「八重山民俗園 旧牧志邸」の南側の軒先に大きな貝殻が糸で吊り下げられていました。
沖縄から奄美一帯に「魔よけ」で家の前に貝を吊るす風習は知っていましたが、貝の名前が分からず、家遊びの三線を教えているオジサンに聞いてみました。
「クモ貝」だそうで、八重山でも昔から魔よけで吊るす風習があるそうです。
写真1段目左2枚は、「旧牧志邸」の軒下の「クモ貝」です。
7つの角をもっている、「クモ貝」に、なぜ昔の人は魔よけの力があると考えたのか不思議です。
写真1段目向かって右は、「スイジ貝」です。
この貝にも魔よけの力があるそうで、貝の形が「水」に見えることから火災から家を守るとされ、家の前に吊るすようです。
この「スイジ貝」はオニヒトデを食べ、サンゴの守護神とも言える貝だそうです。
写真2段目は、「巴形銅器」と言い、弥生時代後期から古墳時代中期頃の遺跡から出土し、用途不明とされています。
形から見て魔よけ貝の代用品のようなものではなかったかと言う説もあります。
同じ様な例で、弥生時代にゴホウラ貝・イモ貝などの腕輪が九州を中心として西日本各地の遺跡から出土し、時代が下ると貝の腕輪の代用品と推定される形の似た胴器が出土しています。
「魔よけ」とは、「魔物から身を守ること」と言えば終りですが、「魔物」と言う宗教観があることが前提となります。
「魔物」は、「悪い出来事をおこす者」がいると思うことから始まっているものと考えられます。
次に、誰にでも「これから先に悪いことが起きるのではないか」と言う不安・恐怖の気持ちがあります。
そのような気持ちを和らげたいと考え、「魔よけ」がうまれたものと考えられます。
「魔よけ」は、迷信だと片付けるより、不安や、恐怖から心を安らげる、人にやさしい習慣としてみたいと思います。
昔、軒下に吊るしていた「テルテル坊主」、初詣に買う「破魔矢」、「お守り」なども「クモ貝」と同じようなものですね。
お役に立てて良かったです。
今ちょうどクモ貝について調べていたんですー