【東北地方太平洋沖地震で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。】
11/14 イタリア旅行6日目、オプション旅行で行った「ナポリ・ポンペイ日帰りツアー」の続きです。
ポンペイ遺跡の最後、「秘儀荘」の見学です。

ポンペイ遺跡北西にあるヘルクラネウム門(エルコラーノ門)を出て、しばらく石畳の道を歩くと、やがて未発掘地帯を通る未舗装の道になってきました。
向こうには、なだらかな裾野を持つヴェスヴィオ山がそびえています。
写真に向って左の芝生の上に「秘儀荘(Villa dei Misteri ヴィッラ・ディ・ミステリ)」の赤い屋根だけが見えて来ました。

「秘儀荘(Villa dei Misteri ヴィッラ・ディ・ミステリ)」の建物の鳥瞰図です。
ポンペイ遺跡の売店で、本を購入した時に頂いた地図の一部です。
南側の入口から入り、西側の出口まで進んで行きました。

「秘儀荘」の鳥瞰図Aの辺りの風景です。
建物はさらに写真右手に広がっていますが、修復されている屋根はごく一部のようでした。
未発掘の場所から見下ろすと、高さ6~7mの火山灰層の下に屋敷が埋もれていた状況がよく分かります。
写真左手に見える駐車場は、「秘儀荘」横から入場するためのものでしようか。
駐車場の手前に見える通路から降りて行きました。

「秘儀荘」の鳥瞰図の入口からBの辺りの風景です。
上段の建物の西に続く風景で、東西の全長はかなりの長さになるようです。
左手の壁が大きく開いた建物から海を見下ろす美しい風景が広がっていたものと思われます。

「秘儀荘」の建物をめぐる途中にブドウ圧搾機が復元されていました。
動物の顔が彫られた丸太を引き下ろすと、右手の箱に入れられたブドウが圧搾されるようです。
搾られた果汁は、大きな壷に入れて中庭で発酵させた後、保存・運搬用の陶器「アンフォラ」に詰め替えられていたようです。
秘儀荘の壁画がワインの神「ディオニユソス」への信仰の儀式を描いており、ディオニュソスへ山羊を生贄とすることからこの丸太に彫られた動物を山羊[ヤギ]として関連付ける資料がありました。
しかし、この動物の角の形は耳の前で先端を上に向けており、牡羊[オヒツジ]のように見え、釈然としません。

ガイドさんに案内されて天窓のある広間「アトリウム」(鳥瞰図-D)に来ました。
中央の床には水盤があり、天窓からの雨を貯めていました。
「アトリウム」は、社交場としての機能の他、広間に面した部屋を明るくし、雨水を有効に利用するものだったようです。

「アトリウム」から「中庭」(鳥瞰図-C)の方向を見た風景です。
中庭にはパンを焼く石窯(オーブン)や、地下室へ下りて行く階段などもあり、この屋敷のスケールの大きさを感じさせられました。
写真左下は、床のタイルの写真です。(この部屋のものではなかったと思いますが・・・)
黒い帯状の部分は部屋の端に並行しており、美しいタイルの床でくつろぎの空間を創り出していたようです。

入室が禁止され、入口から見学した「秘儀の間」です。(鳥瞰図-Eの辺りか?)
部屋の壁には「ポンペイの赤」と呼ばれるやや黄味がかった赤色を背景に29人の等身大の人物が描かれたフレスコ画があります。
壁画には、ワインの神「ディオニユソス」への信仰の儀式が描かれている説もあり、向って左の壁から右に向って絵巻物のように場面が展開しているようです。

向かって左の壁に描かれた壁画です。
ディオニュソス信仰への入信儀式の準備をする場面で、中央で椅子に座って背を向けているのが女祭司と考えられている説があります。
右から二番目の男性の前に二匹の羊[ヒツジ]が描かれていますが、ツノの先端は、頭上の後方に尖っていました。

壁の右手に背に翼のある女性が立ち、右手の壁に描かれた女性の背中をムチで打っていると考えられている絵です。
その左で、床に座り込む女性は、ムチで打たれる女性に両手を伸ばし、心配の余り取り乱している母親のようにも見えます。

椅子に座った女性の膝にすがって泣き伏している若い女性が主役の絵と思われます。
後ろを向いて立つ裸の女性の両手には小さな楽器のようなものが見え、踊っているのでしょうか。
これら一連の絵を見ていると、入信の儀式が描かれている説にもうなづける気がします。

入口からすぐ右手の壁画です。
髪を整える女性のためにキューピッドが鏡を持って見せているようです。
諸説のあるこれらの絵の解釈はさておき、有翼の人物三人描かれていることからもキリスト教が普及する以前の宗教が変遷する一過程を表しているようにも思われます。
ポンペイの見学はこれで終了、近くのレストランで食事の後、ナポリに向かいました。
参考文献
「ポンペイの歴史と社会」ロジャー リング著、堀 賀貴訳
「POMPEI RICOSTRUITA」Maria Antonietta Lozzi Bonaventura著
「世界の生活史ポンペイの人々」ピーターコノリー著
「ポンペイの遺産」青柳正規・監修
11/14 イタリア旅行6日目、オプション旅行で行った「ナポリ・ポンペイ日帰りツアー」の続きです。
ポンペイ遺跡の最後、「秘儀荘」の見学です。

