森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

ドカ雪

2020-12-15 | 日記


 昨日降り出した雪は、今朝まで続き、今年初のドカ雪となりました。
 それでも、お昼前には止んでくれたので、ソレッとばかりにこれも今冬初の
 雪掻きの準備です。
 軽い雪のうちに掻いておかないと、積もると重くなって大変です。
 車も動かなくなってしまいます。



 昨日まで眼に映るものはすべて茶色だったのに、それが一日で完全に真っ白
 になってしまいました。
 まるで回り舞台のように、一瞬で変わる自然の風景を観るのは、なんとも
 不思議な感覚です。
 そうです、旅の風景と同じなのです。列車でひと眠りして目が覚めると、ま
 るで違った景色が眼前に現れてびっくりします。これと同じなのです。
 ということは、森の中では居ながらにして旅を楽しめるのでしょうか。

 ぼんやり考えていないで、早く雪掻きを終えなくっちゃ、と雪の上に足を
 一歩踏み出すとズルㇼと滑りました。なんとかバランスをとってコケません
 でしたが、危ないところでした。
 打ちどころが悪ければ、ハイそれでおしまいです。
 頭ではわかっていても、体がまだ雪を認識できていないのです。

 一瞬の出来事で人生は一変します。
 いや、出来事じゃなくても、一本の電話、一通の手紙、一冊の本、ひとつの
 言葉、で人は生きる方向がガラリと変わります。
 そして、決して元へは戻れません。
 人は脆く儚く、最後は呆気ないものです。
 こんな誰もがいやというほど経験している、ありふれたことを、あらためて
 思い起こさせてくれる雪でした。

 そうだ、来年はコロナが終わるから、また旅をやろう。もう長い旅はできな
 いから短い旅をちょくちょくやろう。
 徐々に弛緩していく精神性を取り戻すには、それがいちばんいいようです。
 三木清さんの「旅において出会うのはつねに自己自身である。自然の中を行
 く旅においても我々は自己自身に出会うのである。旅は人生のほかにあるの
 ではなく、人生そのものの姿である。」この言葉を思い出しました。

 雪はお昼過ぎからまた降り出しました。
 明朝は、どんなふうになっていることやら。