みちのくの山野草

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賢治の伝記作家と研究家は全く違う

2019-01-14 12:00:00 | 賢治関連
《『ベートーヴェン捏造-名プロデューサーは嘘をつく-』(かげはら史帆著、柏書房)》

 こんなことも書いてあった。
 シンドラーの目には、いまや、清く正しく凜々しい音楽家のイメージがくっきりと映っていた。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。ヒーローとして生きた音楽家の生涯。決して幸福とは言えない生い立ち。耳疾をわずらった苦しみ。…(投稿者略)…お下品な情報なんていらない。エロ情報なんていらない。…(投稿者略)…事実を火にくべるのを恐れてはダメだ。肖像画家だって、ベートーヴェンの醜いあばたをわざわざ事細かに描いたりしないじゃないか。薄汚れた肌はごくつややかに、手入れしていない眉毛は男らしく剛健に、乱れた髪はそういう個性的なヘアセットのように。俺が書く伝記もそれと同じだ。何が悪い。
             〈『ベートーヴェン捏造-名プロデューサーは嘘をつく-』(かげはら史帆著、柏書房)178p〉
 そして私は気付いた。かつての私であればこのようなシンドラーに対して当然憤っていたはずだが、今は少し違う感情も湧いてくることにだ。そうか、伝記作家とはそういう想いもあるのか、ということを垣間見たからであろう。そしてもしかすると、あの賢治の伝記を書いた作家も、シンドラーと同じような想いがあったに違いないと推測ができるようになったからであろう。勿論そのようなことは本来許されることではないのだが、その心情は一部わからぬでもない、と私にも思えるようになったのだ。一歩間違えるとかなり恐ろしいことではあるのだが。
 そしてその分、私のその怒りの矛先はますます別な方向に向けられるようになったということにも気付いた。賢治の伝記作家だけが悪いわけではない。それよりも許されないのは、その伝記作家が書いたものを、賢治研究家が自分では良く調べもせずに(つまり裏付けを取るわけでもなく、検証するわけでもなく、一次情報に立ち戻ることなどもせずに)、唯々諾々と引用し、孫引きし、コピペをしていることの方だ、ということに私は気付いたのだ。そのようなことでは、それは物書きとして為すべきことを為していないばかりでなく、ゆくゆくは天に唾を吐く行為になっていたということを思い知らされるはめになる、ということが危惧されるのである。
 
 そうだ、賢治の伝記作家と研究家はそれぞれ違うカテゴリーに属するのだ、おそらく。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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