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外国人支援 非常時にも目配りしたい 東日本大震災

2011-04-19 10:17:25 | 多文化共生
(以下、西日本新聞から転載)
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外国人支援 非常時にも目配りしたい 東日本大震災
2011年4月18日

 自分が外国で大災害に遭ったと想像してみよう。発生時の恐怖と混乱に加え、その後も何か重大な事態が進行しているようだが、言葉がよく分からず状況を把握できない。どんなに不安だろう。

 東日本大震災では、現地に住む多くの外国人も被災した。法務省統計では、岩手、宮城、福島の3県に長期居住する外国人は約3万5千人(2009年)に上る。留学生や、日本人と結婚して農漁村で暮らす女性などさまざまで、水産加工会社や農業の研修生も多い。

 日本人同様、外国人の被害の全容も明らかになってはいないが、外務省によると、20人を超す外国人の死亡が確認されている。痛ましいことだ。

 被災地にとどまらず、首都圏でも多くの外国人が、余震や原発事故による生活の変化に悩まされている。

 困るのは、やはり情報不足だ。日本語が十分できなければ、直接の支援情報はもちろん、停電など生活情報も入らないまま、不安な日々を送らざるを得ない。

 こうした「情報過疎」を解消するために、仙台市は震災発生日の3月11日、いち早く「災害多言語支援センター」を設置した。英語、中国語、韓国語で電話相談に応じるとともに、ラジオ放送をし、避難所を巡回するなどして、外国人向けに情報を発信した。

 設置当初、電話での相談件数は1日100件以上に達したという。内容は知人などの安否確認、避難所の場所の問い合わせなどで、職員とボランティア10―20人で対応した。現在もホームページや電話相談で支援情報を伝えている。

 東京に拠点を置くNPOの「難民支援協会」は震災発生後、東北や関東地方に住む難民たちの安否を確認したり、相談に応じたりしている。最近の相談内容は原発関連に集中しつつある。

 北関東に住むある難民は「ニュースは30%ぐらいしか理解できない。『大丈夫』と言われたり、『野菜や水が問題』と言われたりで、何が本当なのか分からない。子どものことが一番心配」と不安を訴えたという。専門用語の多い原発、放射能情報が特に難解とされている。

 同協会のホームページは、日本語や英語に加え、ビルマ語(ミャンマー)、シンハラ語(スリランカ)、タミル語(インド)などで生活情報を伝えている。東京外国語大も「多言語災害情報支援サイト」を設け、情報を提供している。

 もともと、国際協力や外国人支援の活動はNPOやボランティアが強い。行政の防災担当者は平時からNPOなどと連絡を取り合い、いざというときに力を借りる道筋を付けておく必要がある。

 災害の支援には効率が重視される。しかし、非常時でも少数派への目配りを忘れないようにしたい。恐らく、そのあたりに市民社会の底力が表れる。


=2011/04/18付 西日本新聞朝刊=

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