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この一週間は大雪はなかったものの、毎日小雪がはらはら舞って、
お日さまの顔をみることはできませんでした。
大寒もじきに終わるのですが、この森では今から2月の半ばまでが
一年でいちばん寒い時季です。
もうひと山越えれば春近し、といったところでしょうか。
冬の森はまったくモノトーンの世界で、唯一空だけが色彩を持って
います。
しかしこんな曇り空の時は、その空も色を失ってしまいます。
当然、空の色を反映している湖水の色もなくなります。
そんな時は、はるばる遠くから飛んできたオオハクチョウのクチバシ
の僅かな黄色に目がいきます。
そして、なんとも懐かしい気持ちになります。
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今年も大沼では20羽~30羽のオオハクチョウが越冬しています。
本州の湖に比べたらごく僅かな羽数ですが、これでも稀少でありがたい
ことです。
もともと北海道の湖は、冬場には完全に凍結してしまうために、白鳥
たちは餌となる水草を採ることができません。
ですから本州の湖へ渡るための、休息地としての役割だけなのです。
本州の各湖には、数百羽あるいは千羽以上の白鳥が降り立ち、それは
それは壮観です。
去年はなんと、奄美大島でもコハクチョウが確認されています。
中継点としての北海道の湖ですが、ありがたいことに大沼には一か所
だけ、水流があるために凍らない場所があります。
そこはごく狭い所なのですが、白鳥たちは餌採取ができるため、それに
見合った羽数の子たちがその場所で越冬していきます。
シベリアを発つときは何千羽もいたのですから、みんなと一緒に
本州の暖かい湖へいけば、らくらくに越冬できるのに、どうして
ここへ残ったのか不思議です。
しかも、毎年同じ鳥が来ているわけでもないようなのです。
もう長い間、偉い先生方が頭をひねっても、さかだちしてもわからない
そうです。
自分は勝手に「自分のために来てくれるんだよ」といっていますが、
よそのジイサンに「アンタの生まれる遥か昔から来てるんだョ」と
いわれると、黙ってしまいます。
そして「アンタこそ なんでこんな寒い不便な所にいるんだョ」
といわれてしまいます。
鳥も人も、わからないことが多いです。
だから面白いのです。
それより、お日さまが顔をだしてくれますように。
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