はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

海から剣が峰へ2日目-2

2011-08-23 10:49:37 | 低山歩き
                  お鉢巡りから下山へ
          
           剣が峰の三角点

 今年は何時になく剣が峰が空いていた。例年だと日本最高の標識で写真を写そうとすると、20分や30分待ちになるのはざらだが、今年は列も無くいつでも標識を写す事ができた。
空いていたので気がついたのだが、最高峰の標識の横に三角点の標識もあった。ここは3776mの日本最高峰。しかも見晴らしは良い。当然一等三角点だと思いますよね。
それが何と二等三角点でした。不思議ですよね。それともう一つ、この三角点の向きは南を向いていたのだろうか?
山頂ではそのことに気がつかなく写真だけ写したが、今こうして写真を見ると三角点と書かれた面が、東南の方向のような気がする。次回登った時はその点も確認しよう。

 今年は展望台の上にも上った。ここは最高峰の標識より少し奥の南側にある人口の展望台で、3776mより高い位置にあります。
登山者が多いと入口の狭い展望台は混雑するので敬遠するのだが、今年はすぐ入れた。この展望台からは静岡県の西の方向が見ることが出来るのだが、生憎今は雲海で遮られていて下界を見ることが出来なかった。ただ展望台のすぐ下から始まる大沢崩れの突端は見ることが出来た。この崩れが大きくなると富士山の山容が一変してしまうらしいので、早く有効な手を打ってほしい。

             
              安河原からの剣が峰

 今年はまだ余裕がある。去年はここから引き返してしまったが、今年はお鉢を回って御殿場口に出よう。
火口の外輪と内輪の間にある広い場所には、以前は宇宙線研究所?とか金名水などの建物や小石を並べて書いた落書き等があったが、今は綺麗に撤去されている。これも世界遺産認定に向けての準備なのか? 後ろを振り向くと違う形で剣が峰が見える。
昨日から今までズート登りだったが、やっと下り道になった。快調!快調!高山病の気配はない。

 
富士吉田口山頂奥宮              山頂の自動販売機

 吉田口山頂は相変わらず賑っている。山小屋では自動販売機を設置したり、土産物の台を所狭しと並べている。以前来た時はこれにスピーカーの音も混ざり、日本一の山の山頂というより神社の縁日来ている様だった。それに比べれば今日はまだいい。
山頂に神社の標識を見ると「富士山頂上奥宮」となっていた。確かここは浅間大社でなくて久須志神社と言うはずだったが、どうなったのだろう? しっかりしているようで矢張り呆けているのか。疑問は感じてもその後の詰めがない。これも次回行ったときに確認しよう。

 
吉田口側からの剣が峰             旧電話局の頂からの剣が峰

 吉田側から見る剣が峰は残雪のある火口の上に乗っているように見える。写真だと脆そうな岩で地震が襲えば崩れてしまいそうにもみえるが、実際は凄く大きくてそんな不安は感じません。写真の剣が峰の左の稜線が馬の背です。

火口の反対側には吉田口の下山道が山頂から始まっている。岩も少なく電光形に作られた下山道はいかにも快適そうに見える。それに対して富士宮口は上りも下りも同じ道で岩のゴツゴツした狭い道だ。これでは例え山小屋が混もうが登山道が渋滞しようが吉田口に登山者が集るはずだと感じた。

岩に囲まれた小屋があった。これはNTTの山頂電話局の跡で今では閉鎖してしまっている。
街中では携帯電話に押されて公衆電話が撤去されているが、富士山も同じ現象が起きている。
最初の子供を連れて富士山に来た時は山頂から電話をするなど考えもしなかったが、二人目の子供の時は違った。ここの電話局の所にテレホンカードの公衆電話があって富士山頂から家に電話をして喜んだものだ。それが孫の時代になった今は公衆電話どころか電話局もなくなってしまい、山頂からは携帯電話がなければ気楽に電話をすることが出来ない。
便利になったのか不便になったのか、携帯電話を持たない私には分らない。

 昭和の時代車の運転免許証を持たない人を「昭和のいざり」など言ったが、今では私の様な者は「平成のつんぼ」なのだろうか。
右の写真はその電話局付近から剣が峰を写したもので、手前にある建物は富士宮口です。

          
          御殿場口山頂銀名水

 電話局の頂を下ると御殿場口山頂の銀名水になる。山頂と言っても鞍部になった所で山頂の雰囲気はないが剣が峰が良く見える。御殿場口を登ってきて、ここから剣が峰を見るとホッとした事を思い出した。
御殿場口はどの上り口よりも標高差もあり距離も長い。そのため登山者には嫌われ御殿場口を登る人は本当に少ない。
だが下山となると走りの六号から始まる大砂走りは雄大かつ軽快だ。
何度も富士山に登っていて大砂走りを経験したことのない人は、是非一度御殿場口を下山口として利用してみてください。後悔することはないと思います。

