みちのくの山野草

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ストゥーパ信仰から経典重視へ

2018-07-08 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 さらに植木氏は次のように言う。
 またここでは、ストゥーパ信仰に替わる経典重視の思想が打ち出されてきます。…(投稿者略)…これは経典の中にこそ釈尊がいるのだという思想です。…(投稿者略)…
 そして、この経典が書写されたり暗誦されたりする場所には「チャイティヤ」を造りなさいと釈尊は言います。チャイティヤとは経典を安置する塔のこと。そこには「必ずしも如来の遺骨が安置される必要はない」、なぜなら「この経には、如来の身体がまさに一揃いの全体をなして存在しているからである」というのです。…(投稿者略)…よりどころは自己と法であるという原点に戻そうとしているのでしょう。
             〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)62p~〉
 そしてここでもまた、同氏は「平等思想」について、
 『法華経』を通じて《釈尊・『法華経』・衆生》の三者が一体の存在となる。その間に特権階級の人々が介在する必要はない。それが仏教本来の平等思想です。
             〈〃63p〉
と解説していた。私は『法華経』を信仰しているわけでもないし、今後もないだろうが、その平等思想には強く惹かれる。

 とはいいながらも植木氏は、それはそんなに容易いことでもないことを、
 しかし、このようなことを説く直前に、この『法華経』を説いていくのは大変だということが語られています。「この法門は、如来が存在している時でも、多くの人々によって謗られた。ましてや、如来が完全なる滅度に入られた後では、言うまでもないのだ」とあります。そのような情況のもとで法師<*1>の実践を貫くために必要とされる規範として、「衣・座・室の三軌」が説かれます。…(投稿者略)…衣とは忍耐に対する喜び、座とはあらゆるものごとが空だと覚ってとらわれないこと、室とは一切衆生に対する慈悲を表します。どんなに嫌がらせをされたとしても、それにとらわれることなく、耐え忍び、慈悲の振る舞いを貫き通すということです。
            〈〃63p〉
と教えてくれる。そして、この「衣・座・室の三軌」を実践したのがあの常不軽菩薩だということもである〈〃64p〉。

<*1:投稿者註> 広辞苑によれば、
【法師】
①仏法によく通じてその教法の師となるもの」。僧。出家。ほっし。

【教法】
 仏の教え。釈尊の説いた教え。宗門の教義。
           〈『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉

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