森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

夏草

2020-06-06 | 日記


 湖面は初夏の光で溢れています。
 
 本州では南の方から次々と梅雨に入っています。
 梅雨のない北海道は今が一番過ごしやすい時節です。
 日中、陽が射してもやっと20℃に届く気温で湿度も低く、早歩きしても少し汗ば
 むぐらいの爽やかな日々です。



 昨日のニユースで、去年日本の人口が50万人減少したと聞きました。
 この10年間毎年減り続けているから、減ることには慣れてはいたけれど50万人
 にはギクッとしました。
 50万人といえば宇都宮や松山です。この街がひとつポコッと消えたと思うと怖く
 なりました。
 さらに数年後にはいよいよ本格的な減少段階に入ります。予想通りとはいえ年間
 100万人づつ減っていくのですから、今日本にある12の100万都市が毎年ひ
 とつづつ消滅する感じです。分かり切っているつもりでもショックです。

 明治維新のころの人口は3000万人ほどだったそうです。
 その後140年間増え続け、2010年のピークには4倍にもなっています。
 しかしその直後から減りだし、今後100年間減り続けて再び維新のころに戻るそ
 うです。その250年間の人口グラフは、左右対称のきれいな富士山を表していま
 す。
 でも、さまざまな努力をすれば6000万人ほどで下げ止まるという学者さんもい
 ます。そうなればいいですね。
 明治以来、日本の為政者の夢見た国家像とはちょっと違ってきたけれど、もともと
 日本は高い文化をもっているのだから、ヨーロッパ諸国と同じような落ち着いた良
 い国になると思います。少なくとも今のように「追いつけ 追い越せ」と慌しく生
 きることはなくなるでしょう。



 しかし、今の小さい子やこれから生まれる子たちは、ひたすら国が縮小していく最
 中で一生を終えることになります。
 各種施設や商店がなくなり、交通も廃止され、ドカンといた年寄りはどんどん死ん
 でいく、そんな淋しさの中でどんな精神性を育んでいくのでしょうか。
 
 いやいや、それだからこそ、厳しい環境だからこそ、より賢く育つのかもしれませ
 ん。我々のように若いころバブルに浮かれて、そのままボーッと老いたものは生き
 ていけないのでしょうね。
 次の時代を心配するより、自分の足元を見つめたほうがよさそうです。



     夏草や 兵どもが 夢の跡     芭蕉
 
 みんな知ってる、芭蕉さんが奥の細道で平泉を訪れたときの句です。
 「兵(つわもの)」とは、もちろん義経や藤原のことですよね。
 人の夢は脆く儚い、しかし夏草は毎年現れてなんて強いのでしょう。と対比して謳
 ったのだと、勝手に解釈しています。



 
 
 
 
 
 

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