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女性登用 多様性 成長社会実現の鍵

2013-06-25 10:00:50 | ダイバーシティ
(以下、SankeiBizから転載)
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【80th 次の日本へ】女性登用 多様性 成長社会実現の鍵
2013.6.21 05:00
 □イー・ウーマン 佐々木かをり社長 特別インタビュー

 安倍晋三首相は、女性の活躍を成長戦略の中核と位置づけ、待機児童の解消や育児休業3年といった案を打ち出した。働く女性の声を発信するサイトを運営するイー・ウーマンの佐々木かをり社長は「日本社会が強くなるには人と異なる視点をいかに付け加えられるかが重要。究極は男とか女ではなく、ダイバーシティ(多様性)が成長のキーワードになる」と説く。

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 --成長戦略の女性関連施策をどうみるか

 「保育施設不足をはじめ取り組むべき課題は山ほどあるが、子育てと仕事の両立の仕組みは徐々に整備されつつある。ただ、育児休業3年は、選択肢として悪くないと思うが、今までと同じような男女差を生みやすくするだけ。基本的に反対だ」

 --では、どうしたらいい

 「男性の場合、男女雇用機会均等法が施行された1986年から働き方が変わっていない。3年間休んで子育てに専任する男性はほとんどいないはずだ。育児休業3年というのは、残念ながら女性が職場から離れる施策になりかねない。海外で主要な要職に就いている方から『ナンセンス』とまで言われた」

 --女性が活躍するには何が必要か

 「男性の評価システムや価値判断、ライフスタイルを変えていくことだ。夕食は家で食べて授業参観に足を運び、お祭りを手伝うような男性が有能であると認められるようになる。そこまで劇的に日本社会が変わらない限り、女性の本当の社会進出はなかなか難しい。女性向けの施策も数多く取り組む必要はある。ただ、男性向けも拡充することにより、受け入れた企業が成長し、優秀な社員、良い株主が集まるようになるのが理想的な構図だ」

 --男性のライフスタイルが変わると、経済的にどういった効果をもたらすか

 「私は自分で仕事をうまくコントロールして子供の通う学校に行き、職場で会わないようなタイプの父母と接するようにしている。先生とも話すし、そこでひらめくことがあるので、ビジネスのためのネタ探しにもなる。そうした場に顔を出さずいつも同じメンバーで企画会議をやっている方が、よっぽど駄目だと思う。今日明日のことだけではなく、その後のことを視野に入れ、働き方を変えることで新しい人脈を形成することが重要だ。その姿勢がビジネスに発展していく」

 --それがダイバーシティという考え方が重要と指摘している理由か

 「男性中心に作られてきた経済や社会は、当然ながら決定権者の大半が男性という構造だ。そこに多様な視点を入れることで、健全に成長できる社会を実現することが必要となる。そのきっかけは女性の進出を促すことで、大本はダイバーシティという視点だ」

 --企業経営の上で、多様性が重要な理由は

 「ガバナンス(企業統治)の面で有効に作用する点だ。似たような大学、似たような入社年次の男性が、同じような視点から取締役会を開くような企業の場合、ガバナンスの危険性が大きい。女性や社外役員を送り込めば、視点の多様化につながって、結果としてガバナンスの質が高まることになる」

 --商品開発面ではどうか

 「これまで、女性の意見を募る作業は専業主婦に依存していた。しかし、働く女性が増えたことで、さまざまな層の意見を聞く必要性が増している。多様な視点は、より多くの消費者の心をつかむようになる。売れる商品の開発やサービスの向上にもつながると思う」

 --イー・ウーマンは「女性スピーカーズギルド」という女性講演者のマネジメントサービスを始めた

 「世界各国と比べて圧倒的に男女格差の大きい日本を動かすには、女性が発言・発信する機会を増やすことが必要だと感じたからだ。メンバーは医者や法律家、経営者ら多種多様。全員がイー・ウーマンが発信する意見と同じなのかというと、そうではない。女性にも100通りの視点がある。そこは制限するものではない」

 --具体的にはどういった形で事業を進めていくのか

 「世の中に山ほどの講演会、パネルディスカッションが存在している。女性の声を聞こうという動きが顕在化し、私も招かれる。しかし、『50年間にわたって活動を行ってきたが、女性スピーカーは初めて』というケースも少なくない。サービスを通じて『優秀な女性スピーカーが数多く存在している』ことをアピールしていきたい」

 --どのような効果を期待しているか

 「日本企業にはあまりにも女性役員や監査役が少ない、と海外から指摘を受ける。でも、私の周囲には多くの有能な経営者、専門家がいる。活動を通じ、女性の声が決定権を持つ人の下へ確実に届く環境を整備したい。そして、企業や審議会にどんどん優秀な人材を推薦していけるようになりたい。その次のステップは、障害を持つ方や外国人など、ダイバーシティのスピーカーを募ることだ。海外の団体とも提携し、多様性という視点でリーダーシップを取れるようなネットワークを構築していくことが課題だ」(聞き手 伊藤俊祐)

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【プロフィル】佐々木かをり

 ささき・かをり 上智大学外国語卒。1987年に国際コミュニケーションのコンサルティング会社、ユニカルインターナショナルを設立。2000年3月イー・ウーマンを設立し現職。国際女性ビジネス会議実行委員会委員長なども務める。横浜市出身。

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