はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

遠江四十九薬師霊場1-1

2014-03-11 12:12:41 | 遠江49薬師
歩行記録
歩行時間:6時間30分   休憩時間:3時間15分   延時間:9時間45分
出発時間:7時00分   到着時間:16時45分
歩  数:  41、403歩   GPS距離29.8km

行程表
 磐田駅 0:15> 1番 0:20> 2番 0:10> 3番 0:20> 5番 0:30> 6番 0:25> 7番 0:40> 8番
 0:05> 9番 0:25> 10番 0:35> 11番 0:35> 12番 0:30> 13番 0:10> 14番 1:05> 16番
 0:20> 15番 0:05> 高塚駅

                         1番国分寺(交差点)

 電車内で暖まっていた体に冷たい風が吹き付ける。気温は9℃もあるがとてもジャンパーやトレーナーを脱ぐ
気にはなれない。これだから冬の遠州を歩くのは嫌なのだ。手袋をした手をポケットに突っ込んで磐田駅を
出ると、早速スクランブル交差点に引っ掛かった。立止っていても寒いので早く渡りたいのだが歩行者用は
赤になったばかりだ。やっと青になって進んだと思ったら、またもや次の信号で赤。
この道はジュビロロード否「ジュビロード」と云いジュビロの選手の手形やサインが敷石にプリントされている。
マスコットの「ジュビロ君」も迎えてくれた。と思ったらこれも訂正で、スカートだかから「ジュビィちゃん」だ。
エー?このマスコットが静岡県の鳥、三光鳥? そうかなー とてもそんな風には見えない。

 オットまた信号だ。車は殆ど走っていないので信号無視をしたいが、今日はお遍路初日なのだから少しは身を
慎まなければ。やっと青で渡ったら、またもや赤信号。ここまで全ての信号に引っ掛かってしまった。
アレーこの交差点は平行に走っている車は青信号で走っているが、歩行者用信号は赤になっている。信号機には
「歩車分離交差点」と書いてあるが斜めの横断歩道は書かれていない。
ということは斜め横断は禁止なのか? でも平気で斜めに歩いている人がいる。
どうもよく分からない。スクランブル交差点は、前と横の車の流れを待てば、斜めに横断できるので、待時間が
長くても場合によってはメリットがある。しかしこの歩車分離交差点は待ち時間が増えるだけでメリットは無い。
何故こんな交差点が必要なのか? しかも磐田のような地方都市で、こんな信号を連続2か所も設置する必要が
あるのか。これでは車が渋滞してしまわないか心配になる。
イエイエそんな心配は必要はなさそうだ。渋滞するほど車は走ってはいない。

          
             ジュビィちゃん                      府八幡宮

 右側に磐田の古社「府八幡宮」が見えているが今日はパス。その府八幡宮の前に1番札所国分寺はある。
国分寺は奈良時代、聖武天皇の命により国ごとに建てられた、いわば国立の寺で、そのため遠江国分寺も
東西180m、南北250mの七堂伽藍を擁した建物だった。それが中世になり国分寺は衰退してしまい、今では
その国分寺の一隅に薬師堂が建っているに過ぎない。

 現在国分寺跡は国の特別史跡に指定されているが、私のような素人には単なる芝生広場にしか見えない。
境内の蛇口が付いた手水鉢の案内板には「この手洗石は国分寺の礎石をくり抜いて作られたものです」
説明してあった。確か駿河の国分寺の礎石も穴が開いていて手水鉢として使っていた。だが手水鉢にする
ために開けたのではなく仏舎利を奉納する舎利孔だとあった。(駿河の国分寺の記事

 調べていて遠江国分寺の礎石が長野県駒ヶ根市にも展示されている記事を見付けた。
磐田と駒ヶ根なら「悉平太郎」の関係で贈ったのだろうが、他国の寺の礎石を貰っても駒ヶ根市も困ったろう。
まして市民はこんな石を見ても左程興味も湧かないのではないか。矢張り礎石などの歴史的遺物は、有った
場所に置いて有る方が自然だと思う。それにして磐田市は駒ヶ根市から何を貰ったのだろうか。

 
            遠江国分寺跡                       国分寺礎石

 遠江49薬師霊場の立派な看板があり、こんな看板があるなら札所も探しやすいだろう。しかも霊場の赤い幟も
立っているので更に探しやすい。遠江や遠州33観音より霊場保存に力を入れているようだ。
国分寺は無住のため堂内でのお詣りは出来ない。お堂の前で簡単にお詣りをしてご朱印を押してくれるという
寺の入口にある自転車屋に向かった。だがその入り口のガラス戸にはカーテンが閉まり鍵がかかっていた。
家の横を見ても起きている気配はしない。時間は7時を過ぎたばかりなので声を掛けるのも憚れた。
仕方ない諦めよう。

 
                遠江49薬師看板                 1番 国分寺 
                  国分寺の地図
                         2番泉蔵寺(ご朱印料)
 2番は東海道線の南側にあるので戻る状態になるが、当然信号の多かったメイン通りは歩かず裏道を行くと
「常夜燈」と書かれた石塔が建っていた。その中央の穴には「可睡斎」のお札が入っていて、塔の上には花弁の
ような中に徳利状の物がある。これで灯りは何処に灯すのか? それともこの常夜灯は飾りに過ぎないのか?

