それでも地球は動いている（中編）

《｢近代科学への扉を開いたガリレオ｣（『世界の伝記 ガリレオ』（大野進著、ぎょうせい）の口絵）》

荒木　そして『コミック版　世界の伝記　ガリレオ』には、
　　　　一六二三年　59歳のガリレオは『贋金鑑識官』という本を出版し
　　　　一六三二年　ガリレオ68歳で『天文対話』を出版した
と書いてある。
吉田　ただし、ガリレオはこの『天文対話』はおいては討論の結論を出さずに、
　　　　｢地動説｣も｢天動説｣も合わせて書き　協会からの非難をかわそうと考えた
のだが、結局ローマ教皇庁から『天文対話』の出版が禁止されたのだ。
　そして、
　　　　一六三三年ガリレオは正式にローマ教皇庁の検邪聖省からとりしらべをうけた。
のだ。
荒木　それで、その判決はどうなったんだ？
吉田　それはこうだ、
　　　　被告ガリレオ・ガリレイは教会との契約をやぶり　自身の著書でコペルニクスの異端思想をひろめた
　　　　『天文対話』は禁書
　　　　牢獄に入ること
　　　　3年間毎週一回7つの悔悛詩篇をとなえること
というものだった。
荒木　そしてガリレオは、
　　　　｢地動説｣などというあやまった考えを捨て去ることなどを誓った
というわけか。
吉田　しかしな……その時のガリレオの心情は察するに余りある。
鈴木　そこで私は、賢治にも、浅沼稲次郎にもそれと似たような苦悩があったと思うんだな。
荒木　それは何でだ。
鈴木　賢治はアカ狩りに遭って下根子桜を撤退したし、浅沼自身が、

　早稲田警察の特高から｢田舎へ帰っておとなしくしてなきゃ検束する｣と言い渡されてしょんぼり故郷三宅島へ帰った

と言っているからだ。
荒木　そうか、賢治はこの時のアカ狩りですごすごと実家に戻って謹慎したのだが、一方で親しかった若者の八重樫賢師はそうはできずに函館に追いやられたのだから、心境はたしかに複雑だったべ。挫折感のみならず後ろめたさも相当あったであろう。
鈴木　その後ろめたさは、梅野建造の証言、

　私が45日入れられて帰ってきたら、その時宮澤さんは病気だったわな。そして豊沢町の自宅でね病気療養中だったんだ。だけれどもね私を訪ねてくれたよ。夜、私のところに。私が出てきてから何日かたった12月だったな、12月半ば頃だったろうかな、宮澤さんが訪ねてきたの。病気療養中のところをね、夜。そして玄関先で5～6分ねお話をして別れた。大変でしたねって、私にね労りの言葉を述べられてね、そしてお金をいくらか、お金をもらったな。

　　　　　　　　　　　　〈『本統の賢治と本当の露』（鈴木守著、ツーワンライフ出版）157p～〉
からも容易に窺える。
吉田　普通に考えれば、病軀を押してまで夜分に訪問することもなかろうに、そうしたということは仲間を裏切ってしまったという後ろめたさがそうさせたと言えなくもない。しかし、その穴埋めをするかの如くにお金をやったということは、如何なものか。
荒木　そうなんだよな、そんな賢治であったということを俺は知って、余りにも寂しい。巷間いわれているような賢治であるならば金で方を付けるなよ、と俺は言いたいんだな。

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　賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

　　　　　　　　　　　　　〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
　その約一ヶ月後に、著者の実名｢鈴木守｣が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の｢賢治学会代表理事名の文書｣が全学会員に送付されました。
　そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
　現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
　あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円＋税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
　　　　　　〒025-0068　岩手県花巻市下幅21-11　鈴木守
　　　　　　　　　　　　　　　電話　0198-24-9813