多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

英語が母語だというシンガポール

2008-08-07 10:22:29 | 多文化共生
(以下、英語教育ニュースから転載)
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英語が母語だというシンガポール

シンガポール市内は狭いので、多文化を短時間で体験できる。MRTのブギス駅(地図[1])で降りて少し歩くとスルタン・モスク(地図[2])がある。高い塔がミナレットで1日5回、アザーン(祈りの告知)を流す。その時間に居合わせると異国情緒に浸れる。周りを見るだけだが、観光客も敷地内に入ることができる。礼拝堂で何度も立ったりひざまずいたりしてお祈りをしている信者を見ることもある。イスラム教は偶像を認めない。信者は像に向かって祈るのではなく、メッカの方向に祈る。そのモスクの周辺は、イスラム文化に満ちた界隈だ。

イスラムを満喫したら、ブギスの駅に戻り、北の方に歩いて行くとリトル・インディアがある。カレーのにおいが立ちこめる。通りには装飾用の金細工屋が軒を並べる。インド系の人はこんなに金で飾るのが好きなのかと驚く。サリーやパンジャビドレスの店もある。ヒンドゥー教の祈りに欠かせないジャスミンの花輪が街をいっそう華やかにしている。

その街の外れに、スリ・ヴィラカリマン寺院(地図[3])がある。屋根の上に所狭しとばかりに極彩色の神が並べられている。シヴァがいる、カーリーがいる、神聖な動物である象もいる。そこだけでなく、塀の上にもずらっと並んでいる。一神教とは異なり、多神教の神々はそれぞれが個性を持っている。見ているだけで、神話の世界が浮かんでくる。

異文化を知る楽しみの1つに、自分が持っている固定観念が壊されて新しい考え方ができるようになることがある。イスラム圏では、赤い新月のマークを見ることがある。これは赤新月社であり、赤十字社に相当する。赤十字社は国際的でどこの国にもあるように思ってしまいがちだが、イスラム圏には赤十字社はない。赤十字社のシンボルには十字が使われ、その昔、キリスト教徒の集団である十字軍はイスラムに敵対したからである。

この地の英語教育について見てみる。シンガポールは、多民族・多文化の社会だったはずだ。しかし、今のシンガポールは英語一色である。そのことをナンヤン大学のDr. Chewは、次のように説明した:シンガポールの言語政策は、多言語政策→二言語政策→単一言語政策へと変化した。独立後の60年代から70年代にかけては、多民族国家を維持するために、複数ある言語をそのまま使う現状維持の政策であった。70年代から、多言語政策をやめ二言語政策に変えた。二言語とは、主に英語と北京官話を話せということで、その運動をSpeak Mandarin Campaignという。二言語政策は軌道に乗ったが、1998年のアジア経済危機が起こり、それ以降は、英語を第一言語とする単一言語政策になった。当時は、まだ英語の異種である'Singlish'を話す人が多かった。そのため、文科省に当たる官庁は、標準的な英語を普及させるために、"Speak Genuine English. Singlish is an enemy."とまで言ったそうである。その結果、シンガポール人にとって英語は第一言語となっている。

街角で多言語ぶりを見てみる。デパートに行って実演販売している人を見かけたら、そのパフォーマンスを見てみよう。客が中国系だと見ると中国語で実演をする。マレー系と見るとマレー語で話し、その他にはSinglishで話しかける。

今度は、二言語から単一言語政策への移行を見てみよう。街の本屋に行くと、親子が本を見ながら話しているのに出会うことがある。よく聞くと、親が Singlishで話し、子どもが標準英語で話している。その現象をDr. Chewは、「我々は一世代でSinglishから標準英語に移行した」と言う。

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