 踏切を渡るとそこが2番札所泉蔵寺の裏参道だったが今日は山門から入ろう。
山門の前に池があり「無量寿の池」と書いてある。この池の水は昔から絶える事無く湧いていて、天竜川が
氾濫し、周辺一帯が泥水になったが、この池の水は濁らず澄んでいたと伝えられている。
泉蔵寺の名前の由来もこの池からきていて、汲んでも汲んでも尽きる事のない泉の蔵という意味だそうです。
山号の「無量山」も無限で尽きない量と云う事かもしれないな。

     
        常夜燈                        無量寿の池          

 池の横の階段を登り境内に入ると六地蔵や西国33観音のお堂がある。六地蔵は九体の地蔵がありどれが
六地蔵なのだろうか。その中の一体に「遠江巡礼供養 同行三人」とある。これも何だろう。
何人で歩こうが、心の中は弘法大師と常に二人ではなかったのか。

 ご朱印をお願いしている間に本堂に入り薬師如来にお詣りをした。予備知識の通り沙弥壇の上には薬師如来を
中央に配し、その両脇には日光・月光菩薩。更に横には十二神将が祀られていた。
最初の事でもあり般若心経を声を出して唱えると、家と違い自分の声がそれなりに聞こえてきた。
ご朱印料は幾らだろう? 駿河一国では無地の御朱印帳だったので300円。
マーこれが世間一般のご朱印の金額だろう。
それが遠江や遠州では、既に本尊や山号などが印刷されている御朱印帳を購入してあるので、3ヶ所の朱印を
押して貰って100円だった。この遠江49薬師も同じように印刷されているので多分100円だと思うが「幾ら
ですか」
と聞くのも憚れる。そこで千円札を「お願いします」と渡すと800円のお釣りがきた。
そうだ思い出した、秩父34観音では2回目以降の朱印だけの場合は、200円だったのでそれもあり得るのだ。
たった100円に何故拘るかって? それはご朱印が1回だけで済むなら300円でもいいが、この49薬師では
番外を含めると51札所を廻る事になる。そのご朱印料は300円なら1万5千円、200円なら1万円、100円でも
5千円掛かってしまう。年金生活者でお仕着せの小遣いしか貰えない身には切実な問題です。

 
                泉蔵寺の山門                      薬師如来
              泉蔵時の地図
                         3番金台寺(奪衣婆)
 泉蔵寺から線路沿いに西に行った所に3番金台(こんたい)寺は有る筈なのだが分からない。寺の大きな屋根や
大木を探すが見当たらない。結局歩いていた人に聞いて分かったのだが、金台寺は小さな集会所風の建物で、
蘇鉄にしては大木だが背丈が低い蘇鉄では遠くからでは分かる訳が無い。寺付近の地図をもう少し細かく印刷して
おくべきだったと反省。だが「聞く遍路 迷う遍路も 遍路なり」でそれも楽しい。

 金台寺の境内に閻魔大王とおぼしき石仏がある。その横の老婆の像は 「奪衣婆」 (だつえば)のような気が
するが何故閻魔さんと奪衣婆がセットなのか? 調べたらこんな説明を見つけた。
「三途の川の三途とは地獄・餓鬼・畜生の三悪道のことで、この川の辺に「衣領樹」(えりょうじゅ)という木がある。
その木の下には「奪衣婆」という老婆がいて、木の上には「懸衣翁」(けんえおう) という老爺がのっている。
奪衣婆が着ている衣類を脱がせ、木の上の懸衣翁に渡し、木の枝に掛けると、その重みで枝が垂れる。
枝の垂れ方で生前の罪の軽重が分かる仕掛けである。
その「懸衣翁」「奪衣婆」が、35日目の閻魔大王の裁判に陪席しているので、嘘の申告は出来ないのである。」

成程ね。でもそれなら懸衣翁も入れて三人一セットの方が良かったのに。
待てよ、これも思いだした。駿河一国33観音の番外東光寺(熱海十国峠)に矢張り閻魔さんと奪衣婆風の石像が
あった。確かあそこも懸衣翁の像は無かったと思う。きっと恐ろしい形相の奪衣婆は閻魔像とマッチするのだろう。
それにしてはここの奪衣婆像は余り怖い顔をしていないな。

 
               金台寺                      閻魔大王と奪衣婆
               金台寺の地図