曲学阿世の徒にはならなかったガリレオ

《『コミック版　世界の伝記　ガリレオ』（能田達規著、ポプラ社）》

吉田　ところが、捨てる神あれば拾う神ありで、1592年の夏にはパドヴァ大学のしかも教授になれた。
　ほらここを見てくれ、こんな風に描かれている。
荒木　どこどこ、

ガリレオ：ここがパドヴァ大学か……
　　　　　ピサ大学とはくらべものにならないくらい立派だな
　　　　　自由な校風と聞くしこれは楽しみだ
　　　　　わっ　失礼
ブルーノ：なにが自由のあるパドヴァ大学だ
　　　　　ここもナポリと同じいなかの大学だ
学長：おーきみがガリレオくんか
　　　　　ピサ大学の天才が来てくれるというので首を長くして待っておったよ
ガリレオ：ありがとうございます
　　　　　……で今のかたは？
学長：ああ…あいつはブルーノとかいう評判の悪い男だ

　あっ、これが以前の〝ブルーノよりはかなりまし？〟のブルーノだな。｢コペルニクスの地動説に心酔し｣、やがて宗教裁判にかかり焼き殺された。
吉田　そこでガリレオは踏み絵を踏まされることになり、こうコミック版は続くわけだ。
荒木　つまり、

学長：きみはどう思う？
ガリレオ：……私は子どものころから聖マリア修道院で学んだキリスト教徒です。
　　　　　聖書を否定することなど考えられません

と答えたわけだ。
鈴木　しかしこの時のガリレオの心境は如何ばかりだったであろうか。かなり葛藤しただろうな。科学者としての良心を枉げたと言えなくもないからな。
荒木　いやいや、嘘も方便だよ。いや、韓信の股くぐりだよ。
吉田　そうかもしれんな。実際、その結果ガリレオはパドヴァ大学の教授になることができて、｢ガリレオの黄金期と言われるパドヴァ大学での18年間が始まった｣のだから。
鈴木　そうだったんだ。そこがガリレオの際だって偉かったところかもしれんな。
　私が知っている範囲で言えば、若かりし頃は純粋だった研究者の中にはそうした結果、歳をとるとともにどんどん曲学阿世の徒になっていった人物も少なくないからな……。
吉田　それもまたしかりで、少なくともあすこには曲学阿世の輩が数多いるわな。
荒木　うむ、｢あすこ｣ってどこだよ。
吉田　今は、まだ言えん。
荒木　けちだな。

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　　　　　　〒025-0068　岩手県花巻市下幅21-11　鈴木守
　　　　　　　　　　　　　　　電話　0198-24-9813