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「脱法」水際作戦横行 生活保護法 見直しに便乗

2014-02-04 16:22:46 | ダイバーシティ
(以下、東京新聞から転載)
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「脱法」水際作戦横行 生活保護法 見直しに便乗

2014年2月4日 朝刊

 生活保護費の抑制を目的とする改正生活保護法が昨年末に成立したのと前後し、全国の自治体で申請を拒む「水際作戦」が強化されている。扶養は保護受給の要件ではないのに、あたかも要件であるかのような説明が横行。「法改正後も実態は変わらない」という厚生労働省の説明は早くも空証文となっている。 (上坂修子)
 改正法は一部を除き七月に実施される。自治体が扶養を断る扶養義務者に説明を求めたり、扶養義務者の収入や資産の状況に関し、勤務先などに調査することを可能にする。ただし、あくまで調査ができるだけで、扶養義務者が援助を断ってもこれまで通り、生活保護は受給できる。
 にもかかわらず、改正法の審議中に、全国の約三分の一に当たる四百三十六の福祉事務所が、申請の際に「扶養義務を果たさないと生活保護は受けられない」という誤った書面を扶養義務者に送っていたことが分かった。厚労省は該当する自治体に表現を改めるよう通知を出した。
 改正法成立直後には、大阪市が受給者を扶養する義務がある親族に援助を求める場合の金額の「目安」を公表。母子家庭に子ども(十四歳以下)の父親が援助する場合、年収六百万円なら最大月八万円。まず親族に受給者がいる市職員に援助するよう求め、七月以降は一般市民も対象にする。
 大阪市福祉局は「あくまで目安。強制ではない」と主張している。しかし、改正法成立や昨年八月から始まった生活保護費の切り下げなど、安倍政権の「生活保護バッシング」に便乗した感はぬぐえない。
 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長は「非常に脱法的だ。『基準』にすると法律に抵触するので『目安』として数字を出し、扶養義務者にプレッシャーをかける。姑息(こそく)な手段だ」と批判する。
 若者の生活相談などを行っているNPO法人「POSSE」が二〇一一年から三年間で受け付けた二百九十九件の生活保護申請に関する相談のうち、明確に違法と判断できるケースが全体の四分の一に当たる七十七件あったという。
 都内に住む五十代の男性は十年ほど前に胃がんになり、働けなくなった。何度も拒まれたが昨年三月、申請にこぎ着けた。だが、福祉事務所から長年会っていない兄に扶養できるか照会すると迫られた。男性は父親の遺産相続で兄と争っていた。住んでいた家が兄の名義で「何かあったら追い出される」と不安に思っていると説明したものの、取り合ってもらえないため申請を取り下げた。
 厚労省通知は「適当でない」と認められる場合は照会を差し控えるよう指導している。吉永純花園大教授(公的扶助論)は「国会での改正論議を踏まえ、付帯決議で確認された『扶養義務の履行は要件ではない。申請権は侵害してはならない』などの点を自治体は自ら点検し、しっかり法にのっとった運用をしなければならない」と話している。
<改正生活保護法> 昨年12月に成立。保護の申請時に、本人の資産や収入などを記した申請書と所定の書類の提出を義務付けるなど手続きを厳しくし、不正受給対策として罰金の上限を30万円から100万円に引き上げた。厚生労働省によると、全国の生活保護受給者は昨年10月時点で216万4338人と過去最多。

外国語表記  観光地案内板や道路標識  観光庁が統一指針案

2014-02-04 16:22:23 | 多文化共生
(以下、月刊私塾界から転載)
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外国語表記  観光地案内板や道路標識  観光庁が統一指針案

観光庁は1月31日、外国人観光客の増加や2020年東京五輪開催などを踏まえ、観光地の案内板や道路標識の外国語表記を統一する指針案をまとめた。地域によって同じ言葉の表記がバラバラだったり、日本語読みをそのままローマ字表記したりしていることがあった。同庁は年度内にも400以上の言葉について英語、中国語、韓国語の対訳語を示す。指針案では基本ルールとして固有名詞はローマ字、普通名詞は英語で表記する。例えば公園を「Koen」とローマ字で書いている例があるが、英語の「Park」に統一。

都外施設 豊かな首都、弱者冷遇

2014-02-04 16:21:56 | ダイバーシティ
(以下、apitalから転載)
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都外施設 豊かな首都、弱者冷遇
報われぬ国 負担増の先に
朝日新聞 (本紙記事より)
2014年2月 3日

雪に囲まれた知的障害者の施設。東京から遠く離れた北国で暮らす障害者がいる=1月27日、秋田県北秋田市

【西井泰之、松浦新】 元日の昼、東京都中野区に住む今村明美さん(76)は福島県白河市郊外の焼き肉店にいた。家族連れでにぎわう店内で、長男(49)が大好きな肉をつまみながら、夫の孝さん(79)とじゃんけんで遊んでいた。

山あいの障害者施設に30年

 「こんなお正月があとどれくらい続くんだろう」
 長男は小学生の時に校舎から転落し、左半身と脳に後遺症が残った。いまは福島県西郷村にある知的障害者の施設で軽作業をしながら暮らす。「都外施設」と呼ばれ、約80人の入居者のうち9割が東京都民だ。  月に一度の面会日には欠かさず施設を訪れる。これまで正月とお盆には長男が東京の自宅に帰ってきたが、今年は初めて帰省をあきらめ、代わりに夫婦で大みそかから福島を訪ねた。
 「息子も年をとって歩けなくなってきた。長男を支えてトイレなどに行かせるのは骨が折れるようになって」。帰り際、「寒いところで暮らすんだ」と思うと、涙があふれた。

