昔に出会う旅

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ドイツ・スイス旅行 22 ベルニナ・エクスプレス車窓の風景-4

2014年06月09日 | 海外旅行
南ドイツ・スイス旅行5日目(2013/6/22)、ベルニナ・エクスプレスの車窓風景の最後の区間です。



ベルニナ線の地図-1です。

地図右上に挿入したスイス全図の東部に赤い線の枠で囲んだエリアがベルニナ線の地図部分です。

イタリア領に半島のように突き出たこのエリアは、アルプスの山に挟まれた急峻な渓谷地帯で、雄大な風景が楽しめます。

前回は、ベルニナ線の最高地点の湖ラーゴ・ビアンゴから急カーブが連続する2ヶ所の区間でしたが、今回は、ポスキアヴォ駅付近から終着のイタリア、ティラーノ駅までの区間です。

このエリアは、左右に見える残雪の稜線がイタリアとの国境で、イタリアのティラーノの町に近く、北のスイス側からは、標高2000mを超える峠を越えなければならない小さな渓谷をなぜスイス領としたのか興味が湧きます。



急傾斜を下り、左に大きくカーブした列車の先頭の向こうに残雪の峰に挟まれた谷が見えてきました。

キーキーと絶え間なくきしんでいたブレーキ音が少し和らぎますが、ティラーノまでの渓谷は、長い下りが続いて行きます。



写真上段は、列車先頭の向こうにポスキアヴォ(orポスキアボ)駅が見えてきた風景です。

写真下段は、その左手に広がるポスキアヴォの町の風景です。

教会の鐘楼と思われる塔が数棟見られますが、この前後の駅周辺でも同様に複数の塔が見られ、カトリック、プロテスタントなど宗派の異なる教会の塔だったのでしょうか。

この辺りからポスキアーヴォ湖までの区間は、渓谷が少し広くなり、人家も多く見られます。



写真上段は、列車がポスキアーヴォ湖の湖畔にさしかかり、湖の南端方向を見た風景です。

広がっていた渓谷もポスキアーヴォ湖南端で狭くなり、そこでせき止められた川が湖になったものと思われます。

写真下段は、ポスキアーヴォ湖の南端付近から北を振り返った風景で、湖の向こうに、残雪のアルプスが美しく輝き、夢中でシャッターを切りました。



なだらかな湖畔を過ぎ、渓谷を下る風景の傾斜が大きくなってきました。

ポスキアーヴォ湖の下流側は、ダム付近の道路のように急な下り坂になっています。



ポスキアーヴォ湖の南端から直線距離で約2Kmの場所にあるブルージオ付近の地図-2です。

線路は、ブルージオ駅の北で大きく蛇行し、更に500m少々進むと、ベルニナ・エクスプレス後半のハイライト「ブルージオのオープンループ」があります。

山岳地帯の急斜面を克服するため、止むを得ず連続するカーブや、ループ橋の技術を駆使したものと思っていましたが、360度の美しい渓谷の風景が列車左右の車窓に展開することを知り、厳しい山岳地帯の環境を逆手に取ったスイス人のすばらしい発想だったのではと思うようになりました。



写真上段は、右手にそびえる二つの塔の間にブルージオ駅が見えてきた風景です。

渓谷を下ってきた列車が、一旦左にカーブした後、すぐ右にカーブした場面です。

写真中段は、草原の向こうにブルージオ駅がある風景で、写真右の塔の手前に見える二階建ての建物が駅舎です。

人影のない駅でしたが、この町にも二つの塔が見え、扁平の石を並べたこの地方の名物、石葺き屋根も見られました。

写真下段は、列車がブルージオ駅前に進む風景で、最後のカーブを曲がる場面です。



ブルージオ駅を過ぎ、振り返ると、二つの塔の向こうにアルプスの山々が美しくそびえていました。

方角から考えると、前回掲載(2014年05月22日)の地図-2にあるピーツ・ヴァルナだったのでしょうか。

渓谷に続く家並みを見上げると、下ってきた傾斜の大きさを実感します。



3枚の写真は、ブルージオのオープンループを回る風景を順に並べたものです。

それぞれの写真の右上にオープンループの地図(地図-2の一部)を添付していますが、黒線が線路、赤丸印がカメラ位置、ピンクの扇型が撮影方向です。

写真上段は、進行方向右手に「ブルージオのオープンループ」が見えてきた風景で、赤枠部分の写真は、オープンループの中央にある3体のモニュメントで、赤い線で置かれた場所を示しています。

