多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

なぜ、いまフィリピンなのか

2014-09-09 14:17:59 | 多文化共生
(以下、BLOGSから転載)
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なぜ、いまフィリピンなのか


フィリピンに熱い視線を注ぐ日本企業が増えています。いったい、なぜなのでしょうか。少し、フィリピンについて論じてみます。

フィリピン政府は、この7月、人口が1億人を突破したと発表しました。同国の人口は、年に約2%ずつ増えている計算です。13年時点で世界12位、ASEANでは人口2億5千万人のインドネシアに次ぐ大国です。平均年齢は23歳、生産年齢人口の総人口に占める割合が増加する「人口ボーナス期」が、当面続くと見られています。少子高齢化の真っただ中にある日本としては、うらやましい限りです。

フィリピンではまた、小学校から大学まで、ほとんどの授業が英語で行われていることもあり、英語を話す人口が多いのが特徴です。日本人の英語力が相変わらずなことから見ても、英語力で優位に立つフィリピンの労働力の活用は、日本企業がグローバル戦略を進めるうえで欠かせません。

加えて、フィリピンの賃金はまだまだ安い。ちなみに、工場労働者の月額賃金は、2万5千円から3万円。設計などの技術者の場合でも、約4万円と聞きます。

このほか、「フィリピン・ホスピタリティ」といって、フィリピン人には、陽気さ、気さくさ、面倒見の良さがあります。看護婦やメイドなどの人材を世界中に供給していることからも、「フィリピン・ホスピタリティ」の高さは実証済です。この「フィリピン・ホスピタリティ」も、日本企業がフィリピンの労働力を活用する要因になっています。

郵船クルーズが運航する豪華客船「飛鳥Ⅱ」のクルーは、470人のうち約三分の二が外国人で、そのほとんどがフィリピン人です。親会社の日本郵船は、マニラ近郊に船員養成のための専門会社を設置していて、フィリピン人クルーに対して、6か月間、「飛鳥ウェイトレーニング」を実施しています。

もともと、ホスピタリティの素質をもつフィリピン人クルーですから、「和のおもてなし」のノウハウを伝授するトレーニングを通して、そのホスピタリティにいっそう磨きがかかる。近年、その優秀なフィリピン船員に対して、他国の船会社からの引き抜きが増え、日本郵船は大わらわの有様です。

また、本日付の日本経済新聞電子版には、トヨタ自動車と造船・海運のツネイシ・ホールディングスの事例が紹介されていました。

記事によると、トヨタは、2013年、マニラに近いラグナ州に「フィリピントヨタ整備学校」を開校しました。第一期生として、600人が入学。2年間学んだのち、世界各地のトヨタ認定ディーラーへの就職の道が開かれています。

さらに、セブ島にある常石造船の子会社ツネイシ・ヘビー・インダストリーズ(THI)は、優秀なフィリピン人に日本の常石造船で研修を受けさせ、技術インストラクターとして、世界に派遣する計画といいます。

このほか、リゾート地で知られるセブ島のお隣のマクタン島の工業団地には、中西金属工業のほか、タミヤ、NEC、太陽誘電などの日本企業が進出しています。フィリピンは、安定した人材供給地と位置づけられます。

日本は、少子高齢化が進み、労働人口の減少が待ったなしです。英語教育に力を入れてはいるものの、効果は急にはあらわれません。その不足をいかに補えばいいか。解の一つが、フィリピンの優秀な人材の力を借りることです。幸い、日本とフィリピンは空路5時間の近距離にあります。

意外と知られていませんが、フィリピンは今後、日本企業のグローバル化にとって欠かせない存在になるのではないでしょうか

年37回のイベント、参加者1000名の1年目を経て見えたモノ

2014-09-09 14:17:29 | ダイバーシティ
(以下、ASCIIビジネスから転載)
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年37回のイベント、参加者1000名の1年目を経て見えたモノ
夢が拡がるお役所仕事!青森県にITコミュニティの活用を学ぶ

2014年09月09日 09時00分更新


9月6日に仙台で開催されたJAWS FESTA Tohoku 2014では、コミュニティ型の情報産業振興を推進する青森県の担当者が登壇した。「青森のITビジネスを盛り上げよう!」という目的を掲げ、既存のお役所仕事を超えた取り組みを進めている自治体の姿を見ていこう。