ポンペイ遺跡北西にあるヘルクラネウム門(エルコラーノ門)を出て、しばらく石畳の道を歩くと、やがて未発掘地帯を通る未舗装の道になってきました。
向こうには、なだらかな裾野を持つヴェスヴィオ山がそびえています。
写真に向って左の芝生の上に「秘儀荘(Villa dei Misteri ヴィッラ・ディ・ミステリ)」の赤い屋根だけが見えて来ました。

「秘儀荘(Villa dei Misteri ヴィッラ・ディ・ミステリ)」の建物の鳥瞰図です。
ポンペイ遺跡の売店で、本を購入した時に頂いた地図の一部です。
南側の入口から入り、西側の出口まで進んで行きました。

「秘儀荘」の鳥瞰図Aの辺りの風景です。
建物はさらに写真右手に広がっていますが、修復されている屋根はごく一部のようでした。
未発掘の場所から見下ろすと、高さ6~7mの火山灰層の下に屋敷が埋もれていた状況がよく分かります。
写真左手に見える駐車場は、「秘儀荘」横から入場するためのものでしようか。
駐車場の手前に見える通路から降りて行きました。

「秘儀荘」の鳥瞰図の入口からBの辺りの風景です。
上段の建物の西に続く風景で、東西の全長はかなりの長さになるようです。
左手の壁が大きく開いた建物から海を見下ろす美しい風景が広がっていたものと思われます。

「秘儀荘」の建物をめぐる途中にブドウ圧搾機が復元されていました。
動物の顔が彫られた丸太を引き下ろすと、右手の箱に入れられたブドウが圧搾されるようです。
搾られた果汁は、大きな壷に入れて中庭で発酵させた後、保存・運搬用の陶器「アンフォラ」に詰め替えられていたようです。
秘儀荘の壁画がワインの神「ディオニユソス」への信仰の儀式を描いており、ディオニュソスへ山羊を生贄とすることからこの丸太に彫られた動物を山羊[ヤギ]として関連付ける資料がありました。
しかし、この動物の角の形は耳の前で先端を上に向けており、牡羊[オヒツジ]のように見え、釈然としません。

ガイドさんに案内されて天窓のある広間「アトリウム」(鳥瞰図-D)に来ました。
中央の床には水盤があり、天窓からの雨を貯めていました。
「アトリウム」は、社交場としての機能の他、広間に面した部屋を明るくし、雨水を有効に利用するものだったようです。

「アトリウム」から「中庭」(鳥瞰図-C)の方向を見た風景です。
中庭にはパンを焼く石窯(オーブン)や、地下室へ下りて行く階段などもあり、この屋敷のスケールの大きさを感じさせられました。
写真左下は、床のタイルの写真です。(この部屋のものではなかったと思いますが・・・)
黒い帯状の部分は部屋の端に並行しており、美しいタイルの床でくつろぎの空間を創り出していたようです。

入室が禁止され、入口から見学した「秘儀の間」です。(鳥瞰図-Eの辺りか?)
部屋の壁には「ポンペイの赤」と呼ばれるやや黄味がかった赤色を背景に29人の等身大の人物が描かれたフレスコ画があります。
壁画には、ワインの神「ディオニユソス」への信仰の儀式が描かれている説もあり、向って左の壁から右に向って絵巻物のように場面が展開しているようです。

向かって左の壁に描かれた壁画です。
ディオニュソス信仰への入信儀式の準備をする場面で、中央で椅子に座って背を向けているのが女祭司と考えられている説があります。
右から二番目の男性の前に二匹の羊[ヒツジ]が描かれていますが、ツノの先端は、頭上の後方に尖っていました。

壁の右手に背に翼のある女性が立ち、右手の壁に描かれた女性の背中をムチで打っていると考えられている絵です。
その左で、床に座り込む女性は、ムチで打たれる女性に両手を伸ばし、心配の余り取り乱している母親のようにも見えます。

椅子に座った女性の膝にすがって泣き伏している若い女性が主役の絵と思われます。
後ろを向いて立つ裸の女性の両手には小さな楽器のようなものが見え、踊っているのでしょうか。
これら一連の絵を見ていると、入信の儀式が描かれている説にもうなづける気がします。

入口からすぐ右手の壁画です。
髪を整える女性のためにキューピッドが鏡を持って見せているようです。
諸説のあるこれらの絵の解釈はさておき、有翼の人物三人描かれていることからもキリスト教が普及する以前の宗教が変遷する一過程を表しているようにも思われます。
ポンペイの見学はこれで終了、近くのレストランで食事の後、ナポリに向かいました。
参考文献
「ポンペイの歴史と社会」ロジャー リング著、堀 賀貴訳
「POMPEI RICOSTRUITA」Maria Antonietta Lozzi Bonaventura著
「世界の生活史ポンペイの人々」ピーターコノリー著
「ポンペイの遺産」青柳正規・監修