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外国人排斥に走るシンガポール国民の本音

2014-06-06 15:41:35 | 多文化共生
(以下、NewsWeekから転載)
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外国人排斥に走るシンガポール国民の本音

フィリピン独立記念日のイベント開催にネット上で批判の嵐が巻き起こった訳は
2014年6月6日(金)12時47分

差別意識 シンガポール政府が昨年発表した、外国人労働者を増やす方針に反対する人々 Edgar Su-Reuters

 シンガポールで最近、不穏な動きが高まっている。事の発端は、シンガポール在住のフィリピン人たちが祖国の独立記念日の祝賀イベントを企画したこと。巨大ショッピングセンターが立ち並ぶオーチャード・ロードで6月8日に開催される予定だが、ネット上では一部の国民から「不適切で無礼だ」という怒りの声が上がっている。

 これは同国で外国人差別が強まっていることを示す証しだ。そして同時に、政府に対する不満の表れでもある。

 現在、シンガポールで働くフィリピン人労働者はおよそ18万人。フィリピンの独立記念日の祝賀イベントは何年も前から行われているが、今年は開催日が迫るにつれてソーシャルメディア上で激しい非難が巻き起こっている。彼らいわく、国の象徴とも言える目抜き通りのオーチャード・ロードで他国の独立記念日を祝うのは、国民のプライドを逆なでする行為。フィリピン国旗を掲げたりしようものなら「侵略」に等しいという。

 失業者を支援するサイト「transitioning.org」のギルバート・ゴーは、今回の祝賀イベントが「悪い前例」になるのを懸念している。「フィリピン人に認めればインド人や中国人、マレーシア人も同じことを企画しようとするかもしれない。そうなれば、いずれオーチャード・ロードは外国人が自国の旗を振り回すための場になってしまうのではないか」

 シンガポール政府は、フィリピン人の祝賀イベントをネット上で口汚く罵る声を厳しく非難している。「彼らの声は国や国民の考えを代表するものではない」と、タン・チュアンジン人材開発相は自らのフェイスブックに書き込んだ。「ああした偏狭な考えには断固ノーを突き付けるべきだ」

 リー・シェンロン首相も、反フィリピン人の動きを「シンガポールの恥」と断じた。「私たちは外国人居住者の数を管理する一方で、わが国に来る人々を寛大な精神で歓迎する姿勢を示さなければならない」

政府批判の抗議集会も

 リーは恐らく、外国人への反発の背景には、政府に対する不満があることに気付いているのだろう。既にシンガポールの人口の40%近くは外国人が占めている。こうした外国人労働者の増加が、一向に上がらない賃金水準から公共交通の混雑まで、さまざまな社会環境悪化の元凶になっていると、多くの国民が考えている。

 そうしたなかで昨年初め、政府は外国人労働者の数をさらに増やす方針を表明。以来、業を煮やした市民が大規模な抗議集会を開くようになった。

 シンガポール政府はそろそろ、外国人排斥ムードを高める一因となった社会政策を本気で見直すべきだ。そうしなければ、いずれもっと深刻な摩擦に直面する恐れがある。

 一方、フィリピン側も自国の政策を真剣に見直す必要があるだろう。労働力の輸出政策はもともと70年代、国内の余剰労働力を生かすための一時的措置として始められた。しかし今では、最高水準の技能を持つ労働者の流出や国内産業の人手不足を招いている。

 フィリピン政府が今後取り組むべきなのは、国民が外国で独立記念日を祝う手助けをすることではなく、彼らが国に帰りたくなるような環境を整えることだろう。

 シンガポールもフィリピンも、自国民の生活環境を良くするため、迅速かつ積極的に行動を起こすこと。それが問題解決への一番の近道だ。

外国人労働者と労働者不足に悩む国同士はWin-Winの関係

2014-06-06 15:40:56 | 多文化共生
(以下、SocialNewsNetworkから転載)
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外国人労働者と労働者不足に悩む国同士はWin-Winの関係

 政府が年間20万人の外国人労働者の受け入れを検討し始めた。「移民」論争の火付け役となったのは、自民党の外国人材交流推進議員連盟が2008年にまとめた「1000万人移民受け入れ構想」だ。

 移民基本法を制定して将来的に1000万人の移民を受け入れるという内容で、提言は当時の福田康夫首相に提出された。同議連は政権復帰後の昨年、「自民党国際人材議員連盟」として再スタートした。議連会長の小池百合子氏に今後の展望と課題を直撃した。

──最初に移民政策についての基本的な認識を問いたい。

小池:まずお断わりしておきますが、国際人材議連は「1000万人構想」を引き継いだ組織ではありません。ゼロベースで、わが国の持続、発展に何が必要かを考えていくのが目的です。ですから議連の名称には「移民」「推進」という言葉は使っていません。

