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外国人生徒に特別入学枠を 公立高入試、研究チームが提言へ

2014-02-13 10:41:00 | 多文化共生
(以下、神戸新聞から転載)
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外国人生徒に特別入学枠を 公立高入試、研究チームが提言へ

特別入学枠について話し合う「外国人の子どもの未来を拓く教育プロジェクト」のメンバー=西宮市北口町


 親の就労などで外国から日本に移住して数年以内の生徒を対象に、高校進学の機会を広げる「特別入学枠」を兵庫県でも導入することを目指し、大学教授らが1月、研究チーム「外国人の子どもの未来を拓(ひら)く教育プロジェクト」を立ち上げた。今後、県内の事情や他府県の状況などを調査し、今夏にも県教育委員会に提言する方針だ。(金山成美)

 研究チームには、教育や人権、社会学、多文化共生などを専門とする大学教員ら12人が参加している。

 呼び掛け人で関西学院大非常勤講師の辻本久夫さんによると、2013年度の公立高校の入試で「特別入学枠」を設けていたのは19都府県。三重県では来日6年以内の生徒を対象に、指定する19高校で募集定員の原則5人以内を入学枠とし、試験は通常5教科の後期日程学力検査を作文と面接のみとしている。

 兵庫県では公立高校一般入試で「特別措置」を設定。中学校から申請があれば、障害者や外国人らに対し、休憩時間をつぶしての時間延長▽ルビ打ち▽別室受験‐を認めているが、特別入学枠はない。

 兵庫県の外国人在留数は約9万7千人で、全国7位(12年12月末現在)。上位10都府県のうち特別入学枠を設けていないのは、兵庫と10位の京都だけ。

 また、文部科学省による「日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等に関する調査」(12年5月1日現在)では、兵庫県は全国12番目に多い774人が公立小中学校に在籍している。

 研究チームは今後、他府県の実施状況の調査▽在日期間原則3年以内の子どもがいる小中学校に県教委が派遣する「子ども多文化共生サポーター」からの聞き取り▽外国籍中学生の卒業後の進路調査‐などを行う予定。対象者や人数、試験内容など県内の事情に合った特別枠案をまとめ、県教委に提言する。

 辻本さんは「日本と外国の懸け橋になれる子どもたちの才能と可能性が言葉の壁でつぶされるのは、日本にとっても損失。兵庫の現状を考えると早急な改善が必要で、15年度の公立高校学区再編に間に合わせたい」と話す。

まず、心のバリアフリーが必要だと思う

2014-02-13 10:39:30 | ダイバーシティ
(以下、朝日新聞から転載)
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《50》 まず、心のバリアフリーが必要だと思う

樋口彩夏 (ひぐち・あやか)
2014年2月12日

車いすに乗っている私がひとりで駅の改札へ行くと、「介助するのが常」という対応を受けます。
それは、健常者の連れがいても、同じ場合がほとんどです。

車いすユーザーになりたての頃は、なにも疑問に思うことなく、ありがたく恩を受けていました。
やがて時が経ち、車いす操作も板についてくると、ひとりで出来るもん!という自尊心から、介助を断るようになりました。
でも、それを良しとしない駅員さんが大半を占めていたのです。
高校生だった私が頼りなく見えたのか、危なっかしかったのかもしれません。
出来ることをさせてもらえないことに納得ができなかった私は、駅員さんへ率直な疑問をぶつけてみました。

返ってきた答えは、次のとおりです。
「介助のいらない人を、ひとりで行かせてあげたい、行ってほしいのは山々なんだ。
でも、もし事故が起きでもしたら……と考えると、会社としての責任が問われてしまう。
君の気持ちは分かるけれど、むずかしい問題でね……」
介助不要の申し出を断られるたびに、おなじ質問をくり返すも、9割方は同様の返答でした。
幾人もの駅員さんが抱える、やるせない想いに触れた私は、それを汲むようになりました。
1周まわって、また、ありがたく介助を受けるようになったのです。

でも、“やっぱり、おかしいよ”という思いは、拭えません。
「障害者にたいして、過保護すぎるのでは?」というのが、正直なところです。
今回の件については、鉄道会社の事故に対するリスク管理、という側面があることを頭では理解しています。
しかし、日本人の根底にある、障害者に対する観念が、問題の根源なのではないでしょうか?
“障害者=ひとりでは何もできない=何かしてあげないといけない存在”
そんな気持ちが無意識のうちに、言動へあらわれている気がします。

手伝ってあげる、守ってあげる――。
その発想は、優しさから来ているのかもしれません。
しかし、手伝ってもらわないと成り立たない生活は、障害者にとって幸せなものと言えるでしょうか。
何かをしてあげるのは、簡単なことです。
けれども、障害者自身で事が完結するような環境であることこそが、本当の優しさだと思います。

でも、その優しさを、きびしく感じる障害者もいるかもしれません。
手伝ってもらうのが、当たり前――
そうやって障害に甘えている障害者が少なからずいることも、悲しいかな事実なのです。
ひと昔前の障害を隠して生きざるを得ない環境や、出来ていたことが出来なくなる喪失感から自尊心をも失ってしまう……
そんなことを想像すると、無理もない気がしてきます。
障害者の一部に見える甘えた姿勢も、きっと本心から来るものではないでしょう。

