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あなたの処方箋:/85 結核/3 貧困層、外国人の増加が蔓延要因に

2011-02-10 13:30:46 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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あなたの処方箋:/85 結核/3 貧困層、外国人の増加が蔓延要因に

 「去年の猛暑がこたえました」。埼玉県ふじみ野市の塗装工の男性(62)は仕事が減り始めた約1年前から工事現場などの警備員を掛け持ちしていた。昨年8月ごろからのどの奥の方から出る変なせきが続き、交通整理のための声も出なくなった。数カ所の医療機関を回り、昨年9月に専門病院で結核の感染が判明した。

 結核予防会複十字病院(東京都清瀬市)の尾形英雄副院長は「結核患者には臨時労働者や住所不定者など、社会経済的弱者が多い」と指摘する。

 同会の調査によると、結核患者の生活保護割合が高い自治体では全体の罹患(りかん)率も高い傾向があり、東京都と政令市の患者数が全国の約38%(09年)を占めている。仕事を休めなかったり、無保険で受診できないことなどから感染が広がりやすいと考えられている。

 さらに近年、20代の若者の罹患率の高さも問題になっている。活動範囲の広さや不規則な生活が発病の危険性を高めていると見られている。

 大阪府出身の医療従事者の男性(26)は09年11月、職場の健診で感染が判明した。症状はなかった。男性は「職場の病院で結核患者に接する機会もあった。だが、なぜ自分が(感染するのか)とショックだった」と話す。

 98年以降、20代を中心に外国籍の患者の割合も増えている。09年の全国の20代の患者1699人のうち外国籍の患者は、母国でも患者の多い中国、フィリピンを中心に427人(25・1%)に上る。

 世界保健機関(WHO)の推計によると、世界で毎年約900万人の結核患者が発生し、約300万人が死亡。その99%が途上国に集中している。

 日本は先進国にもかかわらず人口10万人当たりの患者数は19人と、10人を超える「中蔓延(まんえん)国」のままだ。米国(4・3人)、カナダ(4・7人)、スウェーデン(5・4人)、オーストラリア(5・5人)など「低蔓延国」の水準になるのに20~30年はかかると考えられている。尾形副院長は「今の日本では誰もが結核に感染する可能性があると思って早期に受診することが大切。地域の感染を減らすため保健所などの対策も必要だ」と話している。=つづく

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