 銀名水からの降り口は岩がゴロゴロした道で、とても砂走りと言えたような道ではない。ここを砂走りと勘違いして走る人はいないと思いますが、ここで走ったら遭難事故が発生してしまいます。砂走りはまだ先の7合目からで、大砂走りは6合目からです。
この辺りは御殿場口の胸突き八丁で登りでは一番苦しい場所です。この場所は麓から富士山を見たとき宝永山の火口から山頂に延びる沢の部分に当ります。冬ここで滑落すとアイスバーンになった雪の上を宝永山の中まで一気に滑り落ちてしまうでしょう。

          
           八合目跡

 やっと八合目に着いた。だが小屋はご覧のよう小屋の残骸が少し残っているだけだった。胸突き八丁の上に昔は9合目の跡がこの様に残っていたが今は何もない。ここもそのうち自然に戻り、何所が8合目か分らなくなってしまうのだろう。
アッそうだ。富士宮口ではご来光が綺麗に見えない話をしましたが、御殿場口はここの8合目から下ではご来光を見ることが出来ます。ただしここを過ぎると沢の中に入ってしまい見ることが出来ません。

 八合目からの道は太くなったが、まだ石がゴロゴロして走れる状態ではない。ただ下り斜面で自然に歩幅が広がり速度は上がる。そのせいか体が熱くなってきた。標高が下がり気温も上昇してきたのだろう。陽射しが恨めしくなってきた。
そんな時、下から凄い勢いでガスが上がってきた。瞬く間にガスに覆われてしまったが、雨さえ降らなければかえってこの方が快適だ。

皇太子殿下が泊った7合9尺の赤岩館を過ぎると少し変わった建物がある。以前は富士山測候所の避難小屋だったが今は何に使っているのだろう?
この小屋の右側に延びている道がある。この道が富士宮の8合に続いている登山道だ。御殿場側には通行禁止の表示もないが、行き先表示もなかった。

ガスが晴れたりかかったりが繰り返す中、7合目に到着。御殿場口はここで下山道と登山道が分離して、やっと火山灰が深くなり石も減った砂走りが始まる。砂走りでは歩幅を大きくして体を浮かすようにすると徐々に勢いがついて歩幅は優に2mは越えるだろう。でも気を付けて下さい、この辺りにはまだ大きな石が所々にありますので。
砂走りで走るとき気をつけるのは、重心を後にして決して前方に転がらない事。転ぶときは必ず尻餅をつくようにしないと怪我をしてしまいます。以前顔から転んで顔中擦過傷で火山灰の滓がその傷の中に入ってしまった人を見たことがあります。

それから今日のようにガスっていれば少ないが、晴れた日は砂埃が物凄い。私のような調子者が走っていくとモウモウと砂埃がたってしまう。その後を歩く人はマスクかタオルで口を塞ぎたくなるでしょう。

宝永火口への分岐点の走りの6合目には、以前は小屋の残骸と小さな標識しかなかったが、今は立派な標識が立っている。これならガスが深くても見落とす事はないだろう。
本格的な砂走りはここから始まるのだが、今日は富士宮口に行かなければならない。砂走りと別れて右の宝永山の方向に向かう。

          
           宝永山御殿場側の馬の背

 ガスっていて何も見えないが晴れていれば左に砂走りを走る人、右には宝永山の火口や富士宮側が見えるはずだ。
こんな状態の時は火口に下りる分岐点を注意していかなければならない。と思ったら、ここにも立派な道標が立っていて容易に分った。これもプリンスルートのお陰なのだろう。そういえば以前はここまでで、すれ違う人などいなかったが今日は2組の登山者にあった。きっとプリンスルートを歩いているのだろう。
ここの分岐点は直進すれば宝永山の突端。左に曲れば御殿場口の砂走り、そして右行けば宝永山の火口を経由して富士宮口に抜けることが出来る。今日の腹つもりは、このまま直進して宝永山の突端まで往復しようと思っていた。だがこんな霧では仕方ない。行っても何も見えないのだからと止めにした。

 
 宝永山火口底                   火口の底より富士宮側の稜線

 宝永山の下りも砂走りほどではないが快適に下ることが出来た。
火口の底には何組かの登山者もいた。本当に多くなったものだ。だが火口底からの景色はガスが邪魔をして清々見ることが出来ない。ガスの晴れるのを期待して少し待ったが、山頂と御殿場側は晴れることはなかった。火口壁の断崖を写真に撮ろうと思ったが残念。
その代り富士宮側のガスが晴れて、昨日悲鳴を上げながら登った山体観測装置付近の「ズルズル」坂の稜線が見えた。ここから見れば大したことのない斜面に見えるのに何故昨日はあんなに辛かったのだろう?

 火口の底から富士宮側の稜線までの登りは楽だった。このコースで唯一の登りになるが全然心配ありません。稜線までは緩い登り坂で途中立ち止って休憩したりする必要もありません。稜線に着けば昨日歩いた道と合流します。あと6合目まで10分もかかりません。

6合目で預けておいた替着を受け取り、一休みしてバスの終点新五合目に向う。
3時20分新五合目着。富士宮山頂から1時間20分かけてお鉢巡り。御殿場口山頂から富士宮口新五合目まで4時間。休憩時間を含んでいるとは言え少々ユックリした時間になりました。お陰で達成感一杯のゴールになりました。

          
           富士宮口新五合目

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