「障害があろうとなかろうと、できることは自分でする!」
健常者にも障害者にも、このことが頭にあれば、障害という壁を前にギクシャクすることなく、フラットな関係が築けるのではないでしょうか。

それでも、努力では超えられない障害があります。
電動車いすに乗っている場合や、電車とホームの隙間・段差が大きい駅などでは、どうしてもスロープが必要なこともあるでしょう。
そんなときは、駅員さんの出番です。

でも、大半は、車いすで電車に乗るときのサポートなんて、ひょいっと、ひと押しするだけです。
人によっては、手を出さずに見守るだけで済んでしまうことだってあるくらい。
30分も待って、わざわざ駅員さんに頼むほどのことではありません。
高齢者や妊婦さんが立っていたら、席をゆずりませんか?
その行動は、なにも崇高なものではなく、ごく自然なものだと思います。
それと同じように、車いすの人が電車に乗ろうとしていたら、ちょっと気にかける―― それだけでいいのではないでしょうか。

一歩踏み出して、「お手伝いすることは、ありますか?」と、一声かけるのも良いかもしれません。
困っていたら、なにかをお願いするだろうし、困っていなければ、「大丈夫です、ありがとう」となるでしょう。
「困ったときは、お互いさま」と自然に手を差しのべ合える、あたたかい社会が私の理想です。

そして、もし手伝いが必要なら、それは障害者自身が工夫をするべきです。
だれかが声をかけてくれるのを待つのではなく、「手伝って」と自分から言ってみましょう。
言わなきゃ伝わらないことって、たくさんあります。
それは、だれが悪いわけでもなく、経験のないことが分からないのは、当たり前。
健常者には理解してもらえない、と卑屈になる前に、「こうなんだ」と伝えてみたら、あっさり受け入れてもらえるかもしれません。

健常者・障害者、双方が歩み寄る――
バリアフリーな設備がなくても、心の持ちようで超えられるものはたくさんあるはずです。
障害者が電車に乗ること、街にいることは、特別なことではありません。
“いろいろな人がいて当然”、“お互いさま”のように、心のバリアフリーからはじめませんか?


樋口彩夏 (ひぐち・あやか)
1989年、東京生まれ。埼玉・福岡育ち。いつも外を走り回っていたお転婆娘が、14歳・中学2年の時、骨盤にユーイング肉腫(小児がん)を発症しました。
抗がん剤、重粒子線、移植などの治療を終えたものの副作用や後遺症のために9年間、入退院の繰り返し。その影響で下半身不随となり、車椅子で生活をしています。「普通の生活」に戻りつつある今、「いつ、誰が、どんな病気や障害をもっても、笑顔で暮らせる日本にしたい!」を目標に模索を続けています。

発達障害 育児体験つづる

2014-02-13 10:39:01 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
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発達障害 育児体験つづる


「かかわり遊び」や家族の歩み


三好さんが著した「発達障害の子 遊んでホメて 楽しく育てる」

 長男に発達障害のある高松市円座町の会社員三好照恵さん(42)が、育児のヒントとともに家族の歩みをつづった「発達障害の子 遊んでホメて 楽しく育てる」(ぶどう社)を出版した。「明るい未来はきっとくる。子育て中のお母さんたちの励みになれば」と願っている。

 昨春、中学生になった長男の健太君(13)は、3歳時の健診で注意欠陥・多動性障害などと指摘された。「ちょっと落ち着きがないかな」とは思っていた。ショックでしばらく涙が止まらなかった。

 早朝に近所の家のチャイムを鳴らし続けたり、公園で他人の自転車に勝手に乗ったり。夜も決まった時間に眠らず、三好さんの言うことも聞いてくれない。「毎日、周囲に謝ってばかり。疲れ果て、子どもとうまく関われなくなった」

 そんな時、相談に訪れた療育センターで、親子でふれあいながら言葉と社会性を育てる「かかわり遊び」を学んだ。体を使って一緒に遊び、いたずらや失敗をしても褒め続けるのがポイントだ。

 夫とともに、健太君を床につきそうなほど低い位置から「高い高い」をすると、ゲラゲラ笑ってくれ、「もう一回」と目を合わせて言ってくれるようになった。塗り絵をぐちゃぐちゃに塗っても「すごいね」と褒めた。次第に意思疎通ができるようになり、三好さんのストレスも減っていった。

 本では、こうした体験を基に「子どもの心が安定するまで、絶対に途中でやめない」などかかわり遊びのポイントを紹介した。

 このほか片づけやお手伝いなど「生活する力」、読み書きなどの「学ぶ力」を伸ばすため、「遊び」と「ほめること」を組み合わせた三好家の取り組みを記した。健常児を育てる人を含め、多くの保護者の参考になると思ったからだ。

 健太君は今、県立香川中部養護学校に通い、家では弟と妹を交えて楽しく遊んでいる。三好さんは「苦しい時もあったけど、今は充実している。子育てできるのはわずかな時間。楽しむことで、悩みを吹き飛ばして」と子育て仲間にエールを送っている。(花田祥瑞)

(2014年2月11日 読売新聞)