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求人、舞台は世界へ 日本企業に外国人採用広がる

2010-04-05 09:45:30 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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求人、舞台は世界へ 日本企業に外国人採用広がる

2010 年4月5日3時3分

写真:同僚と打ち合わせをするリーさん(右端)=川崎市幸区の東芝・ソフトウェア技術センター同僚と打ち合わせをするリーさん(右端)=川崎市幸区の東芝・ソフトウェア技術センター

写真:1月に開かれたインド人の新卒を対象にした入社式=東京都品川区の楽天本社、楽天提供1月に開かれたインド人の新卒を対象にした入社式=東京都品川区の楽天本社、楽天提供

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 国境を越えた人材獲得が日本企業に広がっている。日本への留学生だけでなく、海外の大学を卒業した外国人を本社スタッフとして採用する例も増えた。少子高齢化で国内市場が急速に縮む中、海外ビジネスを広げるために「グローバル採用」のアクセルを踏んでいる。

■海外の大学卒に注目、「よりグローバルな人材を」

 「東芝はグローバルな会社。チャンスがあれば海外の研究拠点で働き、経験、知識を広げたい」。川崎市にある東芝のソフトウェア技術センターで働くリー・クァンリン・サムソンさん(29)は、シンガポール国立大学で電気工学を専攻。源氏物語の英語版を読破するなど日本文化に興味があり、卒業後の2006年10月に入社した。

 東芝は06年度から、拠点があるタイやシンガポールなどの大学の卒業生を採用し始めた。リーさんは「1期生」。それまでは日本留学の経験者を採っていた。人事部の鈴木誠一郎・人材採用センター長は「よりグローバルな人材活用が必要と判断し、日本語を採用条件にはしないことにした。欲しいのは25年後に事業部のリーダーになれる人材だ」という。

 「(海外の売上高を増やすには)とがった製品を作ることが必要。日本人とは違った価値観を生かすことで、現地に適したものづくりができると思う」。システムキッチンなどの住宅関連メーカー、パナソニック電工のムサエワ・フェルザさん(ウズベキスタン出身)は3月、外国人留学生を対象にした入社セミナーで、こう話した。人事部採用グループで08年に入社した。

 09年の国内の新設住宅着工戸数はピーク時の半分以下の約80万戸。人事部の行岡正恭・採用グループ長は「海外展開に力を入れるしかない。まず『内なる国際化』を進める」という。異文化の人材を受け入れて組織を活性化させようと狙う。

 企業も変わろうとしている。楽天は、毎週月曜午前7時から執行役員ら数十人が出席して開かれる幹部会議の発表資料を2月から英語とし、3月からは発表言語も英語にした。全社員が出る朝の会議の資料も2月後半から英語になった。同社は今年を「真の世界企業への脱皮の年」と位置づける。

 一方で、海外の新卒者はまず、日本の技術部門で勤務。日本語の習熟度を高め、「楽天主義」と呼ばれる社内文化や、報告、連絡、相談を徹底させる「報連相」などのビジネスマナーを学んだ後、将来は出身国で活躍してもらうことを視野に入れる。

■国内に14万人、言葉の壁も

 人事コンサルティング会社、ジェイエーエスの小平達也社長によると、日本企業によるグローバル採用の「一波」は80年代後半から90年代初頭のバブル経済のころ。大手が欧米の文系スペシャリストを採ったが、バブル崩壊とともに下火になった。

 第2期は90年代後半。IT企業や外資系が即戦力のインドや中国のエンジニアの採用を増やした。第3期は04年以降。アジアなど新興国への進出を迫られ、日本語を話せる留学生を中心にエンジニアの採用を増やした。

 「いまは新たな波の前の端境期。ポスト3.0(第3期の後)だ」と小平社長。ここ数年、外国人採用による「組織の多様化」を期待する声が多いという。

 日本人技術者の不足傾向も背景にある。法務省によると、「技術」資格で新規入国した外国人は98年は3293人だったが、08年には1万626人に拡大した。

 いま日本には14万人近くの「外国人社員」がいる。厚生労働省が富士通総研に委託して昨年9~10月、上場企業を対象に実施したアンケート(約800社が回答)によると、4割弱が技術者など高度な知識を持つ外国人を採用していたが、そのうち4割以上が「受け入れ部署が限られる」との悩みを抱えていた。「言語・コミュニケーション上の壁」との回答も4割近くを占めた。

 また、一度は外国人を雇用しながら中止した58社に理由を聞くと、4社に1社が「処遇条件が良好な他社への転職が多かった」、2割が「雇用管理できる管理者が不足していた」と答えた。

 外国人採用に熱心な富士通。言葉や異文化の壁で離職に至るケースを減らすため、生活や仕事に関する情報を入手できる英文サイトの立ち上げや異文化交流のセミナーを開くなど、孤立化を避ける取り組みを進めている。(古屋聡一、編集委員・織田一)

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