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日系ブラジル人、遠い春 帰国後生活基盤ない…無職で残留も

2010-03-08 10:12:43 | 多文化共生
(以下、中日新聞から転載)
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日系ブラジル人、遠い春 帰国後生活基盤ない…無職で残留も

2010年3月6日 夕刊

妻と子どもがブラジルに帰国する須山ロナルドさん一家=愛知県豊田市で
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 不況で職を失った日系外国人の帰国費用を補助する国の支援事業の受け付けが、5日で締め切られた。1年近くで約2万人が帰国し、その9割以上を日系ブラジル人が占める。やむなく「祖国」を離れる人が多い一方、無職でも残らざるを得ない日系ブラジル人への支援を望む声も多い。

 家族が離れ離れに。それが愛知県豊田市の須山ロナルドさん(33)一家の選択だった。妻レチシアさん(26)と2人の子どもは支援事業を利用し来月、ブラジルに帰る。

 「1人なら何とか生活できる。寂しいが仕方ない」とロナルドさん。1995年に来日し人材派遣会社に勤務したが、リーマンショック後の2008年10月に失業。家賃を払えず住まいも転々とし、昨年5月から生活保護を受けた。子どもの将来を考え、締め切り近い2月末に家族の帰国を申請。レチシアさんは「日本は安全だし、大好きだから戻ってきたい」と名残惜しそうだ。

 同県豊橋市のマルセラ・ソーザさん(23)は5日、ハローワークに帰国制度の手続きに来た。昨年11月、勤務先の菓子製造会社に「来月から来なくていい」と電話で解雇された。日系ブラジル人の夫(27)は造船会社の派遣社員で、月収は10万円程度。「とても暮らせないので一家で帰国を決めた。2年前に長男も生まれ、日本の生活は幸せだった」と振り返る。

 同市のNPO法人「豊橋ブラジル協会」の田中アルシーデスヒデオ理事長(49)は「食べるのに困った人は、ほとんど支援を受けるなどして帰国したのでは」と厳しい表情で話す。
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 厚生労働省によると、帰国支援事業には2日までに全国で2万639人分の申請があった。愛知県が全体の4分の1以上を占めるなど、中部各県が上位を占める。

 一方、同県豊田市のNPO法人「保見ケ丘ラテンアメリカセンター」の野元弘幸代表は「日本で長年暮らす日系ブラジル人は帰国しても生活基盤がなく、無職でも残るしかない」と指摘する。

 再就職先を見つけた日系ブラジル人は今年に入り少し増えてきたが、企業側が景気の二番底を警戒し、「1カ月だけ」などの短期雇用が多いという。「製造業以外に介護ヘルパーなどで働きたい人も増えている。今後は職業選択の幅を増やす支援が必要だ」

 同胞の生活相談に応じている岐阜県美濃加茂市のキリスト教会牧師ダビ・ゴンサルベスさん(28)は「経済が元気な時は『たくさん来て』と呼んで、だめになると『帰って』と追い出される気がして悲しい」と疑問を投げかける。日本にとどまることを選ぶ日系ブラジル人を「同じ人間として受け入れる政策を望みます」と静かに話した。

 【日系人帰国支援事業】不況で職を失って再就職できず、帰国を決意したものの資金のない日系外国人向けに、昨年4月から国が実施。渡航費を含め、本人30万円、家族1人当たり20万円が支給される。今後の景気動向にもよるが、同じ身分での再入国は原則として2012年3月まで3年間、認められない。

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