森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

縄文栗

2021-09-12 | 日記


 9月も中旬になり、めっきり秋らしい風景になってきました。
 トンボがずいぶん少なくなって、蝶や甲虫類、蛾や蜂などサナギからかえった
 虫たちが元気に飛び交っています。
 飛ぶ昆虫を追うのも秋の愉しみのひとつです。



 落葉が始まっています。
 ドングリも落ちだしました。
 小屋や車の屋根に、絶え間なくパチンパチンと弾ける音をたてています。
 これから暫くの間は、ドングリさんの奏でる音楽とお付き合いです。



 今では、落ちてる栗を見つけることはめったにありません。
 かつて栗の木はどこにでもありました。
 しかし、栗の木は堅く重く腐りにくいうえに、よく燃えるから、土木工事や鉄道
 の枕木、さらに炭の材料としてどんどん使われていきました。
 栗の実も海外から大きくて甘いものが安価に入ってきて、とてもたちうちできな
 くなりました。
 近年まで、森町の海岸を望む丘陵地帯には、20kmにも渡る栗の大密林がありま
 したが、ここも同じ理由で絶滅しました。
 
 ところが最近、この地域に高速道路を通す工事を始めたところ、古代の遺跡が
 ザラザラと現れたのです。
 その数なんと52遺跡にものぼり、そのほとんどが縄文遺跡です。
 発掘された遺構や遺物の調査から、8000年前の縄文早期から近現代に至る
 までの、途絶えることのない人々の生活の痕跡が確認されました。
 
 すでに三内丸山では、縄文人が栗栽培をおこなっていたことが、遺物調査から
 証明されていて、北の縄文人は栗を主食にしていたものと考えられています。
 となると、ごく近い対岸の森町栗密林も縄文人たちが数千年に渡って、こつこつ
 と植樹して育ててきたものかもしれません。
 なんとありがたいことでしょう。
 
 森町では、たまたま堀っただけでこれほど多数の遺跡が現れるのですから、この
 先まだまだ多くの貴重な古代遺跡が眠っていると考えています。
 いずれは森町界隈は、世界に名だたる大縄文エリアになっていく可能性だって
 あります。
 こりゃ~縄文人に感謝するしかありません。

 現在、栗の木は町の公園に百数十本残されているだけです。
 しかし縄文から続く元祖縄文栗(正確にはわからないけど)を大切に増やして
 遺跡と整合させていけば、だれもが縄文人の精神性を感じられて、特に子ども
 たちは伝統の誇りを持ってゆったりと育っていくように思います。
 
 栗だけに、甘い考えかな。

 森の朝晩はグッと冷え込むようになりました。
 オオハンゴンソウはじめ野の花たちは、まだまだ元気にがんばっています。