「移民」というと国民には強いアレルギーがある。その言葉が前面に立つと拒否感が議論を妨げ、思考停止に陥る恐れがあります。何も進展しないまま時間ばかりがたつ。

 移民=国籍付与ではありません。必要な外国人人材を受け入れる形はいくつもある。人口、特に生産年齢人口の減少は深刻です。今、どんな仕組みで国際人材を受け入れていくかは喫緊の課題。先送りはできません。

──安倍政権は目先の建設労働者不足から外国人労働者の受け入れ拡大を言い始めただけではないのか。

小池:日本は外国から単純労働者は受け入れない方針をとってきました。しかし現実は、震災復興や東京五輪などでニーズは多いのに、労働者不足で入札不調が続く状態です。

 従来の方針を改める時が迫っています。たとえば都市開発が進む中東の産油国には、インドやバングラデシュなどからの出稼ぎ労働者が多く入っています。彼らはプロジェクトが終われば稼いだお金を持って自国に帰っていく。住み着くわけではありません。これは移民政策とは違います。

 仕事とカネを求める外国人労働者と、労働者不足を補える受け入れ国はウィンウィンの関係です。外国人研修生に多くを頼る農業でも、彼らは懸命に働き、農家の方の評価は高い。「日本人にこそ雇用を」と言いつつ、日本人は農業にはこないのが現状です。

※SAPIO2014年6月号

配偶者控除見直しを考える<中>多様な働き方認めて

2014-06-06 15:40:23 | ダイバーシティ
(以下、西日本新聞から転載)
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【働くカタチ】配偶者控除見直しを考える<中>多様な働き方認めて
2014年05月29日(最終更新 2014年05月29日 11時40分)
レジ業務ではパート従業員が大きな戦力となっている


 配偶者控除の見直しを進める安倍晋三首相の狙いの一つは「女性の就労拡大」。当事者や雇用現場の期待感はどうだろう。
 「問題は『103万円の壁』ではなく、小さな子どもがいても働ける環境があるかどうか」。福岡市の専業主婦(37)は、子育て世代の声をこう代弁する。2人目の子が保育所に入るめどが立ち、年内の再就職を考えている。「パートは十分に稼げないから」と控除の対象外でも正社員として働くつもりだ。
 厚生労働省の実態調査(2011年)では、働く時間をあえて短くするなど「就業調整をしている」というパート従業員は約16%だった。この主婦は「働きたくても育児や介護で103万円を超えられない人もいる。控除がなくなると税負担で困る人の方が多いのでは」と予想する。
 福岡県筑紫野市の女性(44)は両親を在宅介護するため、1年半前に正規雇用の事務職を辞めた。預金を切り崩しながら生活している。「長時間預けられる施設があれば働ける」とも思うが、急に入院することもあり、先が見通せない。「国は在宅介護を進めている。働ける環境が整わないのに介護して仕事もしてって、矛盾していませんか」
 ☆ ☆ 
 雇用する側は、就労拡大効果をどう見ているのか。
 食品スーパーの西鉄ストア(筑紫野市)では、パート従業員約2600人のうち約2千人が103万円の枠内で働いている。総務部長の田辺昇二さんは「控除を廃止しても『130万円の壁』がある。扶養手当の問題もあり、勤務時間を大幅に増やす従業員は限られるのでは」と見込む。
 年収が130万円以上になると扶養から外れ、社会保険料を払うことになる。「年金は25年間納めないと受給できず、50代が負担を増やしてまで働くとは思えない。保険料を折半する企業も負担が増える」。また、田辺さんの言う「扶養手当の問題」とは、一定収入を超えると夫の手当がなくなること。多くの企業が月額で数千~数万円を支給しており、家計に与える影響は大きい。
 一方で、九州北部税理士会調査研究部長の末吉幹久さんは雇用の縮小を警戒する。「1人あたりの給与が増えれば、雇える人数は減る。パートと企業の需給バランスが崩れることになる」と指摘している。
 ☆ ☆ 
 画一的な就労拡大に疑問を投げ掛ける声もある。福岡市のパート事務員の女性(39)は「仕事をセーブしたい人も働き続けられる環境」を求めている。
 昨年までは団体職員だった。仕事が終わるのが午後8~11時ごろで、簡単な夕食で済ませる日々。夫の転勤を機に働く時間を減らし、仕事と家庭のバランスが取れた生活に満足している。「男女問わずいろいろな働き方を認める職場環境になれば、働く女性は増えると思う」。そのために問われるのは、税・社会保障制度のあり方に加えて「意識」なのかもしれない。
 税理士事務所を営む末吉さんは、結婚や出産後の復職を促しても「夫が認めてくれない」と拒む女性を何人も見てきた。「就労拡大のため真に必要なのは『女性が家庭を守る』という社会意識を変えることではないでしょうか」

=2014/05/29付 西日本新聞朝刊=