかわらず「Yes」が多数に上ったのは、患者の立場からすると、受け入れ拡大による目立ったデメリットが感じられないからかもしれません。

 外国人医師に診察を受ける場合、患者にとって大きな問題になると思われるのは、コミュニケーションと医師の質の2点だと考えられます。

 コミュニケーションに関しては賛否両論あり、「海外に10年以上住んだが、どれだけ現地に溶け込んで言葉が話せるようになっても、医療現場でのデリケートで細かい意思表示にはいつも苦労したし、時には大丈夫だろうかとも思った」と不安視する声がある一方で、「外国語(特に英語)に関する意思疎通は、それほど大きな問題ではありませんでした。これは実際の経験から感じたことです」「タイのバンコクに住んでおりますが、いつも利用する病院には日本語を話すタイ人の医師がいます。本当に上手に日本語を話されます」といった楽観論も複数ありました。

 コミュニケーションに関する考え方は人それぞれで、恐らく、受け入れ拡大に反対する決定的な要因にはならなかったのでしょう。

 医師の質に関しても同様で、「外国人医師の医療水準は日本人医師と比べて決して高くありません。また、高度先進医療を行える外国人医師はごく少数に限られており、医療水準の向上は期待薄です」「日本の医療は諸外国に比べて進んでいるのではなく、医療機器だけが若干多く整備されているだけ。現在も持病を治療しているが、外国人医師と比較して知識が優れているかといえば、言うほどの差はない」といった、相反する意見が寄せられています。

 このほかでは、一部、「日本の医師の収入は、その実力に比べて高すぎます。外国人医師の受け入れ拡大は、高すぎる日本の医師の人件費削減に一定の効果を持つものと思われます」といった理由で受け入れ拡大を支持するコメントもありました。ただ、この主張については、医療界からは異論があるところかもしれません。

賛成派の医師が寄せる期待

 今回、受け入れ拡大に「Yes」と回答した医師は4割弱です。その大半は、海外の医師との交流促進による医療レベルの向上を期待しているようです。実際、「他の国の文化を持ったドクターを接することで日本人医師の視野も広がるし、日本から海外に留学する意欲も高まると思います」「日本医療のガラパゴス化を防ぐためには、世界との人事交流が不可欠」「外国人医師を受け入れて診療レベルを上げるべき」といった意見が複数見られました。

 こうして見ると、今回のテーマは、想定されるメリット・デメリットが具体的にイメージしにくく、賛否の判断が難しかったのかもしれません。それゆえ、「だからこそ、受け入れを拡大してみればいい」「であれば、受け入れを拡大する必要はない」のどちらもあり得るわけで、結果的には、患者の多くは前者の考え方を、医師は後者を選んだとも考えられます。

 ただ、前回の記事でも書いたように、外国人医師が日本国内で診療に従事するうえでの条件は、もう少々緩和してもいいというのが私の意見です。日本の国家試験に合格しないと国内では診療できないという基本ルールを堅持していれば、コミュニケーション能力と診療の質はある程度担保されます。そのうえで、臨床修練制度を柔軟に活用して受け入れを拡大すれば、先端医療研究やメディカルツーリズムなどの分野では効果が期待できます。

 また、患者サイドからは異論があるかもしれませんが、日本の医師の労働環境は、先進国の中では非常に厳しいレベルにあるのは確かだと思います。外国人医師の受け入れ拡大は、日本の医師の労働環境を考え直す一つのきっかけになるかもしれません。

 さて、これまで約1年にわたり続けてきた本コラムですが、今回で最終回となります。このコラムは、医師と患者における“情報の非対称性”を少しずつ解消し、相互理解を促したいとの考えから、日本の医療が抱える様々な問題を両者で議論するための場として始めたものです。医療問題を改めて考え、新たな視点や知識を得る機会となったのでしたら、うれしく思います。

 本当にどうもありがとうございました。