みちのくの山野草

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誰が『法華経』を広めていくのか

2018-07-07 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 さて今度は「誰が『法華経』を広めていくのか」という項についてである。植木氏によれば、
 第十章「法師品」からは、釈尊が亡くなったあと誰が『法華経』を広めていくか、すなわち滅後の弘教の付属が語られます。「弘教」というのは仏の教えを広めること、「付属」というのは師から弟子に弘教を託すことを意味します。
             〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)60p〉
とまず前置きがなされ、引き続いて、、
「法師品」では、弘教の担い手として『法華経』を受持・読誦・解説・書写する法師としての菩薩について詳述されます。その法師のことを「善男子」「善女人」と呼んで「法師品」では「それらの良家の息子たち娘たちは、衆生を憐れむために、このジャンプー州の人間の中に再び生まれてきたものたちである」と説明されます。あえて、「人間の中に」生まれてくるのですね。
             〈〃60p~〉
と解説している。
 そしてテキストは次のように続いている。

 「私が、完全なる滅度に入った後で、教えの勝れた功力も、ブッダの国土への勝れた誕生も自発的に放棄して、衆生の幸福と、憐れみのために、この法門<*1>を顕示するという動機でこの世に生まれてきたと知られるべきであり…(投稿者略)…如来の使者であると知られるべきである」

…(投稿者略)…第九章までの授記では、未来もブッダの国土に生まれること予言されていました。しかしここに至って、それを蹴って、人間の中に生まれてくるという思想が打ち出されてきます。…(投稿者略)…

 別世界に行ってブッダとなることよりも、人間の中に生まれ、この現実社会で「如来によってなされるべきことをなす」ことが重要であり、その人は「如来によって派遣された人」とみなすべきである。――ここにあるのは、人間として人間の中にあって、人間関係を通して、言葉によって利他行を貫くことが大切だという主張です。
             〈〃61p〉

 さてこう解説されても、私にはしっくりしない点が生じてきた。それはもちろん、「約束が違うじゃないか」という思いのそれがである。折角「未来もブッダの国土に生まれること予言され」たというのに、それを蹴って、「人間の中に生まれてくるという思想が打ち出され」たからである。
 さりながらその一方で、先に富楼那阿難の場合のように利他行が重視されていたし、素朴に考えてみても自利ではなく利他であることの方がより評価されることは素直に受け容れることができるので、「人間として人間の中にあって、人間関係を通して、言葉によって利他行を貫くことが大切だ」という主張も素直に肯んずることができる。

<*1:投稿者註> 広辞苑によれば、
【法門】
衆生の仏法に入る門。仏の教法。法(のり)の門。

【仏法】
 仏の説いた教法。仏教。仏道。
           〈『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉

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