青森のITビジネスを盛り上げる数々の取り組み

 青森県は官民一体で、ITビジネスの育成に務めていることで知られている。昨年は「青森のITビジネスを盛り上げよう!」を旗印に「新時代ITビジネス研究会」を設立。「Rubyビジネスセミナー」や「介護×IT」「農業×IT」などのハッカソン、「オープンデータフォーラム」「青森ITビジネス・マッチング交流会」など9ヶ月で37回ものセミナー・研修を実施し、累計で1000名以上の参加者を集めた。今後も、「雪・インフラ×ITのマッチングワークショップ」などが予定されており、青森や弘前の雪対策チームや道路、都市計画の関係者、土木事業者なども巻き込むという。


数多くのセミナーや研修を実施し、累積で1000名以上の参加者を実現
 各種のITイベントにも積極的に参加しており、昨年の10月に開催された「ITpro EXPO 2013」では佐々木副知事が自らプレゼンに立った。今回のJAWS FESTA Tohoku 2014でも、いち早くイベントの協力に名乗りを上げている。

 こうした施策を矢継ぎ早に進めているのが、今回登壇した杉山智明氏が所属する青森県商工労働部新産業創造課 情報産業振興グループ。とはいえ、杉山氏もITのプロというわけではなく、過去は在留外国人の生活支援やりんごの中国輸出、新幹線建設予算の陳情などを手がけていたという。セッションでは、青森県の情報産業振興の取り組みやITコミュニティの作り方を、あくまで個人の意見をベースに解説した。


青森県商工労働部新産業創造課 情報産業振興グループの杉山智明氏
ITを使えば地方のハンデを克服できるのに……

 異動したばかりの杉山氏がミッションとして課されたのが、まさに新産業の創出だったという。門外漢だった杉山氏が、まず県内のIT企業を調べると、仕事があっても青森には下請けしかないため、自社サービスを作れないという現状に直面する。「県でお金出してなんか作っても、自分たちで売れない。ビジネスや顧客を作るのが難しい」(杉山氏)。隣の会社や団体がなにやっているかわからないにも関わらず、新聞に載るとやっかまれ、同業者同士が足を引っ張ることすらあったという。


県内のIT企業では自社サービスを作ったり、営業が難しい
 一方、エンジニアに聞いてみると、新しい技術に追従し、他社との差別化やシステム負荷の増大に対応する必要があり、こちらはこちらでつらい状態。せっかく東京一極集中でまかなえないニーズがあり、場所にこだわらないでITを使えば、地方のハンデを克服できるのにどうもうまくいかないというのが感想。「せっかく技術を持っているエンジニアがいっぱいいるのに、横のつながりもないし、アイデアがあってもビジネスにつながらない。もったいないと思った」(杉山氏)。

 これに対して、今までの自治体が展開してきた情報産業の振興策は有効だったか? 杉山氏はことごとく「No!」を突きつける。たとえば、技術者育成研修はいつまでも入門編で、ずっと受け身。セミナーはテーマに一貫性がなく、指標が参加者数のため、有名講師を呼んでいい話だなあで終わる。「そのときそのときのバズワードに飛びつくようなセミナーがけっこうあった」(杉山氏)。

 また、協議会はやりやすいメンバーだけで集まり、役所に陳情して終わりだが、当初の役目を終えても解散できない。そして、勉強会はメンバーが固定化し、ネタがマンネリ化する、などなど。事業実績や動員数、予算獲得額など短期的にわかりやすい数値を求めるがため、本来のミッションである情報産業の振興に至ってないというのが、杉山氏の結論。「まずは体質改善から始めましょうという感じだった」(杉山氏)。

 こうした青森県のITビジネスの課題、そして今までの取り組みの問題点などを踏まえ、情報産業振興グループが行き着いたのが、コミュニティという形態だ。個人が自主的に参加するコミュニティは、成果が見えづらい反面、地域や組織の壁を容易に超えられる柔軟性がある。こうしたコンセプトで作られたのが、コミュニティ型の新時代ITビジネス研究会だ。


コミュニティのよいところ、悪いところ

コンセプトは農業!土作りから収穫まで時間をかける

 この取り組みのコンセプトはずばり農業。「実家が農家なので、土が育ってないのに、種蒔いてどうするという思いがある」(杉山氏)とのことで、短期的な目的を追うのでなく、「青森のITビジネスで盛り上げよう!」という目的を長期的に追う。そのため、当初は枠組み作り、情報の流れ、きっかけ作りなどの「土作り」から時間をかける。


