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シンガポール、外国人雇用規制強化 人件費高騰で日系企業も悲鳴

2012-12-03 09:37:37 | 多文化共生
(以下、産経新聞から転載)
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シンガポール、外国人雇用規制強化 人件費高騰で日系企業も悲鳴
2012.12.1 07:33

 シンガポール政府による外国人労働者の流入・雇用規制の強化に伴い、低賃金の外国人労働力に多くを依存するサービス、建設業などに大きな影響が出ている。日系企業も深刻で、駐在員の就労ビザの新規・更新申請が却下されるケースも増えている。規制の主眼はシンガポール人の雇用確保などにあるが、少子化が進み、中長期的に外国人労働力の需要増が見込まれ、アナリストの間からは「規制により自分で自分の首を絞めている」という声が漏れている。

 シンガポールの主な就労ビザ(就労許可証)には、管理・専門職向けの「エンプロイメント・パス」(EP)と、中技能向けの「スペシャリスト・パス」(SP)がある。政府はこれらの取得条件と、外国人の違法雇用などに対する罰則を厳格化している。具体的には、罰則を厳格化した改正外国人人材雇用法(EFMA)が11月9日から施行され、12月1日からはEPの取得条件が厳しくなる。

 EFMAでは、外国人を違法雇用し、EPとSPを不正申告した場合、最高2万シンガポールドル(約130万円)の罰金などを科す。一方、EPの取得条件となる最低年収額は、従来の4倍の14万4千シンガポールドルに引き上げられる。

 政府が外国人労働者の抑制策を強める端緒となったのは、昨年5月の総選挙における与党・人民行動党(PAP)の敗北だ。政府と与党は敗因として、外国人労働者の流入増によりシンガポール人の雇用が失われているという世論の不満があった、と分析した。そこで、「シンガポール人を確実に雇用の中核に据えるための措置」(人材開発省)を強めたのだ。

 規制は段階的に強化されてきており、その結果「日系企業駐在員のEPの新規・更新申請が却下されるケースが増え、学歴の条件も『大学卒』が厳格化されている」(日本貿易振興機構=ジェトロ)という。ある日系の人材紹介会社は「企業から内定をもらったものの、就労ビザが下りず駄目になる事例も少なくない。規制の影響は労働市場を直撃している」としている。

 また、外国人労働者の雇用比率の上限も引き下げられ、サービス業では全従業員の50%だったものが、45%になった。残りはシンガポール人を雇うことを義務づけられているが、給与はシンガポール人の方が高い。このため、サービス業などからは「泣く泣くシンガポール人に切り替えざるを得ない。だが、シンガポール人の従業員は権利ばかりを主張してあまり働かず、正直言って使いづらい」(日系レストラン)との悲鳴が聞かれる。

 外国人労働者の不満も強い。11月末には公共交通大手SMRTの中国籍のバス運転手が、シンガポール人との差別待遇の不満から同国で26年ぶりのストライキを決行した。

 同国政府は規制強化で、「労働集約型経済から、高い生産性、革新性に基づく成長への転換」(人材開発省)を図るとしている。しかし、市場では、「経済成長率の鈍化、労働市場の空洞化、人件費の高騰を招く」(米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのエコノミスト、チュア・ハクビン氏)など規制に批判的な見方が多い。(シンガポール 青木伸行)

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