近藤久也の個人誌。A4の用紙を2つ折りにした体裁で、一人の寄稿者を迎えている。同じような個人誌発行をしている身としては親しみが持てる。
「梅田」近藤久也。
おそらくは二日酔いの朝のような、なにか後悔感のある目覚めである。意識は鈍く沈殿しているようだ。
つま先は
だるい欲望うずまく梅田へ
踵は
南の海に沿って今しがた顔をしかめて
ベッドから起きあがろうとする母の紀州へ
後ずさっていく
卑俗な街・梅田に対するものとして、無垢の原点である紀州があるのだろう。その紀州からの距離を測るように、昨夜の梅田の情景が脈絡もなく浮かんできている。というか、紀州があることによって、はじめて梅田が孕んでいる危険な魅力を認識することができている。梅田の地下街には「物乞いする年老いた男たち」や「年老いた売春婦たち」がたむろしているのだ。梅田では男も女も醜く年老いていき、生活の糧を得るのも醜くなっていくのだ。そんな梅田は、
地上の高層ビルをまぶしい時空にむかって
のぼっていくことはあるのだろうか
そんなことがないことはよく判っているのだろう。だから、いずれかの日の自分の姿が年老いた物乞いや買収婦に重なってくるかすかな予感に怯えているのだろう。
「梅田」近藤久也。
おそらくは二日酔いの朝のような、なにか後悔感のある目覚めである。意識は鈍く沈殿しているようだ。
つま先は
だるい欲望うずまく梅田へ
踵は
南の海に沿って今しがた顔をしかめて
ベッドから起きあがろうとする母の紀州へ
後ずさっていく
卑俗な街・梅田に対するものとして、無垢の原点である紀州があるのだろう。その紀州からの距離を測るように、昨夜の梅田の情景が脈絡もなく浮かんできている。というか、紀州があることによって、はじめて梅田が孕んでいる危険な魅力を認識することができている。梅田の地下街には「物乞いする年老いた男たち」や「年老いた売春婦たち」がたむろしているのだ。梅田では男も女も醜く年老いていき、生活の糧を得るのも醜くなっていくのだ。そんな梅田は、
地上の高層ビルをまぶしい時空にむかって
のぼっていくことはあるのだろうか
そんなことがないことはよく判っているのだろう。だから、いずれかの日の自分の姿が年老いた物乞いや買収婦に重なってくるかすかな予感に怯えているのだろう。