写真中段は、オープンループの南側から通過してきたブルージオ駅方向の風景で、輝くアルプスも見られます。

オープンループ橋を走るスリル感のためか、車内には歓声があがっていましたがその雰囲気は、伝えることは出来ません。

写真下段は、一回転して南へ抜けて行く場面です。

古代ローマの水道橋を彷彿とする連続するアーチ橋が印象的で、世界遺産ベルニナ・エクスプレスの後半のハイライトふさわしい姿でした。



二つの写真は、ティラーノからバスで引き返す時に見たオープンループ付近の風景です。

写真上段は、オープンループのすぐ南で、バスがベルニナ・エクスプレスに追いついた時の風景です。

線路と平行して走る道路の左側(西側)には山の斜面が迫り、建物もあります。

写真下段は、ベルニナ・エクスプレスがオープンループを走る場面で、東側にも斜面が接しています。(左下隅の地図は、オープンループ[黒い線]を走るベルニナ・エクスプレス[赤い線]を左の道路[黄色の線]から撮影した位置を表示しています)

オープンループ橋は、線路を蛇行させることが困難な狭い渓谷で、斜面の標高差を埋めるため、やむなく選択した敷設方式だったのかも知れませんが、その困難な地形が名物の施設を生んだとも考えられます。



写真上段は、終着駅のイタリア、ティラーノに着き、駅舎に向かってホームを歩く風景です。

スイスのサンモリッツツ駅でも同様のものがありましたが(2014年03月30日掲載)、駅舎内の壁に「ティラノ 寄贈 姉妹鉄道 箱根登山鉄道株式会社」と日本語で書かれた木製の表示板があり、この鉄道に親しみが湧いてきます。

写真中段は、到着ホームから駅舎に向かう左手(北方向)を見上げた風景で、高い山の中腹に集落があり、左にも家屋が点在しているようです。

写真右下は、白い塔のある集落部分を拡大した写真で、急斜面には上下2~3段に建つ家屋が10数軒見られます。

むきだしの岩と、木々に覆われた急峻な山の中腹で、どんな生活が営まれてきたのか興味が湧く風景です。

写真下段は、線路の突き当りの風景で、乗って来た列車は、右手の駅舎の影にあるホームに着きました。

この二つの列車は、こちらに列車後尾が見え、先頭車両は、スイス側に付け替えられ、スタンバイしているようです。

標高1775mのサンモリッツ駅を出発し、標高最高地点2253mのオスピッツオ・ベルニナ駅を通り、標高429mのティラーノ駅まで標高差が実に1824mに及ぶ旅でした。

ベルニナ・エクスプレスがなぜ世界遺産として評価されたのか分かりませんでしたが、この変化に富んだすばらしい絶景ルートを体感し、納得出来た旅でした。



写真上段は、ティラーノ駅に面した広場の風景です。

正面の建物は、ベルニナ・エクスプレスの南側にあるイタリアの鉄道会社の駅舎で、ミラノ行きの列車が走っています。

写真中段は、広場をタイヤの付いた黄色い列車が走る風景で、3両の客車をけん引する先頭の機関車は、昔の蒸気機関車のようなスタイルです。(写真上段の左端にも見えます)

写真下段は、バスで引き返す時に見た、ティラーノ西外れの交差点近くを走る黄色い列車で、さながらタイヤで走る市電といったところでしょうか。

鉄道列車と比べ、線路が不要、小刻みな停車場の設定が容易、連結車両数による定員数調整などのメリットがある反面、大型バスに比べ、それほど多くない座席数や、長い列車の道路での危険性の大きさなどのデメリットも考えられ、この列車の採用に至った考え方に興味が湧きます。

この交差点の突き当りは、高い塔がそびえる教会で、右折した道にはベルニナ・エクスプレスの線路が市電のように道路を共用するよう敷設されていました。

素晴らしい風景だけでなく、このような文化の違いに驚き、考えさせられるのも海外旅行の楽しみです。

次回は、帰りのバスで立ち寄り、標高2984mのディアボレッツァ展望台で見たベルニナアルプスの絶景です。


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