 ■14県に40カ所


 障害者の都外施設は青森や長野、岐阜など14県に40カ所あり、東京都から約2500人が入る。土地の値段が高い都内では施設用地を確保しにくいため、1960年代後半から地方につくられるようになった。
 明美さんは、長男が養護学校を卒業する時に中野区から紹介された。「どうしてそんな遠いところにって……。でも、断ったらどこにも入れなかった」。父親の介護もあり、自宅では世話ができなかった。
 それから約30年がたつ。「勝ち組」の街で、弱者の声はかき消されてきた。
 心細いのは、遠く離れて暮らすだけでなく親も子も年をとっていくことだ。入居者で最高齢の人は80代になる。「元気なうちは会いに行けるのだけれど。私たちが死んだ後、山里で一人ずっと暮らすんだろうか」
 施設は古く、もともと高齢化にも対応していない。長男は10畳ほどに三つのベッドを置いた3人部屋にいる。狭いうえ、廊下などの壁の一部には東日本大震災でできた亀裂が残る。
 夜は職員が3人。国の基準を満たしているが、年齢も障害もさまざまな障害者を支えるには足りない。
 「入れただけ運がいい、と思うしかないのでしょうか」。12年9月に長男(23)が入居した主婦(56)には不満が募る。
 3年ほど都内の施設などを探したが、どこもいっぱい。福島で1人入れるというので申し込んだが、競争率は十数倍にもなった。
 「東京は日本で最も豊かな都市なのに。大きくなくていい、5、6人で住める施設でいいんです。せめて、子どもが親のそばや地域で生きていけるように」
 東京から約700キロ離れた秋田県北秋田市の山あいにも四つの都外施設がある。「阿仁かざはり苑」では18~75歳の約80人が暮らし、今年の正月は半数が帰省しなかった。親が亡くなったり高齢で世話できなかったりするからだ。
 地元の視線も厳しくなった。親が亡くなると、高齢の障害者らの医療費は地元自治体の負担になる。「負担が増える、将来どうするんだ、とお荷物になるかのように言われて」。施設の関係者は顔を曇らせた。

出所の高齢・障害者支援

2014-02-04 16:21:26 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
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出所の高齢・障害者支援


社会復帰へ 住まい探し、福祉の手配


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 刑務所を出ても帰る場のない障害者や高齢者の社会復帰をサポートする自治体の取り組みが広がっている。

 全ての都道府県で開設された地域生活定着支援センターがその拠点だが、課題も明らかになっている。

 「もう刑務所には戻りたくないです」

 千葉県内の福祉施設で暮らす60歳代の男性は話す。2年ほど前、20回目の服役を終えて刑務所を出所した。それまでは服役を終えても行き先はなく、所持金がなくなると、刑務所に戻ろうと無賃乗車をした。服役期間は計40年近くに上った。

 最初の服役は20歳代の初め。母親への傷害事件が理由だったが、後はすべてタクシーの無賃乗車だ。家族には頼れず、知的な障害も疑われた男性を手助けしたのは千葉県地域生活定着支援センターだった。

 出所の半年ほど前、刑務所から連絡を受けた保護観察所で、男性の家族は身元を引き受けられないことを確認。出身地である千葉県の同センターが入れる福祉施設を探すことになった。

 岸恵子センター長が刑務所で男性の意向を聞き、住民票のあった自治体に生活保護の支給を要請した。お陰で男性は出所直後から安定した生活を始められた。

 「家族や社会の支援がなく道を踏み外した受刑者は多い。刑務所に隔離するだけでは解決にならない」と岸さんは言う。

 同センターの支援でアパート暮らしをする女性(70)も、夫が病気で倒れた後、生活苦から万引きを繰り返し服役した。「出所後はホームレスだと覚悟していたけど、住まいまで探してもらえた。もう間違いは犯しません」と感謝する。

 法務省によると、刑務所から出る人は年間約3万人。そのうち、高齢や障害のため自立が困難な人は、2006年の調査で約1000人に上った。

 行き場のない出所者は、更生保護施設に最長6か月間滞在できるが、再就職が見込める若い人が優先される。高齢者や障害者で入れる人は少なく、当てもなく出所する人が多かった。

 身元引受人のない高齢出所者は再犯率が高い。07年の犯罪白書によると、65歳以上で刑期満了まで刑務所にいた人は7割が5年以内に再犯し、その4分の3は2年以内の再犯だった。

 こうした状況を受け、国は08年に犯罪対策の行動計画を策定。各都道府県に地域生活定着支援センターの設置を求め、49か所が開設された。各センターは、保護観察所の依頼を受けて出所前から面接を行い、釈放後の住まいを探し、生活保護や介護など福祉サービスの手配を行う。

 「再犯を重ねていた人が定着したなど、効果を上げているセンターもある」と厚生労働省の担当はいう。

就労など課題

 一方、課題もある。

 神奈川県のセンターでは3年間で定住を目指して支援した35人のうち、6人が再犯で収監され6人は失踪。9人は簡易宿泊所など一時的な居場所にいる。犯罪歴を持つ高齢者や障害者を受け入れる福祉施設が県内に少なく、仕事に就ける人もほとんどないからだ。

 生活保護だと1人年200万円の公費が必要だが、服役すると年300万円、裁判などでさらに500万円かかるとの試算もある。

 更生保護に詳しい藤本哲也・常磐大学教授は「これまで司法と福祉のはざまで放置されてきた人たちを支援する仕組みが全国に整備されたことは評価できる。今後は、一般の労働市場で働くことが難しい人を雇用する『社会的企業』などを増やしていくことも必要だろう」と話している。(針原陽子)

 地域生活定着支援センター 刑務所から出ても引受先のない高齢者や障害者に個別の支援計画を作り、住居や福祉サービスなどを手配し、再犯を防ぐ。

(2014年2月4日 読売新聞)