それでも地球は動いている（前編）

《｢近代科学への扉を開いたガリレオ｣（『世界の伝記 ガリレオ』（大野進著、ぎょうせい）の口絵）》

荒木　それでは今度は最後の章｢第五章　それでも地球は動いている｣に入ろうか。最初にこんなこと、
　　　　ガリレオは1611年ローマを訪れ、ローマ教皇庁の最高権力者ローマ教皇パウルス五世から研究を高く評価された
が描かれている。
吉田　それはそうだったのだが、1613年に、例の
　　　　『太陽黒点論』を出版したあたりから教会内のガリレオに対する非難の声が強まり
とうとう、
　　　　一六一六年にガリレオはうったえられ宗教裁判にかけられることになった
のだ。
荒木　まあ、でもそれは、
　　　　ガリレオの説明を聞くだけで　判決もないおだやかなものでした
とも描いてあるから、ひとまず安堵か。
吉田　ただし、この後旧知のベラルミーノ枢機卿から
　　　　｢地動説｣は聖書の教えに反しており異端である　というのが教皇庁の判断です
　　　　ガリレオ先生今後は｢地動説｣の話題をつつしんでください
　　　　ガリレオ先生をまもっているわれわれを失脚させようとする勢力がアリストテレス派と手を組んでいるのです
と言われたガリレオは、
　　　　……わかりました　今後は｢地動説｣に賛成するような発言はいたしません
と応えたのだ。

荒木　そういう意味では、鈴木は時々異端児と言われているようだから、ガリレオにちょっとだけ似ているかな。かといって、お前は例の｢｢賢治神話｣検証七点｣等については声高にこれが真実だと言い張りたいのだろけどな。
鈴木　それについては、石井洋二郎氏の式辞を知ったことにより、私はそれまでの考え方を改め、｢賢治研究｣の更なる発展のためには、おかしいところはやはりおかしいと粘り強く主張し続けることにした。それはもちろん、私たちがそのような事を怠れば｢賢治研究｣のこれからの発展はあまり望めない、ということは歴史が教えてくれているところだし、もしかすると、｢創られた偽りの宮澤賢治像｣が未来永劫｢宮澤賢治｣になってしまう虞もあるからだ。
吉田　だから言いたいんだな僕は。賢治研究家よ石井洋二郎氏のその式辞から学べと。
荒木　そもそも、彼らはそんな式辞があったということさえも知らないんじゃないのかな。
吉田　いや、この式辞は当時かなり話題になり、その式辞によって襟を正した人も多かったはずだ。だからそこから言えることは、｢あすこ｣は閉鎖された社会なのかもしれないということだ。
鈴木　で、さっきの続きだがいいか。かといって私は頑なに声高に言い張ることはしないつもりだ。それは、私の一連の検証結果は現｢賢治年譜｣等とは大分異なっていたり、果ては正反対だったりということで、そう簡単には世の中から受け容れてもらえないであろうことは充分に覚悟しているからだ。そこには構造的な問題が横たわっていそうだからさ。そこで、第一章の〝２．｢賢治神話｣検証七点〟等の真偽についてどう決着がつくかはまだまだ時間を要するだろうから歴史の判断を俟つしかないと思っている。
　しかしだ、〈高瀬露悪女伝説〉だけはそうはいかない。それは人権に関わる重大問題だからだ。これだけは声高に言い続けたい。そして、等閑視していていいのですかと訴えたい。
荒木　お前がそうしたところで、あれこれハラスメントもどきはあるにしても、宗教裁判にかけられるわけでもないしな。まして今の時代、ブルーノのように火あぶりの刑に処せられることもないだろうからな。
　それにしても、彼らは良心の呵責に苛まれないのだべが。
吉田　そこだよ、大問題なのは。

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　賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

　　　　　　　　　　　　　〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
　その約一ヶ月後に、著者の実名｢鈴木守｣が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の｢賢治学会代表理事名の文書｣が全学会員に送付されました。
　そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
　現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
　あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円＋税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
　　　　　　〒025-0068　岩手県花巻市下幅21-11　鈴木守
　　　　　　　　　　　　　　　電話　0198-24-9813