コミュニティ作りや収穫までに時間をかける
 次は2年程度でシーズの掘り起こしや側面支援、マッチングなどの「芽出し」を進め、そこから販促活動や自主活動を軌道に乗せ「収穫期」にこぎ着けるという。「田んぼのように緩やかな枠の部会を設けたり、水のように外から情報がつねに入ってくるようにする」(杉山氏)といったコンセプトで、人や情報を集め、アイデアを出し、形にしていく。そしてこれを対外的に告知し、興味を持った人を集めるというループを回すという。

 特筆すべきは、想定される障害に対して、最初から対策を施している点。たとえば、ありがちな「既存事業や団体を守れ」という声に関しては、最初から既存事業を棲み分けてチャレンジすることを明確に。また、「ヨソ者、若者、馬鹿者」など新しい人の参加を促進し、とにかく刺激を与え続け、壁を作れないようにする。「思考停止に陥らないよう、ゆさぶりをかけ続ける。くだらない言い訳を言えない状況を作る」(杉山氏)。


「ヨソ者、若者、馬鹿者」などの参加促進や既存事業者との棲み分け
 さらに、コミュニティに興味ない人に対しては、自主企画を応援。お客さんからのフィードバックをもらって、ハッカソンの試作品やプレゼン大会まで作り、とにかく「自分ごとにする」ようにする。自分の企画ならがんばれるからだ。

 こうして1年走ってきた結果は、冒頭に説明したとおりで、土作りとしては十分な成果と言える。「去年はやり過ぎました。でも、今年はこれ以上のペースで進んでいる」と杉山氏は語る。外部の人材の流入を積極的に進めつつ、参加者の内的モチベーションを上げていくというコンセプトが有効に機能しているようだ。

役所と民間の新しい関係とは?杉山氏のアドバイス

 さて、杉山氏の話で興味深かったのは、後半の「コミュニティ活動で分かった役所と民間の新しい関係」と題したパートだ。

 今までの「役所」はあくまで陳情する対象で、民間と役所で仕事をなすりあっているイメージがあったという。「民間も、役所も勝手に自分たちの絵を描き、互いに協力しろと言っていた」(杉山氏)。また、役人にも「税金使う以上、理由が必要だし」「減点主義なのに何か言われたら怖いし」「2~3年で異動だし」などの事情があるため、説明しやすく、リスクが低い施策になりがちだったという。その結果として、前述したような動員数や実績数などの短期的な数値目標を掲げた、「バズワードの打ち上げ花火」になると杉山氏は分析した。


これまでのイメージ
役人の事情
 とはいえ、役人という名前の通り、「人の役に立ちたがっている」のも事実。「役所はよく誤解されるが、本当は役に立ちたいと思っている。でも、さまざまな不安がある」(杉山氏)という。そこで、役所の役割と優位点を最大限に活かしたやり方、そして役人を動かすコツが重要になる。

 杉山氏がコミュニティ活動で分かったことは、多くの人が役所に求めているのは、必ずしもお金ではないという点。民間企業の多くは、取引先があるため、むしろ不自由なことが多い。その点、役所は取引先がない分自由で、中立性と信頼という強みを持つ。「系列もないし、喧嘩している相手同士でも同じように声をかけられる。違う業種の人も引っ張ってこられる」(杉山氏)。この強みを生かし、お金より、人集めや場作りに専念した方がよいというのが、杉山氏の意見だ。


「役所の強みは中立性と信頼」
 さらに、役人を動かすためには、相手のメリットを考えて欲しいと述べる。たとえば、役所に対しては、イベントの後援がもらえない、レスポンスが遅い、書類が面倒くさいなどさまざまなデメリットがあるが、「部署によってミッションが変わるので、相手を考えて依頼する」という配慮が必要だという。役割分担で作業負担を減らし、何かあったらという不安を解消すべく、できれば簡単にでも実績を積んでイメージを伝えるとよいとのこと。そして、「共通の目的を持って、異なる考え方を尊重することが一番重要」とアドバイスする。


相手のメリットを考える ハードルを下げる
 ベンダーでも、業界団体でもなく、コミュニティという形態を活用し、地場のITを盛り上げる青森県。県外も含め、参加者全体が大きなメリットを得られるよう緻密に練られたプロジェクトはまさに民間企業顔負けといえる。大胆な行動力で地元を盛り上げるさまざまな施策を打ち出す青森の取り組みは、ITと自治体の新しい関係を提示しているようだ。今後の青森県の取り組みから目を離せない。